あしたの人事の話をしよう

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役 兼 グロービス経営大学院HRM担当准教授の平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

まじめな話と、雑感(よしなしごと)とがまじっているので、 カテゴリー別に読んでいただいた方が良いかもしれません。 検索エンジンから来られた方で、目当ての記事が見当たらない場合 左下の検索窓をご活用ください。

選抜が早くなって、使えない人が増えてしまった

経産省が最近、ゴリゴリと動いている。

僕が理事を務める高度人材養成機構の取り組み(※)もその一環になるのだろうけれど、とにかく、あまっている「使えない」(と思われている)人たちを、どうやって再活性化させるかに必死だ。

 

 ※ちなみに取り組みというのは、2017年11月20日に開催する無料セミナーだ。

  興味のある方々はぜひ下記リンクから申し込んでほしい。

  リンク先の下の方にグーグルフォームでの申込リンクがある。

  たしかまだ席に余裕はあるはず。  

www.koudojinzai.com

 

そもそもなぜ「使えない」人が生まれてくるのか。

日経スタイルに書いたこの記事で、「手を動かさない」から使えなくなる、ということを書いた。

style.nikkei.com

 

けれども、人事の仕組みを設計する側からもう少しシビアな話をしてしまおう。

 

選抜が早くなっていること。

 

それが仕組みとして「使えない」人を生み出している原因だ。

 

細かいデータは割愛するが、かつての日本企業では、従業員の年次管理を基本として、ゆるやかに選抜を進めていた。

選抜とは「誰を幹部にするのか」ということだ。

そしてかつてのゆるやかな選抜では、幹部に選ばれない人もそれなりに活躍する場を与えられた。

 

しかし今は違う。

だいたい30才前後で選抜は終わっている。

40才になる頃には、幹部候補の役割とそうでない役割とは区分されている。

たとえば幹部候補はどんどん研修にも行かせてもらえるし、チャレンジングな仕事を担当させてもらえる。

 

もちろん逆転はある。

選ばれた人たちが必ずしも順風満帆に進むわけではないからだ。

むしろ若いころに失敗し続けた人の方が、努力の価値を信じられるようになっているだけ、晩成しやすい(このあたりのことは本にも書いた)。

 

逆転出世する人の意外な法則 ―エリート人事は見た!

逆転出世する人の意外な法則 ―エリート人事は見た!

 

 

けれども、逆転はあるが、少数であることもまた事実だ。

 

人の成長は学習やチャレンジングな仕事や、新たな出会いによって実現される。

それらは選抜された人たちに優先的に与えられる。

そうでない人たちは、学習を求められず、日々同じ仕事を繰り返し、同じメンバー同士の生活を送る。

 

そうして、使えない人、が生まれる。

 

対応する手段は多分二つしかない。

 

第一の手段は、選ばれなかった、と気づいた時点でさっさと選ばれそうな会社へ転職すること。大企業で選ばれなかったとしても、中堅や中小企業でなら活躍の場があるかもしれない。あるいは、都心で敗れても、地方に戻れば勝てたりする。経産省もこのあたりに力を注ごうとしている。

 

第二の手段は、自分から進んで、学習を求め、チャレンジを求め、新たな出会いを求め続けること。それがたびたび伝えているリカレント教育だ。あるいは副業や複業など。

 

共通しているのはただ一点。

会社は選ばなかった人たちになにもしてくれない。自分でなんとかするしかない。

 

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)

 

 

 

 

 

副業解禁は残酷だけど、今からでも積めばなんとかなる

僕は尖った意見の人が好きだ。

そのうちの一人が、イケダハヤトさん。高知に引っ越して活躍している著名ブロガーで、最近はビットコインにはまっているらしい。

 

まあそれはそれとして、彼の10月21日の記事の一つが面白かった。

www.ikedahayato.com

 

副業に限らず、ぼーっとしてきた人と、ちゃんと積んできた人との差はどんどん広がる可能性が高まっている。

 

なるほど。もっともだ。

 

で、ここで僕とかが調子にのって「ぼーっとしてきた人は『自己責任』じゃない?」とか言ったら、よくわからんところから怒られる。

まあそれよりは、副業で成功した人をほめたたえた方が前向きだ。

それに、できていない人を責めたところで、人は変われない。

責められると防衛本能が働くからだ。

 

だから「気づいた時点から積むようにするだけでもずいぶんと変わるので、今から積んで行きましょう!」というリカレント教育を推すことにする。

 

真面目な話で言えば、ポイントはリカレント教育そのものだけでなく、「何を学び直すのか」ということろが最も重要だ。

今、経済産業省が中心になって、そのあたりの掘り下げを進めている。

 

キーワードは「社会人基礎力」。

 

面白いことに、4つの中央省庁がそれぞれ別の観点で「社会人基礎力」らしき提言をしている。

 

経済産業省は3つの力を示している。

「前に踏み出す力」

「考え抜く力」

「チームで働く力」

 

内閣府人間力として3つの要素だ。

「知的能力的要素」

「社会・対人関係力的要素」

「自己抑制的要素」

 

文部科学省は学士力として4つ。

「知識・理解」

「汎用的技能」

「態度・志向性」

「統合的な学習経験と創造的思考力」

 

厚生労働省は就職基礎力として5つ。

「コミュニケーション能力」

「職業人意識」

「基礎学力」

「ビジネスマナー」

「資格取得」

 

どの区分も納得できそうで、今一つな気もしている。

 

僕も、自分の会社(セレクションアンドバリエーション)で人事制度設計をしたり、グロービス社会人大学院で教えたりしながら、どうすれば多くのビジネスパーソンに対して、より効率的に成長しやすい道筋を示せるかを常々考えている。

案外大事なことって、OAスキルとか、文章作成スキルとかじゃないかなぁ、とかの区分をしてみたりとか。

 

この手の話はビジネスではなく、公共的なものになりやすい。

ということで、一般社団法人高度人材養成機構の理事という肩書の方を使った検討を進めている。

その初回セミナーを無料で開催するので、興味のある方はぜひどうぞ。

 

新しいリカレントの道を探る 中高年の働き方改革に何が必要か

~人生の第二ステージに求められていることとは~

http://mail.omc9.com/l/029gAR/j0TiUm5i/

・日時:11月20日(月曜日) 19:00~20:30(開場は18:30からです)
・セミナー会場:立命館大学東京キャンパス  東京都千代田区丸の内1丁目7?12サピアタワー8階
・参加費:無料

 

定員50名なのでお早めに。

 

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)