あしたの人事の話をしよう

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役 兼 グロービス経営大学院HRM担当准教授の平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

まじめな話と、雑感(よしなしごと)とがまじっているので、 カテゴリー別に読んでいただいた方が良いかもしれません。 検索エンジンから来られた方で、目当ての記事が見当たらない場合 左下の検索窓をご活用ください。

新人研修の進め方

とある企業の新人研修の進め方を聞いてびっくりしたことを覚えています。
新人に課題を与えて、時には徹夜してでもその課題を解決させるという手法です。
これは、日本企業としての伝統的な方法なのかなぁ、とびっくりしつつもあきれました。

なぜなら、この方法では生産性についての意識が育たないからです。

時間をかけてでもよい成果を出すべきだ、という発想なのだろうとは思います。

でも、物事には良い面と悪い面があります。

時間をかけてでも良い成果を出すべきだ、という指導は、成果に対する意識を高めます。
これがよい面。

では悪い面は?

良い成果を出すためには、時間をかけてもいいんだ、という刷り込みを与えることです。

結果として何が起きるかと言えば、だらだらとした仕事の進め方を促します。

大事なことは、決まった時間内に成果を出すことではないでしょうか。

私が新卒として入社した企業の研修を思い出します。

定時での研修が終わると、すべての課題をとりあげられました。
「続きは明日にしてください」
「残業代いらないんで、もう少しやらせてください」
そういう同期がいました。
講師である先輩は冷たく答えました。
「だめです。君たちの一時間分の単価を考えてください。これが本当の仕事なら、残業した分をクライアントに請求します。その単価に見合った仕事ができるようになるために、この研修をしているんですから」

仕事を覚えるための研修なのか、職業人としての働き方の研修なのか。

研修を行うときには、目的を改めて考えてみるべきでしょう。


平康慶浩
(ひらやすよしひろ)