あしたの人事の話をしよう

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役 兼 グロービス経営大学院HRM担当准教授の平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

まじめな話と、雑感(よしなしごと)とがまじっているので、 カテゴリー別に読んでいただいた方が良いかもしれません。 検索エンジンから来られた方で、目当ての記事が見当たらない場合 左下の検索窓をご活用ください。

原題は「上司からの評価にどう向き合うか」でした

今回の日経スタイルの連載は、書く側としては少し趣を変えてみた。

 

style.nikkei.com

 

読む側はあまり気づかれないかもしれないけれど、人事制度を設計する側としての「あたりまえ」をあらためて解きほぐしてみている。

 

実際のところ、人事制度を設計する側の「あたりまえ」は世の中のあたりまえではなかったりする。

たとえば「評価って給与額を決めるためだけにするものではない」ということは、人事コンサルタントにとってはあたりまえだ(経験だけでコンサルティングする自称コンサルタントにしてみれば???となるかもしれないけれど)。

けれども実際に評価を受ける側の人たちにとってみれば、自分の給与を決める以外の意味があるなんてなかなか気づけない。そしてそれはやはりあたりまえなのだ。

 

なぜなら、視点がそもそも違うから。

 

ピアノコンクールで審査を受ける側の人に対して、このコンクールは将来有望なピアニストを選抜するためのものだから、多少荒削りでも伸び代のある人を評価する基準で開催している、と言ったところで、「そんなことより私が受かるかどうかが大事」としか思えないということだ。

 

そういう、視点の違いを踏まえた「あたりまえ」ではないことについて、しばらく書いてみようと思う。

それは僕自身にとっての「あたりまえ」感覚を改めるためでもある。

 

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)

 

 

人事部の将来について

日本人材マネジメント協会という、「日本におけるHRMプロフェッショナリズムの確立」を趣旨とした組織がある。

JSRHM

 

そこで発行している「インサイト」という雑誌の2017年7月号に、私のインタビューが掲載された。

まだWEB上でオープンにできないので、写真だけ載せてみる。

f:id:hirayasuy:20170722151000j:plain

 

人事担当者は経営者意識を持たなければプロになれない、というようなことを言っているので、具体的に知りたい人はぜひJSHRMに問い合わせてみてほしい。

 

で、どんなことを言っているのかというと、一部を要約してみる。

 

・1990年代の成果主義改革の失敗理由のひとつに、「人の心」をわかっていなかった、というものがある。評価が低かった人たちには「何をしても無駄だ」という学習性無力感を感じさせてしまったし、評価が高かった人たちにも「もらって当然」と思わせてしまうアンカリングを発揮してしまった。

 

・賃金カーブが役職とともに寝てしまう、逓減型の仕組みは、従業員が転職を選べる状況では機能しない。逓増型にして、飛躍的に増やさないと。そこには年令は関係しない。入社数年でも高い給与をもらえる状況があって当然。

 

・「育休期間の延長」は大いなる愚策。育児をしながら働ける環境づくりこそが必要。極端な話、子どもを会社に連れてきても良いような状況があっても良い。

 

まあ、話した本人はよくわかるけれど、読者からすれば、議論が飛躍している部分も多いような気が。

そのうち、本にまとめてみたいけれど、人事系は出版企画通りづらいんだよな……

とはいえ頑張ってみる。

 

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)