人事部の将来について
日本人材マネジメント協会という、「日本におけるHRMプロフェッショナリズムの確立」を趣旨とした組織がある。
そこで発行している「インサイト」という雑誌の2017年7月号に、私のインタビューが掲載された。
まだWEB上でオープンにできないので、写真だけ載せてみる。
人事担当者は経営者意識を持たなければプロになれない、というようなことを言っているので、具体的に知りたい人はぜひJSHRMに問い合わせてみてほしい。
で、どんなことを言っているのかというと、一部を要約してみる。
・1990年代の成果主義改革の失敗理由のひとつに、「人の心」をわかっていなかった、というものがある。評価が低かった人たちには「何をしても無駄だ」という学習性無力感を感じさせてしまったし、評価が高かった人たちにも「もらって当然」と思わせてしまうアンカリングを発揮してしまった。
・賃金カーブが役職とともに寝てしまう、逓減型の仕組みは、従業員が転職を選べる状況では機能しない。逓増型にして、飛躍的に増やさないと。そこには年令は関係しない。入社数年でも高い給与をもらえる状況があって当然。
・「育休期間の延長」は大いなる愚策。育児をしながら働ける環境づくりこそが必要。極端な話、子どもを会社に連れてきても良いような状況があっても良い。
まあ、話した本人はよくわかるけれど、読者からすれば、議論が飛躍している部分も多いような気が。
そのうち、本にまとめてみたいけれど、人事系は出版企画通りづらいんだよな……
とはいえ頑張ってみる。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)
働かせる会社と稼がせる会社は何が違うのか
意外に知られてないが、多くの会社で、給与と働き方の関係は2つに分けられる。
一般的なのは、「給与分は働いてください」という会社。
もう一方は「稼いだ分から給与を払いますよ」という会社。
どちらが良いのか、というと、何を求めて働くのか、ということで変わる。
ざっくり言えば、生活のためのお金が欲しい人は、「給与分は働いてください」という会社を好む。
なぜなら、給与が先に保障されているからだ。
一方で、若干ギャンブル的な生き方が好きな人は「稼いだ分から給与を払いますよ」という会社を好む。
稼ぐこと、というか、より正しく言えば安定よりもチャレンジとか勝負とかが好きなことが多いからだ。
人事制度も実はこれらのどちらかによって大きく異なっている。
「給与分は働いてください」
という会社では、業績指標はあいまいな方がよいし、評価結果は相対化しないといけない。
となると行動やプロセスを評価しないと、納得感が得られない。
社内のコミュニケーション頻度は高めた方が良い。
そして、雇用は安定していた方がよい。
「稼いだ分から給与を払いますよ」
という会社では業績指標はしっかりしている方がよいし、評価結果は絶対化しないと機能しない。
となると、絶対評価しづらい行動やプロセスは評価しないほうがよい。
コミュニケーションは社内での頻度を高めるより、外部ステークホルダーと実施させる方が良い。
そして、自由に出入りできる方がよい。
結局、どういう人たちを集めて、どういうビジネスをしたいのか。どんな成功を実現したいのか、ということについての会社のメッセージが、人事制度になる。
それが、戦略が人事を決める、ということだ。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)