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あしたの人事の話をしよう

人事コンサルタント 平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

まじめな話と、雑感(よしなしごと)とがまじっているので、 カテゴリー別に読んでいただいた方が良いかもしれません。 検索エンジンから来られた方で、目当ての記事が見当たらない場合 左下の検索窓をご活用ください。

給与テーブルはどれくらい公開されているのか

会社経営

多くの方々にアンケートを取る機会があったので、以前から調べたかった事を聞いてみました。

質問:あなたの会社で賃金表(給与テーブル)は公開されていますか?

回答割合:公開されている 34.7%
       公開されていない 65.3%

「就労条件総合調査」とかの公開統計データを見ても、賃金表(給与テーブル)の有無は聞いていても、公開有無は聞いていないんですね。

で、上記のアンケート結果は、予想通りという感じでした。
まあ、予想的には25%くらいかな?というところだったので、それよりは少し多い。
でも、アンケート対象となった方々の会社はいずれも評価制度がしっかりと存在している会社なので、予想より多くてもおかしくはないでしょう。

ちなみに私がご支援してきた会社では、原則として賃金表(給与テーブル)について公開を提案しています。ルールを変えたのであればそれを周知することがフェアだからです。
ただ、賃金表(給与テーブル)は公開できても、昇給テーブルは公開できない、という企業もありました。
昇給テーブルとは、評価の結果どれだけ給与があがるのか、ということを示したものです。
3等級15号俸だといくらの給与になるかは見せるけれど、そのときにB評価を取得したら、次にどの号俸にあがるのか、ということがわかります。
これを見せられないという企業側の事情は二つあって、ひとつは「そこまで見せなくてもいいだろう」という経営判断によるものです。
もう一つの理由は、「必要に応じて昇給テーブルを変更する」企業です。事情は業績動向なんですが、それ以外にもまあ……うにゃうにゃ。

労働基準法的に見ればどうなのか。
法的には労働基準法89条の2項と第106条で定めがあります。
89条の2項では、「賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項」を就業規則に記載することが定められています。
また106条では「使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則……に規定する決議を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない。 」
となっています。
どの労働基準監督署に聞いてみても「賃金表があるのであればそれは周知していただかなければいけません」と回答が返ってきます。
つまり法律的には賃金表(給与テーブル)の公開義務があります

でも社労士さんとかに聞いてみればわかりますが、賃金表は届け出なくてもいい、という人がいます。あるいは、かなりあいまいな書き方で届出しても問題ない、という指導をする人もいます。
また、「これは規程ではなく経営資料だから公開しなくても良い」と指導する方もいらっしゃいます。
それでも実際に労働基準監督署が、「あなたの会社では給与テーブルが公開されていない。法律違反だ!」と指摘することはまずありません。

だから公開義務はあるけれど、実体としては公開されていないものが賃金表(給与テーブル)なわけです。グレーゾーンですね。


法的な問題とかは置いといて、私が疑問を持っているのは、
賃金表(給与テーブル)を公開せずに従業員にキャリアパスを示すことができるのだろうか?というものです。

評価制度や給与制度、教育研修制度を構築・改善する目的は、それによって従業員の生産性を高めることにあります。
生産性を高めることができれば、売上を向上させたり、利益の増やしやすくなります。
企業にとってそれは絶対的に目指すべき目的です。
職務や役職に応じて求める生産性と、それに対する個人への見返りを記したものがキャリアパスの中身です

そのために作った仕組みを周知徹底しないことはもったいないと思うのです。
知ることで人は判断ができるようになります。
知らせることは、個人の自律的な判断、そして成長を促すことができます。
自律的に判断し成長し続ける人たちが集まった組織は、とてもとても強いものです。

賃金表(給与テーブル)を公開していない経営者の方には、自社をさらに強くするための情報公開を、是非考えてみてほしいと思います。

 

 

セレクションアンドバリエーション株式会社

平康慶浩(ひらやすよしひろ)