あしたの人事の話をしよう

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役 兼 グロービス経営大学院HRM担当准教授の平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

まじめな話と、雑感(よしなしごと)とがまじっているので、 カテゴリー別に読んでいただいた方が良いかもしれません。 検索エンジンから来られた方で、目当ての記事が見当たらない場合 左下の検索窓をご活用ください。

会社経営

【人件費の近未来1-2】 ベースアップを取り巻く要因

ベースアップは行うべきなのか。 消費税10%への再引き上げは延期されたが、5%から8%への引き上げ影響は意外なほどに大きかった。 2014年のベースアップ平均は約2%だったが(連合発表)

【人件費の近未来1-1】 人件費には4つの性質がある

(当記事は、月刊人事マネジメント2014年3月号から1年にわたって連載した記事を加筆修正したものです) 今回からの連載では、人事部門に直面する人件費についての課題を、4つの性質を踏まえて解きほぐしていく。 可能な限り、人事部門がとるべき選択肢も具…

【6-2】従業員の声はまず管理職から

前回記事はこちらから【6-1】風通しのよい一枚岩の組織をつくる - あしたの人事の話をしよう ■ 従業員の声はまず管理職から 情報公開が進めば、そこから発生した従業員の声をどのように集めるのか、ということが次の課題になる。 そのためにアンケートや匿名…

【6-1】風通しのよい一枚岩の組織をつくる

前回記事【5-3】退職を卒業に変えれば、スモールワールドネットワークが生まれる - あしたの人事の話をしよう ■ 意外に伝わらない経営の思い 年初や半期ごとに全社集会を開催したり、あるいは社内報を発行したりすることで経営層メッセージを発信している会…

大人なのに、公正な評価に不満を言う人たち

人事コンサルタントは「評価が公正じゃない」というクライアントの不満をひんぱんに聞く。 新しい制度をつくる際に、今の制度の問題点として聞く。 ちなみに、公平と公正は違う。公平、と言ってしまうと、みんな同じだけの評価になってしまう。それじゃあ評…

「落ちているごみを拾える人」をどう育てるのか

お店を出しているあるクライアント先で、アルバイトの評価の仕組みを設計した。 そのとき議論になったのが「落ちているごみを拾えるかどうか」だった。 組織の中で使う評価の仕組みを作っていると、評価されなければ人は何もしないんじゃないか、と錯覚して…

上司に人事評価をさせてはいけない(暴論)

あらかじめ言っておくが、暴論を書く。 僕はいつも、自分の仕事(人事コンサルタント)をなくすための方法を考える。 これはその一環だ。 企業組織で、人事評価は上司が行う。 上司はたいてい、管理職、と言われる人たちだ。 平社員の評価は課長がする。 課…

成果主義人事が機能しなかった本当の理由

もう「成果主義」と言う言葉は半ば死語になりつつある。 人事コンサルタントたちが使わなくなっているし、各社の人事部門も、まるで腫れ物にさわるようにこの言葉を使う。 僕はこの20年にわたって、いわゆる「成果主義」を布教してきた側の人間だ。 そして…

宗教と人事制度の相性が意外に良いことに気付いた

まず最初に、僕は無宗教だ。 日本に住むほとんどの人と同様に、正月には神社に初もうでに行く。 えべっさん(これは関西限定か)で宝船をもらう。 お盆にはお墓参りをするし、12月にはクリスマスを祝う。 暮れには除夜の鐘にしみじみとものを思う。 友達や部…

事業計画を作る人は人事マネジメントを勉強した方がいい

ここ半年くらい、仕事で、たくさんの起業計画を確認させていただいた。 社会人がまじめに作るタイプの起業計画で、かなりガチなものだ。 なによりも、お金がちゃんと動いている。 中にはもう動き出しているものもある。 そんなたくさんの起業計画に、どうし…

僕が考える人事制度の本質(2014年10月13日版)

「変化の時には本質に手の届く人が出世する」 と言う言葉を本に書いた。 出世する人は人事評価を気にしない (日経プレミアシリーズ) 作者: 平康慶浩 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社 発売日: 2014/10/09 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る じ…

目標管理制度が失敗する意外な理由

僕は普通の目標管理制度については否定的だけれど、それが必要な場合がある、ということはわかっている。 ちなみに、目標管理制度を見直す方法については、以前「月刊人事マネジメント」と言う雑誌にこんな記事を書いた。 目標管理制度のカスタマイズ ~シン…

飢餓感がチャレンジ精神をはぐくむ

ヒアリングをすると新しい発見がある。一つの企業を支えてきた役員たちのふとした言葉に、多くの気づきを与えられる。 8月から、新しいクライアント1社の人事制度設計を始めた。 最初に各種分析をして、それからさまざまな人にヒアリングをしている。この…

社員が少ないからと言って人事制度設計は簡単じゃない

100人以下の会社で人事制度設計を頼まれることがあるが、僕はコンサルティングにかかる費用を値引きすることはない。 なぜかといえば、人数が少ないからこそ、制度設計が大変なことが多いからだ。 たとえば100人の会社と1000人の会社があるとしよう。 人事制…

