あしたの人事の話をしよう

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役 兼 グロービス経営大学院HRM担当准教授の平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

まじめな話と、雑感(よしなしごと)とがまじっているので、 カテゴリー別に読んでいただいた方が良いかもしれません。 検索エンジンから来られた方で、目当ての記事が見当たらない場合 左下の検索窓をご活用ください。

人事制度

ノーレイティングの制度設計の実際を寄稿しました

月刊人事マネジメントという人事の専門誌がありますが、こちらに新しい特集記事を寄稿しました。 タイトルはそのものずばり。 HRガイド:ノーレイティングの導入 ~うまくいく制度設計と組織運用のコツ~ www.busi-pub.com 案外、ノーレイティングの制度構…

ジョブ型になるとワンチームであることの重要度が高まる

会社の人事の仕組みのお話です。 コロナによるリモートワークで、人事制度・運用の界隈ではあらためて「ジョブ型の仕組みが必要だ!」的な論調が強くなりつつあります。 つい先日もグロービスのHRMの講義でそんな話をしました。 もちろん「メンバーシップ型…

クローズコンタクトではコミュニケーションより対価が重要になる

ソーシャルディスタンスの必要性が求められる中、これまで以上に、密接な関係作りが重要視されてゆくと思っています。 ほとんどの人たちとは一定距離を持ってつきあうけれど、良く知り合っている人とは密接な距離で付き合っていくことです。 ただ、それはハ…

リモートワークに合わせて評価制度を変えなければいけない

今回の日経スタイルに書いた内容は、普段よりは経営者寄りのお話です。 style.nikkei.com 日経スタイルはどちらかといえば働くビジネスパーソンにとって役立つ内容を紹介しています。 しかしリモートワークによる人事制度への影響は、まず経営側が変わること…

リモート環境では、エンゲージメントに加えて、成果報酬の必要性が高まる

ソーシャルディスタンスの必要性が求められる中、これまで以上に、密接な関係作りが重要視されてゆくと思っています。 ほとんどの人たちとは一定距離を持ってつきあうけれど、良く知り合っている人とは密接な距離で付き合っていくことです。 ただ、それはハ…

日本ではなぜ玉虫色の仕組みが好まれるのか

本業の順調さ&多忙さを理由にして1年以上逃げていた新刊執筆から、とうとう逃げられなくなりました。 日経スタイルの連載記事もたまっていて、それらを加工して本を書くのでもよい、とは言われたのですが芸がない。 で、コロナショックの最中ということもあ…

相対評価は2:6:2から1:7:2へ

評価制度運用で相対評価が使われることが多いのですが、その常識が変わりつつあります。 一般的には、働かないアリが生まれる理屈にあわせて2:6:2、の正規分布が良く使われます。 けれども、この比率はヒトの評価にはあまり向いていない、ということが…

Uber Eatsの報酬の仕組みはどうなっているのか

みなさん、Uber Eatsを利用したことあります? 街を歩いているとそこかしこを配達員の方が走っていて、かなり浸透している気がします。マクドナルドに行くと、配達員の方が必ず待機していますしね。 Uber Eatsの基本は出前の外部委託バージョンです。 出前だ…

人事制度設計についてのノウハウを公開しています

最近、うちのスタッフがホームページをどんどん更新してくれています。 ちなみに私は別に指示してないです。 自発的行動って素敵。 で、気が付けばこんなページができていました。(リンクは画像の下にあります) 人事のノウハウ https://www.sele-vari.co.j…

給与の仕組みは大きく分けて4タイプになっている

style.nikkei.com 日経の記事ですが、人事制度寄りの内容にしました。 いつもだと怒られそうですが、キャリアの考え方にもからむので許してもらえたみたいです。 で、言いたいのは、毎年ほぼ確実に給与が増える「年功報酬」があたりまえの時代から、転職でき…

人事改革のシズル

シズル、という言葉をご存知でしょうか。 営業コンサルタントのエルマー・ホイラーさんが1930年代に提唱した概念だと言われていますが、私自身が知ったのは20年ほど前、はじめて飲食チェーンの人事制度設計を手掛けたタイミングでした。 原著は何度か邦訳も…

人事制度はただのルールなので嫌ってても仕方ない

日経スタイルの連載でこんな記事を書きました。 style.nikkei.com この記事を書こうと思ったきっかけは、記事の最初の方に書いているようなことが理由です。 なんで自分の会社の人事制度があたりまえだと思ってるの? という疑問です。 でも考えてみれば、世…

イノベーションは「値上げ」と考えるとわかりやすい

人事コンサルティングをしていると「わが社ではイノベーションを重視していきます」というようなことをよく聞きます。 だから、従業員や役員がイノベーションを起こせるような人事制度がほしい、と。 気持ちはよくわかるのですが、じゃあ「イノベーションっ…

人生100年時代は退職金も超大事

人事制度全般をつくるセレクションアンドバリエーションですが、なかでも特に専門性の高い領域については、別の専門家にお任せする場合があります。 そのひとつが「退職金」に関する諸制度。 一般的な評価報酬制度が在職中のものであるとしたら、退職金は、…

