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あしたの人事の話をしよう

人事コンサルタント 平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

まじめな話と、雑感(よしなしごと)とがまじっているので、 カテゴリー別に読んでいただいた方が良いかもしれません。 検索エンジンから来られた方で、目当ての記事が見当たらない場合 左下の検索窓をご活用ください。

課長のままで定年できない仕組みの中でどう生きるか(1)

役職定年、と言う仕組みがあります。
だいたい50歳~58歳くらいにかけて、課長以上の役職者を、役職から外して専門職に据える仕組みです。
この仕組みの目的はふたつあって、第一が組織の活性化です。高齢層が占めていたポストを若手に変えることで、業務の進め方やスピードを変えようというものです。
第二の目的は、賃金カットです。これは成果主義の時代だからではなく、生活給の時代にも普通にありました。50歳を超えた頃になると、(当時は)子供も独立してお金もかからなくなる。だから給与を下げてもいいでしょう、という発想でした。

役職定年が必要になる背景には、新卒一括採用と年功序列があります。
まるでところてんのように次から次へと新人が入ってくるので、出口がないと詰まってしまいます。
60歳定年があたりまえになったのは実は最近で、平成10年です。それまでは55歳定年が当たり前だった。
それがさらに65歳に伸びるわけですが、多くの会社では問題が生じています。

高齢層にどんな仕事をしてもらうか、ということです。

単純な方法は、役職定年の第二の目的のように、どんどん賃金をカットすることです。
55歳で役職を外れて20%カット、60歳になったら一律で40%カット、それからは昇給なし。
仮に54歳まで45万円の月給だったら、55歳から36万円、60歳から21万6千円。
通常60歳以上は賞与が支給されないので、年収換算だと620万円⇒約500万円⇒250万円、ということになります。
あまり知られていませんが、これが多くの企業の現実だったりします。
今50歳前後で、役員候補になっていない皆さんは気を付けましょう。本当に、大企業でも上記のような制度になっていることが多いですから(報酬水準は違いますが)。

賃金カットをすると人件費が下がる、というだけではない効果が、会社側にあります。
それは、一人あたりの生産性を高めることができる、というものです。
会社全体の人件費を気にするのは経営層や株主です。そして経営層から落とし込まれて、個別の部署内で人件費を気にするのが管理職です。
管理職たちは、自分の所属にある仕事の量と人員数と人件費を考えることになります。
そのとき、時給換算で5000円の人と2000円の人がいて、同じ仕事をいしているとすれば生産性が悪い、ということになります。だから時給5000円の人にそれにみあった仕事を任せたい。
でも、できない、ということもあります。
そこで5000円の時給を2000円にまで下げることができれば、生産性が確保されます。部署の中での公正性も保たれることになります。

さて。これらは高齢になると仕事が出来なくなる、とか、若手が控えているんだから席をあけてくれ、という前提に立つ話です。

役職定年の運用の現場では、わりとひんぱんに別の問題が発生します。
それは、「この人を役職から外したら仕事がまわらない」というものです。
もちろん、頭のいい人は自分が外れたらその仕事が回らないように画策していたりするものです。役職定年があることを理解していればいるほどなおさらですね。

これが部長クラスであれば、あっさりその人を執行役員に引き上げることで解決します。
しかし課長クラスだとそうはいきません。次長に引き上げる?いやそれもなにか違う、ということになります。
現実的な回答としては、課長級から給与は下げずに、役職名だけ参与にする。そうして新しい課長を作るけれども、その指導を参与に任せる、というようなものです。

こんな選択をした後で、ふと考えます。

なぜ課長のままで定年まで活躍してもらってはいけないんだろう。
特に、その人が優秀な人であれば、体力気力ともに衰えが見られない限り、活躍してもらう方が会社にとってもメリットがあるはずです。

この考えに対して、それを阻害している要因があるとすれば三つです。
そしてこの三つの要因が、過渡期にある日本の企業人事の課題でもあると考えています。

三つの要因と、高齢者が定年まで活躍し続けることのメリット・デメリットはまた次回。

 

 

セレクションアンドバリエーション株式会社

平康慶浩(ひらやすよしひろ)