あしたの人事の話をしよう

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役 兼 グロービス経営大学院HRM担当准教授の平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

まじめな話と、雑感(よしなしごと)とがまじっているので、 カテゴリー別に読んでいただいた方が良いかもしれません。 検索エンジンから来られた方で、目当ての記事が見当たらない場合 左下の検索窓をご活用ください。

労働市場

キャリア・コンプレックスは乗り越えられるのか

photo by:Tiago Rïbeiro Http://creativecommons.jp/ コンプレックス≒劣等感はなかなかやっかいな代物だ。 企業組織の人事改革を進めるときもそうだし、たとえば誰かを昇進させたり異動させたりするとき、給与を大きく上げたり小さくあげたりするときなど、…

サラリーマンの限界が見えた

先日、青春出版社のビッグトゥモローの取材を受けた。 その記事が掲載された9月号が発売されたのだけれど、すでにご覧になった方もいるだろうか。 「会社をやめても困らない3段階式人生プラン」という記事の最初に、人事に関する現状を示す役割として取材…

【人件費の近未来1-3】 いくらベースアップすればいいのか

他社よりも先んじてベースアップを実施すれば、労働市場では優位に立ちやすくなる。 しかし他社がまったく対応しない状況で、自社だけが対応するとすれば、利益率を若干押し下げてしまう。 ベアを実施したところで、社内のモチベーションが中長期的にプラス…

【人件費の近未来1-2】 ベースアップを取り巻く要因

ベースアップは行うべきなのか。 消費税10%への再引き上げは延期されたが、5%から8%への引き上げ影響は意外なほどに大きかった。 2014年のベースアップ平均は約2%だったが(連合発表)

【人件費の近未来1-1】 人件費には4つの性質がある

(当記事は、月刊人事マネジメント2014年3月号から1年にわたって連載した記事を加筆修正したものです) 今回からの連載では、人事部門に直面する人件費についての課題を、4つの性質を踏まえて解きほぐしていく。 可能な限り、人事部門がとるべき選択肢も具…

僕が59才になるときの「確定」人口グラフをつくってみた

世の中には「確定した未来」というものがある。 人口動態、がその一つだ。 僕はいろいろな会社や組織で人事制度をつくる仕事をしているので、人口動態と言うマクロの動きも意識している。 人口動態は国勢調査でわかるのだけれど、国勢調査は5年に1回しか調査…

2050年に向けた新人研修

僕にしては珍しく、一般社員向けの研修を請け負った。 管理職手前、よりももうちょっと手前の層。 若い新卒がメインだけれど、中堅の女性一般職(元。この会社で人事制度を改革し、一般職は廃止したため)、再雇用のシニア社員などが含まれる。 この層に対す…

65才以降の生活を守るために今できること

■ 現役世代の金融資産は減り続けている ふと気になることがあったので、少し古めのレポートを探して読んでみた。 大和総研調査季報2012年新春号だ。 http://www.dir.co.jp/souken/research/report/capital-mkt/cho1201_05all.pdf 読んでみて、ああやっぱり、…

職務給の導入は年功賃金の廃止よりももっと重い問題を抱えている

日立が職務給を導入する。 <年功賃金廃止>世界企業は続々改革…日本型脱却は難しい?(毎日新聞) - Y!ニュース <年功賃金廃止>世界企業は続々改革…日本型脱却は難しい? (毎日新聞) - Yahoo!ニュース メディアはいずれも「年功賃金廃止」とかって論じ…

社員が少ないからと言って人事制度設計は簡単じゃない

100人以下の会社で人事制度設計を頼まれることがあるが、僕はコンサルティングにかかる費用を値引きすることはない。 なぜかといえば、人数が少ないからこそ、制度設計が大変なことが多いからだ。 たとえば100人の会社と1000人の会社があるとしよう。 人事制…

人事制度の次のキーワードは「エスニシティ」だと思う

Photoby:Yasin Hassan Creative commons これはまったく僕の予想にしかすぎないのだけれど、それでも、人事評価制度をつくっている現場の感覚で、実感し、予想することがある。 これから数年間、こっそりと、「エスニシティ」が重要視されはじめるんじゃな…

順調に給与を増やしたい人はどんな会社を選べばよいのか

今年も某大学の就職セミナーで話すので、そのための考え方を整理してみる。 今回のお題は『順調に給与が増える会社の選び方』 ************************************ それはどんな会社なのか? その前にまず、給与が増…

都道府県別年収分析(中編):偏差値でわかる地域の特徴

前編はこちら。 正解は以下の通り。 5位が滋賀県 9位が三重県 10位が茨城県 大阪民としては悔しかったりする。大阪の平均年収が549万2千円で、滋賀県が541万8千円なわけだから。 まあでも、京都の平均がそれよりも下だからいいか……すいません、…

都道府県別年収分析(前編):意外な県の平均年収が高い!