目標管理制度は使い方で変わる

今回の日経スタイルの記事は、目標管理制度の運用についてのお話です。 style.nikkei.com 日本ではおおよそ8割以上の会社に導入されていると言われる目標管理制度ですが、不満を言うよりもうまく使いこなそう、という話ですので、ぜひご一読を。 平康慶浩(…

ベンチャー企業の組織と人事のあり方

企業毎の組織や人事のあり方が多様化していて、20年前のように一律ではなくなってきています。 その中でもベンチャー企業では、あえて独自性を保つようにしているように感じていました。 そこで最近弊社では、いわゆるベンチャー企業の組織や人のあり方がど…

大廃業時代は投資ができない「PL脳」が原因

Newspicksのアカデミアを通じて知り合った、シニフィアン株式会社代表の朝倉祐介さんの名著、ファイナンス思考を読んだ。 ファイナンス思考 日本企業を蝕む病と、再生の戦略論 作者: 朝倉祐介 出版社/メーカー: ダイヤモンド社 発売日: 2018/07/12 メディア:…

ベンチャー各社のおもしろい制度たち

サイバーエージェントの成功例等を踏まえ、多くの会社で、少し変わった名前の人事制度を導入している。 いや、制度の内容はそれほど奇抜ではないのだけれど、あえて名前を奇抜にすることで、従業員への定着を図ろうとしているのかもしれない。 ちなみにサイ…

ついついはまってしまう人事のワナ

人事コンサルティングを20年以上続けてきている僕自身も、ついついはまってしまう人事のワナがある。 それはクライアントの経営課題に対して、既存の人事マネジメントのフレームを「無批判に」適用してしまうことだ。 先日もあるクライアントから相談された…

なぜ大企業ほど新卒給与に差をつけられないのか

メルカリが新卒の給与に差をつける、ということが報道された。 ちなみにそのための人事制度は「メルグラッズ」という名前らしい。 about.mercari.com 多くのニュースでは初任給格差だけがとりあげられているけれど、アスキーの上記の報道を見るともう少し詳…

成長のためには、協調より選別(セレクション)を優先する

SMBC経営懇話会の会員向けに、ほぼ毎月、人事に関する無料相談を実施している。 まあ無料といっても経営懇話会の会費(年額5万円~10万円)は必要だし、そもそも経営懇話会にどうやって入れるのかが若干よくわかっていない。 入りたい企業はとりあえ…

人材の二極化が進む会社

以前お手伝いしていた会社の人事責任者が変わられたということで、久しぶりに顔を出してきた。 そして、弊社が人事制度設計を行ったときと今との違いをいろいろと伺っていたのだけれど、懸念されていた二極化が進んでいて、それが5年後くらいに問題になるん…

人事の「自己評価」には百害あって一利なしだと主張する理由

昔の人事コンサルタントの中には、人事評価では自己評価が大事だ、という人たちがいる。 しかし、自己評価は大事じゃないし、むしろ害の方が大きい。 そんなことを話すことが多いのだけれど、そのたびに理由を聞かれるので、面倒だからここに書いとく。 人事…

原題は「上司からの評価にどう向き合うか」でした

今回の日経スタイルの連載は、書く側としては少し趣を変えてみた。 style.nikkei.com 読む側はあまり気づかれないかもしれないけれど、人事制度を設計する側としての「あたりまえ」をあらためて解きほぐしてみている。 実際のところ、人事制度を設計する側の…

人事部の将来について

日本人材マネジメント協会という、「日本におけるHRMプロフェッショナリズムの確立」を趣旨とした組織がある。 JSRHM そこで発行している「インサイト」という雑誌の2017年7月号に、私のインタビューが掲載された。 まだWEB上でオープンにできないので、…

働かせる会社と稼がせる会社は何が違うのか

意外に知られてないが、多くの会社で、給与と働き方の関係は2つに分けられる。 一般的なのは、「給与分は働いてください」という会社。 もう一方は「稼いだ分から給与を払いますよ」という会社。 どちらが良いのか、というと、何を求めて働くのか、というこ…

リーダーになるにはリーダーシップよりも重要なことがある

経営大学院で組織設計と人事マネジメントの基礎を教えている。 そんな中で、こんな意見を持つ受講生がいる。 「私は人事部門じゃないので、組織設計と人事マネジメントについては学問として興味はありますが、実際に使う機会がありません」 なら、人に関する…

歩合給と残業代についての判例

労政時報6月23日号を今さら読んで、気になった判例の原文を読んでみた。 国際自動車事件に対する最高裁判決 要は、歩合給から残業についての割増賃金を差し引いて、残業してもしなくても月にもらえる給与額は変わらない、としている制度について「とりあえず…

やっぱり割を食ってるのは2000年卒の社会人たちだった

日経スタイルの連載用に、いろいろと統計データをいじっていて、若者の昇給に興味を持った。 というのも、実際に最近設計している人事制度で、20代の若者の昇給額が少なすぎるんじゃないか、という議論もあったからだ。 日経スタイルの更新記事はこちら。 st…

人材マネジメントはストック型からフロー型へむかう

エース証券が主催している、KANSAIアントレプレナーズクラブの勉強会で登壇してきた。 以下のページの真ん中くらいに、ピンクのネクタイとワインレッドのサスペンダーで、まるっとしているのが僕だ。 KANSAIアントレプレナーズクラブ 第九回勉強会|ス…