あしたの人事の話をしよう

人事コンサルタント 平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

まじめな話と、雑感(よしなしごと)とがまじっているので、 カテゴリー別に読んでいただいた方が良いかもしれません。 検索エンジンから来られた方で、目当ての記事が見当たらない場合 左下の検索窓をご活用ください。

新卒で入るなら日本企業?外資系企業?

先日、ターミナル駅からJRにのって、某所のクライアント先に向かっていました。
車内はちょっと混んでおり、隣のカップルの話し声が聞こえてきます。
かっちりとした細身のスーツの若い二人。
聴くともなしに聞いていると、お互いに丁寧語で話しています。

そうか、就職説明会とかで知り合った二人か。

失礼とは思いつつ耳をそばだてていると、製薬企業の名前がいくつも出てきます。
社名を平気で車内で口に出してしまうあたりがまだビジネスマナーが出来ていないなぁ、と思いつつも、見知らぬおじさんは素知らぬ顔で口を出しません。
まあがんばってねー、と思いながら聞くのをやめて、スマホでメールチェックでもしようと思ったところ、少し気になる言葉が出てきました。

外資系の先輩に聞いたんだけど、外資系製薬ってのはプロフェッショナル集団なんだって。だから就職するなら日本企業に入って経験を積んで、それから外資系に転職する方がいいって」

男の子の方が、女の子にむかって話しています。
それを聞いて女の子は、へぇー、と聞き入っています。

それを聞いて、スマホに伸ばした人差し指を止めて固まってしまいました。
はた目には固まっているように見えていたと思いますが、頭の中はフル回転。
知っている限りの製薬業界関連についての知識が頭をめぐります。
そして私なりの答を見つけて、固まった指を動かしながらメールチェックに戻りました。
もちろん、就職活動中の二人には何も言いませんでした。
やがて二人は別々の駅で下りていきました。


このブログ記事を読む人に就職活動中の方はあまりいないと思いますが(検索でやってくる人は別として)、2013年の現在、新卒で入るなら外資か日系かどちらにすべきでしょうか。

とりあえずもし相談されたなら、私ならこう言うかな、と考えました。
「今から転職を考えているんだったら、最初から外資系を目指した方がいいよ」

私が彼の言葉を聞いて固まった理由は、彼の言葉から、外資系の方が日経企業よりも上位にある、という序列を感じたからです。
新卒で外資系に入ってもついていけない。でも本当は外資系に行きたい。
だから日系企業で経験を積んでから転職していきたい。
そんなニュアンスが感じられました。
もし「本当に」外資系に行きたいのなら、最初からそうしておいた方が後悔がありません。
万が一落ちたとしても、受験の経験はのちのち生きてきます。
別の会社に入ってから改めて外資系製薬を目指すにしろ、その経験は転職活動を助けてくれるでしょう。


では、どちらでもいいんだけれど、と言う人に対してどう助言すべきでしょう。

その場合は、こんなやりとりになると想像しました。

「製薬業界を目指しているんですけど、外資と日本企業どっちがいいでしょうか」
外資系だね」
「でも、外資系って厳しいイメージがありますよね。あと簡単にリストラするとか」
「じゃあ日本企業にすれば」
「でも、日本企業ももう年功序列とか終身雇用とかないんですよね。リストラもあるって聞きましたし、実力社会ってことなんでしょうか」
「昔も今も実力社会だと思うよ」
「だったらどちらにすべきでしょうか」
「だから外資系にすれば」
「でも…(繰り返し)」

ぐだぐだですね。

論点を整理してみると、外資とか日系とか以前に、どういうキャリアを積みたいのか、ということの整理が重要になるわけです。
どんなキャリアを積みたいか考えがないまま、漠然とそれぞれのメリット・デメリットを比較して、外資系と日系どちらを目指せばいいか、と言われても答えようがない、というのが私の答でした

そのキャリアがどういうものかわからない、ということが悩みの種ではあるのでしょうが。

とはいえ、もしそばに就職活動中の若者がいたら、こんな助言をしてみてあげてください。
私の本にも書きましたが、面接の場や就職説明会で
「新卒向け研修って実際の業務にどう役立ちますか?」
と聞いてみるといいよ、と。

ちゃんと納得できる答えを返してくれる会社は、きっと若者を育ててくれる良い会社です。
そうではなく「やはり実務の中で経験を積んで……」ということを強調する会社は、自力で育たないといけない会社です。

では、外資系と日系、それぞれどちらのタイプが多いでしょうか?

実は研修体制がしっかりと整備されているのは、外資系の方です。
日系は新人研修はしっかりしていますが、階層別研修が名目だけだったりします。また、個別職務についての研修がさほど整備されていないことが多い。
加えて、研修予算についてはあきらかに日本企業の方が少ないという統計データがあります。
一方で、日本での研修がまったくない外資系もあるし、しっかりとした教育体制の超優良日系企業もあります。

企業によっても異なるので、やはり大括りではなく、個々の企業研究が大事ですよ、というお話でした。



 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)