とんでもない上司がスタンダードだ
日経スタイルの連載記事。今回はとんでも上司への対応方法だ。
とんでもない上司というのは実はとても多い。
でも認識を変えてみれば、その理由が見えてくる。
たとえばできる人が出世して上司になる。
すると、できる自分を基準に物事を考えるようになる。
部下から見れば、とてもついていけない要求ばかりしてくるモンスター上司になる可能性が高い。
あるいはとんでもない上司の下で苦労して出世し、上司になった人がいる。
すると、とんでもない上司があたりまえだ、と考えてその真似をしてしまう。
とんでも上司の再生産だ。
要は、上司としてのふるまいを知らない人たちが上司になるのだから、そりゃとんでも上司になるだろう、ということだ。
逆に、したっぱの間に「できる上司」みたいな行動を取っている人は?
たとえば、伸び悩んでいる後輩に助言をして自主的な改善を促しているとか、結果を出した同僚を惜しみなく称賛してさらにやる気を高めているとか。
多分そういう人は、直属上司からは評価されない。2階層上の上司の目に留まったりすると抜擢されるのだけれど。
「あの人いい人なんだけれどね」と言われ続けてしまう。
だから上司とはみんなとんでもないものだ、と考えておいた方がよい。
そして、自分自身もきっとそうなる、という自戒も込めて。
自分もそうなるかも、と思える人は、一度はとんでも上司になったとしても、そこから必ず成長できる。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)
新卒で入った会社で社長を目指せなくなる時代が来る
大企業側に就職することはゆでがえるを生むかもしれない、という記事を書いた。
「同じ会社で一生活躍しよう」という考え方が今後少数派になるだろう。
それは特に、出世を目指す人の中で顕著になると考えている。
かつては日本企業の経営者は、プロパー社員から選ばれることが多かった。
上場企業の場合にそれは顕著で、1970年~2000年にかけていえばおよそ89%前後の会社がそうだった。
しかし2014年の調査では、その割合が70%にまで激減している。これは比較的早い段階での中途採用を含んでいるので、新卒採用だけで見ればさらに低い。60%だ。
つまり、わずか15年ほどの間に、新卒で入った会社の経営層に出世できる可能性が30%近く下落しているのだ。
その分だけ、他社からの役員としての招へいや、企業グループからの転籍、買収された企業からの送り込みなどが増えている。
アメリカの場合にこれがどうかと言えば、日本とは逆で、新卒からの内部昇進割合は22%ほどにしかならない。残る78%は、外部から招へいされる経営者だ。
中途採用を含めても、外部招へい割合は61%ほどもある。
かっては、今いる会社で出世を目指すことが王道だった。
けれども、今後は自社だけしか知らない人は、経営者になれなくなるのかもしれない。
そのあたりについて、社歴などを踏まえた調査をしてみたいと思っている。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)
※記事内の数値については、こちらの論文から引用させていただきました。
「経営者内部昇進制についての一考察
-日本とアメリカの比較実証研究を中心として-」
谷川 寿郎(立教大学大学院)