あしたの人事の話をしよう

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役 兼 グロービス経営大学院HRM担当准教授の平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

まじめな話と、雑感(よしなしごと)とがまじっているので、 カテゴリー別に読んでいただいた方が良いかもしれません。 検索エンジンから来られた方で、目当ての記事が見当たらない場合 左下の検索窓をご活用ください。

オーダーミスがあったときにに客のあなたはどうしますか?

あなたが居酒屋で3つの注文をしました。
そのうち二つの料理はすぐに運ばれて来たけれど、あと一つが来ません。
その間に別の注文をしましたが、それらは運ばれてきました。
でも最初に頼んだうちの一つの料理は、まだ運ばれてきません。
そこであなたは尋ねました。
「最初に頼んだ〇〇は?」
「あ、すいません。オーダーに書き忘れていました。すぐにお作りします」
と言われました。

あなたはどうしますか?

1.クレームをつけて謝罪を要求し、注文をとりさげる
2.クレームをつけて料理を手早く持ってこさせる
3.クレームを言わずに注文を取り下げるか、料理が運ばれてくるのを待つ。
  でもその店にはもう行かない(かもしれない)。

ある人から聞いた設問です。
私なら、3だな、と思いました。

別の設問です。

あなたが書店に本を取り寄せる注文をしました。
一週間後と言われて、書店に行くと、書店主が言いました。
「すいません。注文を忘れていました。申し訳ありません」

あなたはどうしますか?

1.クレームをつけて予約を取り下げる
2.クレームを言うけれども、取り寄せを継続して依頼する
3.クレームを言わずに、取り寄せを継続して依頼するか、予約を取り下げる。
  でも次からは別の店で買う(かもしれない)。

私なら3だと思いました。

その人曰く、これは最悪の選択だそうです。

「大人の対応がなんで最悪なの?」

「あなたの中に不満がたまるからです」

「なぜ不満がたまるとまずいの?」

「あなたがやがて欝になるからです」


この設問。実はとある幼稚園で行われた、子育て中の親向けのセミナーでされたものです。

子育て時に生じる様々な不満をためてしまうと、子育ての中で欝になります。
だから、不満が生じた際にはすぐに発散するようにしましょう、という内容です。

考えさせられました。

親を欝にしないためには正しい答えなのでしょう。

自分が不満を抱え込まないために、相手に不満をぶつける。
自分が欝にならないために、相手に不満をぶつける。

不満を言ってもいいのだよ、と言われた親は救われるのでしょう。

設問に対する正解が「1」なことはもちろんわかっています。
(サービス業では「3」を選ぶ客をサイレントクレーマーと言って、最悪の客として定義します)

でも。

子育ての現場では、そんなにまで自省に追い込まれるのでしょうか。
もしかすると、ですが、モンスターペアレンツが生まれる理由のごく一端がそこにあるのかも?とも思いました。

なんか怖かったです。

 

 

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)