クライアントとのミーティング資料をつくりながら、とある統計処理をしなければいけなくなったのだけれど、ついでにやってみた分析が面白かったので掲載してみる。 (寒さのため、花見の予定をキャンセルしたので時間が余ったということもある。) 元データ…

就職という常識を変えてゆきたい

Facebookには少し書いたのですが、この2月から個人的な勉強をはじめています。 本当は勉強会にしたいのですが、勉強会にした場合、参加することの意義が必要になるわけで、まだそれをはっきりと出すことができません。とりあえず現時点で某友人弁護士さんが…

継続雇用の仕組みは60歳よりも前の世代に向けて作る

SMBCコンサルティングの時事セミナーで話してきました。 改正高齢者雇用安定法にどう対応すべきか、という話です。 【時事】60歳以降の再雇用時代の人事制度のあり方 http://www.smbc-consulting.co.jp/company/seminar/kansai/month/201401/seminar_201…

自己責任をどう考えるか~人事評価制度のつくりかた本を出版するにあたって

私の仕事は人事評価制度をつくることが主な仕事でして、その仕組みで会社を発展させたり、会社で働いている人たちに自己実現とか成長できるようにしています。 人事評価制度を作るノウハウをまとめて、2015年2月に明日香出版というところからこんな本を…

降格制度は必要なのか

私の今年の仕事納めは今日なんですが、年内に仕事が納まるわけもなく、ただ大晦日から正月に向けて家族や両親とのだんらんに時間をとるので、できるところまで区切りをつける日、ということになります。 一応納めてることになるのか。 でまあ、ブログ記事も…

年収1500万円以上稼ぐ人たち

年収1500万円以上の人って、どれくらいの割合でいると思いますか? 仮に1万人のサラリーマンがいたとして、その中に何人いるでしょう。 一桁? 二桁? 答は100人です。 日本では、給与をもらって暮らしている100人に1人、年収1500万円以上の人がいます。 も…

40歳からの稼ぎ方

若いうちに勉強とか人付き合いとかネットワークとかつくりなさい、的な自己啓発本は星の数ほどあるのですが、年齢が上がると、その類の本は激減します。 みつかったとしても、「定年に向けて準備しましょう」的なものが大半。 それってつまり、今の会社にし…

年収300万円以下の人を減らすために人事制度でできること

以前ブログネタにしようと思っていた年収についてのグラフが出てきたので、のせてみます。 300万円以下の年収の人がどんどん増えていて、500万円~1000万円の年収の人がどんどん減っている、ってことが読み取れますね。 赤い線がわかりやすすぎます(笑) 非…

ヒューマンキャピタルに対する小考察

会社の中で人を育てようとするとき、ほとんどの場合、教育と言う手段がとられます。 職場での教育はOJT(オンザジョブトレーニング)といわれたりします。 OJTに対してOff-JTがありますが、これは集合研修や外部研修などのように、教育だけの場を設けて実施…

月給100万円を目指す方法(2)

**************************** 2013年10月30日に書いた記事の続きです。 前回記事はこちら。 月給100万円を目指す方法(1) **************************** 最初に、このグラフはなんの利率をあら…

月給100万円を目指す方法(1)

平均年収が下がっています。ここ2年くらいは410万円をきるくらいです。 月給にすれば、25万円~28万円くらい。手取りだと20万円ちょっとくらいですね。 ちなみにデータにはいろいろとトリックがあります。例えば、平均年収っていうデータは、1年以上勤続者の…

自分の売り方を考える時代

自己啓発本がたくさんありますが(私も書きましたが)、それって結局、自分の売り方を考えましょうね、ということを書いているわけです。 売り方 である以上 買ってくれる人 がいるわけです。 「自分」を売買する市場の事を「労働市場」と言ったりするのです…

労働時間の切り売りから抜け出そう

仕事の合間にヤフーニュースを見たら、弁護士ドットコムのこんな記事が、トップに出ていました。 若者が「ブラック企業」を見抜くポイント http://www.bengo4.com/topics/853/ 書かれている内容は一言でいえば、「法律的な知識を踏まえて会社の本質を見抜こ…

適材適所をうみだすターンオーバーマネジメント

アクセンチュアの先輩であり、今仕事でもご一緒させていただいている、舞田竜宣さんの連載記事を読んで、そのわかりやすさに感動しました。 問いかけに対する回答をまとめる形での連載なのですが、賛否両論を併記したうえで結論を導いているので、とても説得…

企業系職業人(ビジネスプロフェッショナル)という定義

労働者が生産者(プロデューサー)になるだろう、という話を、ある大学教授との雑談で出してみました。 それってどういう意味?というご質問をいただいたので、被用者として付加価値の配分を受け取れない労働者という立場から、自身が付加価値を生み出す存在…

キャリアの棚卸しをする2つの視点 スペシャリストとプロフェッショナル

転職を考えるとき、キャリアの棚卸しをする人が多いと思います。 履歴書と職務経歴書を書きながら、過去のさまざまな出来事に思いをはせることになります。 そういえば新卒の年にこんなことがあったな。 係長昇任のときには、こんな仕事が決め手になったんだ…

サラリーマンを労働者と考えないほうがよくなってきている

あいかわらずいろいろな会社で人事制度をつくっています。 そんな中、サラリーマンという存在が変わってきていることを実感しています。 私は人事コンサルタントとしては、経済学をベースに仕組みを考えるタイプです。 他のタイプとしては、労働法をベースに…