あしたの人事の話をしよう

人事コンサルタント 平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

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お金のカラクリがやっとわかってきた……気がする

お金、というか通貨がなぜ存在することができているのか、ずっと疑問に思っていました。
もちろん、理屈はわかってはいるのですが、なんというか実感がわきませんでした。

それが、ひょんなことから「通貨の本質とはこれか!」と気づいたので、書いてみます。
きっかけは、大量の金塊、というキーワードからでした。

仮にあなたが1kgの金塊を手に入れたとします
2013年9月27日の田中貴金属での買取価格は、1gで4,373円です。
だから1kg=1000gの金塊は、4,373,000円に変えることができます

では、もしあなたが金鉱を掘り当てたとしましょう。
鹿児島にある菱刈鉱山の場合で、埋蔵量は250トンと推定されています。
すべてを掘り起こすにはずいぶんと時間がかかりますが、仮に250トンすべてを同一レートで現金化できたとすれば、約1兆円ほどになります。
その250トンの金をあなたが手に入れたと仮定します

でも実際にはそれだけの金を同一レートで売り続けることなんてできません。
供給量が増えればそれだけ価値は下がります。
また、掘り起こすには時間もかかります。
それまで現金を手に入れられないとすれば、鉱山事業は破たんしてしまうかもしれません。

そこで、「G」という名称で、偽造できない紙を、約束手形として印刷します。
Gは、いつでも0.25gの金と交換できることを約束します。
レートとかややこしければ、仮に常に1G=1000円相当、10$相当、でも結構です。

このGを、円やドルの代わりに、取引先に渡していくとします。
また、従業員にも給料として、円ではなくGを渡します。20万円、ではなく200Gを渡すわけです。
鉱山城下町だと、そのGは簡単に流通することになるでしょう。全国チェーンの店舗では当初は難しいかもしれませんが、地元の商店や飲食店などでは十分に機能することになるでしょう。
Gがどんどん流通するようになると、取引先同士がGを用いた売買をするようになるかもしれません。

このGを裏付けているのは、一定量の金に交換できる、という約束です。
それを裏付けているのが、実際に金を算出して保有している、鉱山事業の信用です。
もし発行のつどすべての受け取り手がGを金に交換するのであれば、上記はなりたちません。
でも、交換が面倒くさかったり、Gだけで十分に生活ができたりするのであれば、あえて金に変える人は少ないでしょう。
少なくとも、Gが流通しているエリアで生活している限りは。


さて、上記は兌換通貨制度の簡単かつ乱暴な言いかえですが、何かおかしいことに気づきませんか?


Gを発行するあなたは、Gが流通し続ける限り、1gの金(きん)も失わなくて済んでしまいます
どれだけのGが発行されているのか、あなた以外には誰も知らないとすれば、
あなたは金(きん)を失わずに、なんでも買うことができます

これが通貨の本質ではないでしょうか(発行者にとっての)

しかし、一斉に交換が始まった瞬間、あなたはその分の金を失います。
もし、持っている金以上のGを発行していたとすれば、破たんしてしまいます。

大量の金を持っている、という事実を背景に、Gは流通しています。
そしていつでも交換できる、という安心感からみんなが受け取ってくれます。
それが価値が担保されていることと、他人もその価値を認めている(流通できる)
ということがお金の「信用」です。
この信用が崩れた時、誰も受け取らなくなり、金に交換されてゆきます。

通貨を発行する人に対する信用が失われたら、その通貨は誰も受け取らなくなります。

今ほとんどの通貨は兌換(なんらかの物品に交換できる)通貨ではありません。
いわゆる管理通貨制度、という、中央銀行あるいは政府がその発行量を管理して流通させる仕組みです。
その背景には、国家そのものの財政状況が信用の源泉としてあるわけです。


ではこの通貨で何ができるのか?


管理通貨として考えるとややこしくてわかりにくかったのですが、ここまで書いたような兌換通貨として考えると、見えづらかったことが見えてきます

限られた金(きん)にもとづいて発行されたGを、受け取った側の立場で考えてみましょう。

月給として200Gをもらった、鉱山の従業員がいるとします。
まず、税金などのために20Gを円に交換します。
家賃を50G支払い、食費に60Gを使い、さらに50Gは衣服や遊興費に使います。
残る20Gは貯金します。

家賃をGで受け取った大家さんは、Gが通用しないエリアに対しての支払いについて円に換えますが、それ以外はGのままで持ち、使用します。
食材費用や飲食費用を受け取った商店、飲食店でも同様です。
そしてまたそれぞれの個人がGを使ってゆきます。

金(きん)を減らしたくないあなたは、Gが通用する相手をどんどん増やそうとするでしょう。
例えば、全国チェーンの支店しかなかった業種について、エリア内独自に起業を促すことになります。
ノウハウがなければエリア外から呼び込みます。
最終的には、社会保障や税金すらGで賄えるようにすることを目指すでしょう。
Gを使う限り、あなたの金(きん)資産は目減りしないからです。
もし外部の人がGを求めるなら、それに見合った金を提供してもらうこともできます。

この状況が、発展途上国です。
資産は金(きん)ではなく、外貨準備高、ということになりますが。


GDPとはなんなのか、国内産業の発展とはどんな意味があるのか、などなども、こうして考えるとずいぶんわかりやすくなりそうです。

ちょっと長くなったので、今日はこのへんで。



平康慶浩(ひらやすよしひろ)