あしたの人事の話をしよう

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役 兼 グロービス経営大学院HRM担当准教授の平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

まじめな話と、雑感(よしなしごと)とがまじっているので、 カテゴリー別に読んでいただいた方が良いかもしれません。 検索エンジンから来られた方で、目当ての記事が見当たらない場合 左下の検索窓をご活用ください。

売上を上げたければ人事制度を変えよう

今回の記事は企業経営をされている方や、企業で人事を担当されている方向けに書いてみます。

私は今までたくさんの会社で人事制度の構築、改訂、運用支援を行ってきました。
そんな中で、確実に喜ばれ、成功した改革事例がいくつかあります。

そのひとつが評価と給与の仕組みを改革して、数か月で売上を改善した取り組みです。

多くの方は、どうすればそんなことが?と思われるのではないでしょうか。

試しに「人事制度」と検索で打ち込んでみましょう。
予測検索の中に「売上」と言う文字は出てきません。
実は多くの人事制度は「成長性」とか「組織風土改革」とかの中長期的な目的のために改革されることが多いのです。
だから、実際に成長性や組織風土の改革が実現できたかどうかを確認するためには、数年を要します。
その間に様々な外部要因、内部要因が変わります。
だからよくなったとしてもそれが人事制度のおかげかどうかわかりません。
悪くなったとしても、人事制度のせいかどうかわかりません。

中長期的な目的のための人事改革は、その効果が不明確なため、しばしば結果以上の効果がアピールされます。
例えば社内アンケートの時系列比較によって、これだけ従業員満足度があがりました。あるいは離職率が下がりました、というようなものです。
しかし残念なことに、同時期の売上が下がっている場合もあります。でもそのことは人事制度改革とは無関係である、と言われたりもします。
こういう傾向は、安定的な大企業に多いように思います。

一方でオーナー企業や成長途上の企業ではそんなことは言ってられません。
数百万から一千万円以上もかけた人事制度改革の結果、従業員満足度が上がり離職率が下がっても、売上が下がって利益が下がったのでは意味がない、と判断されます。
だから、従業員満足度や離職率の改善も視野にいれながら、それよりも売上や利益に貢献する仕組みとしての人事制度が求められます。
そう言うニーズにこたえた結果、実際に人事制度改革で売上を引き上げることができた事例としては、以下のようなものがあります。

◇ 眼鏡販売チェーン
◇ ドラッグストア
◇ 居酒屋チェーン
◇ ITシステム受託
◇ 人材派遣(業務請負

これらの企業には実は共通点があります。
その共通点を抑えた評価と給与の仕組みを作り上げることで、売上を飛躍的に伸ばすことに成功しました。
最高の実績としては、60億円規模の企業が5年で250億円にまで伸びた原動力になった、というものがあります。

その方法の本質は二つあって、それを紹介してみます。
用語はわかりやすいように私が造語したものなのでご注意ください。

第一の方法は、「スターマトリクス」です
上記で上げた成功例は、いずれも実は売上と個人の関係が強いビジネスです。
例えば眼鏡チェーンで言えば、眼鏡の品ぞろえではなく、接客する個人のパーソナリティや眼鏡の調整スキルが売り上げに関係します。
ドラッグストアで言えば、「ちょっと熱っぽいんだけれど」と言うお客様にどんな商品を提示するか。その際にどんな受け答えをするか。
そういった個人と売上の関係性に注目して、どんな人材が企業にとって重要な人なのかをはっきりさせることです。
縦軸と横軸にその関係性を設定し、企業の中のスターをはっきりさせます。
そうして、彼ら/彼女らに着目した改革を行う。
その結果、何を評価すれば良いかがはっきりします。

第二の方法は、「単位分配率」です
単位と言うのはビジネスによって違いますが、1時間、1日、あるいは1週間の場合もあります。
その単位における理想とする売上高を計算する。
そして、最低から理想に至る売上高のグラフをかきます。
そして、その中で個人に給与として配分できる割合を算出するというものです。
その結果、企業に確実に利益を残しながらどれだけお給料を支払うことができるかがはっきりします。
給与でなくとも、賞与やインセンティブ、アルバイトの時給などにも適用できます。

こうして理屈として整理してみると、当たり前と思われるかもしれません。
でも意外なほど、多くの人事制度はこのように設計されていません。

もしあなたの会社で売り上げが伸び悩んでいるのなら、一度上記の考え方で整理してみることをお勧めします。
もちろん、弊社へのご相談はいつでもお受けしております。
メールベースであれば無料で受け付けますので、お気軽にどうぞ。
あて先は以下のとおりです。
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平康慶浩(ひらやすよしひろ)