人事評価制度改革についての個別無料相談会を実施しています

セレクションアンドバリエーションでは、毎月2日間にわたって、人事評価制度についての個別無料相談会を実施しています。 開催場所は大阪北ヤードにある、グランフロント北館7階、ナレッジサロンにて。 1社につき1時間をフルに使って、様々なご相談にお…

インセンティブの仕組みの本質

人を動かすための仕組みに、インセンティブ、がある。 「インセンティブ設計の経済学」伊藤秀史・小佐野広(2003)勁草書房、によれば、広い意味での「インセンティブとは『やる気を起こさせるもの』『アメの期待とムチの恐れとを与えて、行動へと駆り立てる…

人事制度の次のキーワードは「エスニシティ」だと思う

Photoby:Yasin Hassan Creative commons これはまったく僕の予想にしかすぎないのだけれど、それでも、人事評価制度をつくっている現場の感覚で、実感し、予想することがある。 これから数年間、こっそりと、「エスニシティ」が重要視されはじめるんじゃな…

残業代ゼロ法案で年収が23%アップする?

■ チェックが甘ければ確かに悪用されるかもしれない、けれど 著名な方々が、アベノミクスの労働時間規制の見直し=いわゆる残業代ゼロ法案について反対意見を示している。 山崎元さんのこの記事とか。 「残業代ゼロ」法案はブラック的で的外れ。労働の規制緩…

年収1億円になった人から1年以上先の目標を聞いたことがない

またまた続きを書く。いつまで続くかな。 年収1億円を稼ぐ人に共通点はあるのか - あしたの人事の話をしよう 年収1億円稼ぐ人で無礼な人はいない - あしたの人事の話をしよう 年収1億円を超えた人が、そうなってきた過程を思い出してみた。 そうして気づいた…

年収1億円を稼ぐ人に共通点はあるのか

今日から文体を変えてみる。とある本を出す準備、ということもあるのだけれど。 ************************************* 一昨年くらいから、年収1億円、というキーワードがわりと出回っていて、僕自身は興味ないけれど…

出世とはなにか

今日は短いお話。 会社の中のルールである人事制度の話をいろいろと広めてきて、どうも出世という概念についての誤解が多いような気がしています。 会社の中で出世するってどういうことでしょう。 一言でいえば、出世とは会社にとって不可欠な存在になってい…

継続雇用の仕組みは60歳よりも前の世代に向けて作る

SMBCコンサルティングの時事セミナーで話してきました。 改正高齢者雇用安定法にどう対応すべきか、という話です。 【時事】60歳以降の再雇用時代の人事制度のあり方 http://www.smbc-consulting.co.jp/company/seminar/kansai/month/201401/seminar_201…

年収300万円以下の人を減らすために人事制度でできること

以前ブログネタにしようと思っていた年収についてのグラフが出てきたので、のせてみます。 300万円以下の年収の人がどんどん増えていて、500万円~1000万円の年収の人がどんどん減っている、ってことが読み取れますね。 赤い線がわかりやすすぎます(笑) 非…

ヒューマンキャピタルに対する小考察

会社の中で人を育てようとするとき、ほとんどの場合、教育と言う手段がとられます。 職場での教育はOJT(オンザジョブトレーニング)といわれたりします。 OJTに対してOff-JTがありますが、これは集合研修や外部研修などのように、教育だけの場を設けて実施…

育休って、ダイバーシティと何も関係ないよね

ダイバーシティっていうと女性の活躍。 女性の活躍っていうと育休、ってつなげて考える人が多いですよね。 まったく関係ないと思うんですけど、そう思いませんか? 以前のブログで、「制約社員」って言葉が気に食わない、って書きました。 まるで滅私奉公社…

給与が増えないのはメニューコストのせいでもある

最近、低い給与でも充実して暮らせるよ、みたいな「プア充」と言う言葉を提唱されている方もいらっしゃいますね。 これはとても矛盾している提言ということを、どれだけの人が理解しているのでしょうか。 280円で牛丼が食べられる。100円でビデオが見られる…

10分で人の本質を見抜く方法

就職の面接や、毎年の評価の面接で、その人のいったい何がわかるのか? そんな疑問を持つ人も多いことでしょう。 私自身多くの面接を担当してきました。 その個人的な結論ではありますが、「10分話せばわかる」と考えています。 もちろん極めてまれに、そ…

適材適所をうみだすターンオーバーマネジメント

アクセンチュアの先輩であり、今仕事でもご一緒させていただいている、舞田竜宣さんの連載記事を読んで、そのわかりやすさに感動しました。 問いかけに対する回答をまとめる形での連載なのですが、賛否両論を併記したうえで結論を導いているので、とても説得…

半分が管理職になれない、って良いことじゃないの?

管理職になれない50代が55%になったそうです。 NHKのニュースにありますね。 管理職ではない中高年増加 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130912/k10014473171000.html でもよく考えると、この報道、おかしい。 まず第一に、「この20年で8ポイント余り…

あしたの人事は実は「成果主義」じゃなかったりする

成果主義、というとまあ、ほとんどのサラリーマンがなにがしかの見解を持っている言葉になりました。とはいえ、その見解の大半はいくつかのパターンにわけられます。 大きくは3パターンでしょう。 肯定派、否定派、改善派、といったところではないでしょう…