役職が違うことの意味(ヒラ・係長・課長編)
役職の違いによって役割が違う、ということはあたりまえなんですが、じゃあ何が違うのか、ということについてはなかなか難しいわけです。
たとえば新卒一年目の社員が入ってくると、2年目の先輩とかって超できる人に見えたりしますよね。3年目の先輩とかってまじかっこいい、みたいな。
けれども、会社からしてみればまったく同じ役割で、習熟度が違うだけ、だったりします。
できる一年目社員とかはそのあたりをすぐに察して、先輩を立てつつもさくさくと仕事を進めたりします。
で、気が付けばそっちのほうが先に主任とか係長とかの役付きになったりするんですが、先輩からすれば「あいつ育てたの俺だから」なんてまだ余裕を持っていられる。
正直それくらいの逆転だったらまだ取り返せるんですが、余裕を持っている、という時点で大間違いなわけです。
会社からすれば「教えた(と思っている)先輩<(自分で育った)後輩」という図式が成立しているので、先輩はたぶんずっと後輩の部下になること確定、ってことになりかねない。
まあこの場合、先輩に選べるのはさっさと異動するか転職を選んで、自分より優秀な後輩と直接戦わないフィールドに進むことがベターだとは思います。
このあたりのことについて、自分で気づけよ、というのはずいぶんと不親切なわけで、もしせっかく雇った人たちを無駄にしないでおこうとするなら、そういった事情も全部先に説明しておいたほうが良いのは当然です。
たとえば平社員、というか業務の「担当者」に期待する行動はどういうもので、その上の「係長」に期待するのはどんな行動なのか、ということぐらいは示しておくほうがよいでしょう。
ただ、じゃあ何の違いがあるのか、ってまじめに検討を進めたとしてもややこしいキーワードが並ぶだけだったりします。
リーダーシップレベルが……チームワークは……課題遂行、課題管理、課題監督………
人事の評価基準設計を本気で行うならそれも大事なんですが、さくっと伝えるにはわかりにくい。
今日はそんな現場のニーズにこたえるために、あっさり伝えられる役職の特徴=違いを示したいと思います。
まず「担当者」。
これは簡単ですね。
「いわれたことができる人」
です。
誰でもできそうですが、ここでまず大きな差がつきます。
「いや、こういうことだと思ってたんで」
というような勘違いならまだいいですね。
「先輩が言うことよりもこっちのほうがいいと思ってたんで」
も、まだそいつが優秀なら、ふーん、って思える。
「あ、やりなおします……(めんどくさいからそうしなかっただけなんだよな)」
というのが一定割合いたりするから結構面倒です。
次に「係長」
会社によってリーダーだったり主任だったりしますが、まあ担当レベルを超えて出世した段階です。
この段階は
「決まっていることができる人」
ですね。
ルーチンワークがちゃんとできる。
もちろん必須のマナーも守れる。
そのうえで、報連相もきっちりできる。
ビジネスパーソンとしては極めてあたりまえのレベルですが、ここまで来ることはなかなか難しい。
で、実は大半のビジネスパーソンはここどまりです。
決まっていることならできる。
そしてそこでの品質を高めていける。素早くもできる。
けれどもそれらはすべて「決まっている」ことなんで、品質を高めようが素早くしようが、付加価値を高める割合はせいぜい数%だったりします。
それでも2010年くらいまではそれでもなんとかみとめられて、40才過ぎたからそろそろ課長に、なんて昇進させてもらえる場合もありました。
けれども今は大きく変化していて、それが「課長」クラスの役割にあらわれています。
課長、というよりは、管理職、と言ってもいいかもしれません。
最近だと名ばかり管理職も減ってきているので、実質的な管理職のお話です。
その段階は
「決められる人」
です。
あいまいだったり、前例がなかったり、みんなが違う意見を言っていたり、誰も責任をとろうとしないややこしいことだったり。
そんなことについて「私が責任とるからこうしよう」と言う人です。
さらに、そのまま社内調整もちゃんとして、利害関係者の合意もとって、係長や担当者がそれらを「決まったこと」として作業できる状態に持っていける人。
それが今の課長です。
ではその上の部長は?
もちろんちゃんとした定義があります。
そのあたりの詳細はまた次回に。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)
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ボスザルの会社に入ったら優秀なほど追い出されたりする
長い社歴の会社とのおつきあいで感じたことを、ビジネスモデルと人事、という切り口で書いてみました。
それが今週の日経スタイルの記事です。
なぜ社歴の長さが、ビジネスモデルと人事、と関係するのかといえばそれは社歴の長い会社に「一発屋的なビジネスモデルの会社」が意外に多いからです。
たまたま立ち上げた会社が時流にあっていて、マーケットを作り上げた。
売り上げ規模的には30億円~80億円くらいまで育つことが多いようです。
そしてたいていが、30年にわたって右肩上がりか、あるいはほぼ横ばいの売り上げです。
だから従業員がまるっきり「ビジネスモデルのパーツ」で機能してしまうのです。
そういう会社で今起きている問題が、事業承継。
だって社内にはパーツとして優秀な人以外が存在しないからです。
都度のタイミングで、パーツを卒業できる優秀な人もいたりしたのですが、そういう人は創業者から見れば、自分の会社を奪ってしまう可能性のあるやっかい者としてうつるよです。
ボスザルが若い優秀なオスザルを追い出すようなものですね。
だから就職や転職する際には、ビジネスとして優れているかどうかだけでなく、従業員に対して何を求めているかをしっかり確認しないと、優秀であればあるほどいづらくなったり、追い出されるかもしれない、というような視点で記事を書きました。
ぜひご笑覧を。
(日経のサイトなんで、そんな露骨には書いていませんが)
平康慶浩(ひらやすよしひろ)
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