ブラック型企業を作ってきました
私のような人事コンサルタント達が、多くのブラック『型』企業を作ってきたことは事実だと思います。
ここで言っているのはあくまでもブラック『型』であって、本当のブラック企業ではありません。
「うっかり一生年収300万円の会社に入ってしまった君へ」という本にも書きましたが、人件費をコストとしてコントロールしたいという企業側のニーズに応えて作った制度が生み出した状態です。
本来であれば、同時期に導入した、業績配分型の賞与がちゃんと機能することで、その分従業員の年収は増えていたはずです。
しかし、(これも本に書きましたが)経営者も人間です。
業績悪化でしみついた恐怖心がなかなか抜けない。
だから、当初約束していた業績配分をしなかった企業もありました。
しかし一番多かったのは、そもそも景気の悪化に伴うデフレーションの進行により、業績が回復しなかった企業です。対前年比で110%を超えないレベルの成長だと、どうしても業績配分が滞りがちになります。
しかしデフレなんで、それでも生活ができてしまう。
そうして今のような年収の時代が来てしまいました。
年収ではなく、平均世帯年収で見たグラフが以下のものです。
2010年の平均世帯年収は、1988年の平均世帯年収に近い。
22年前というとバブルが始まった頃です。
将来に対する意識が今とはまったく異なります。
これから選挙が始まるわけですが、人口オーナス問題が景気を明らかに下振れさせていく。
そんな中、有効な景気浮遊策はすぐには想像できません。
どの政党が政権をとるにせよ、インフレ目標の達成、TPPを含むグローバリズムへの適切な対応など、少なくともデフレ景気からの脱却を実現できるようにしていただきたいものです。
そうしなければ、コストとして扱われる年収が、増える余地は得られない。
じり貧景気をなんとか抜け出さないといけません。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)