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あしたの人事の話をしよう

人事コンサルタント 平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

まじめな話と、雑感(よしなしごと)とがまじっているので、 カテゴリー別に読んでいただいた方が良いかもしれません。 検索エンジンから来られた方で、目当ての記事が見当たらない場合 左下の検索窓をご活用ください。

売上をあげるためには人事制度を変えよう(2)

会社経営

昨日、企業経営者や人事担当者向けにこんな記事をアップしました。

売上を上げたければ人事制度を変えよう - あしたの人事の話をしよう



記事自体を書いたのは少し前なので、上記の記事の中に書いた「スターマトリクス」「単位分配率」の概念について少し補足してみます。
これらの考え方は、従業員の行動を売上に直結させるためのわかりやすい仕組みとして導入してきました。


■ 「スターマトリクス」は人材版PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)である

マトリクスでの分類と言うと、PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)が想起されます。
企業の各事業を、市場成長率と相対シェアで分類したものです。
詳細はネットで丁寧な説明が多々あるので見ていただければと思いますが、概要図は以下のとおりです。

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PPMは使い勝手がいいとともに、それぞれの象限に配置された事業への基本戦略が提示されます。その基本戦略が自社にマッチしているかどうかを検討したうえで、あるべき自社の戦略を考えることができるので、戦略策定の第一歩としてはわかりやすいものです。

さて、セレクションアンドバリエーションで提言しているスターマトリクス(人材版PPM)は、本家PPMをもじって以下のように設定しています。

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縦軸にアウトプット指標を設定していますが、これは人が生み出すことの成果をあらわします。
例えば営業職であれば売上、研究職であれば取得特許数などがここにあてはめられます。
重要なことは、このアウトプット指標は人材の成長とともに増加し、やがて頭打ちになり、その後低下するという「経験曲線」に基づくということです。

横軸にはインプット指標を設定していますが、それぞれの部署が期待する基本能力や経験をあらわします。資格職であればその資格を保有しているかどうかだったり、場合によってはコミュニケーション能力などをさします。

二つほど例をあげてみましょう。

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ここで重要なことはマトリクスで区分したあと、それぞれの人材をどのように成長させるかと言う方向性を、象限ごとの基本戦略として明確にすることです。

会社にとって売上をあげるためには一般的に左上の「スター」が重要だと思われがちです。
しかし少なくない会社で、右上の「異端児」に分類される人材が存在しています。
第一の課題は、「スター」と「異端児」それぞれに対してどのような評価と処遇を行うべきか、というものです。どちらも売上や収益はあげてくれている。しかしインプット指標に差がある。
ITコンサルタントで言えば、旧二種情報処理技術者資格しか持っていないけれどもいくつものプロジェクトでプロマネをしている人材が「異端児」、システム監査技術者まで持っていて華々しく活躍しているのが「スター」といった定義になります。

第二の課題は個別の人材に対して「期待株」なのか「数合わせ」なのかを区分することです。
若手に対して言えば「数合わせ」の象限にいることは一時的なものとなります。一方で中堅以上でアウトプット指標が低下してきたときに、市場が求めるインプット指標ニーズがマッチしているかどうか、ということがここでの判断基準となります。

このマトリクスによる検討のポイントは二点あります。
第一に、人材投資の優先度判断です。
第二に、人材ニーズに対する整理です。
そしてこれらは人材に対する行動と成長のインセンティブ設計の方向性を定めることになります。
人材投資の優先度判断とは、誰を選抜して経験を付与していくべきか、と言うことです。。さらに教育研修の機会を提供していく頻度でもあります。
人材ニーズに対する整理とは、自己研鑽を含む成長の方向性を定めるというものです。
これらを踏まえながら、人事制度の基本戦略としては以下のように差別化します。

【報酬戦略】
スター:高い基本給+高分配率のインセンティブ
異端児:中程度の基本給+高分配率のインセンティブ
期待株:高い基本給+低分配率のインセンティブ
数合わせ:中程度の基本給+低分配率のインセンティブ

【評価戦略】
スター:アウトプット
異端児:アウトプット
期待株:インプット
数合わせ:インプット

もちろんこれらは基本戦略であり、事業の状況によってアレンジはします。
ただ、原則を上記のように置いて方向性を定めることにより、人事制度は極めてわかりやすくなります。
また、売上との連動性もさらに明確になります。

 

 

 

セレクションアンドバリエーション株式会社

平康慶浩(ひらやすよしひろ)