あしたの人事の話をしよう

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役 兼 グロービス経営大学院HRM担当准教授の平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

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年収1億円を稼ぐ人に共通点はあるのか

今日から文体を変えてみる。とある本を出す準備、ということもあるのだけれど。

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一昨年くらいから、年収1億円、というキーワードがわりと出回っていて、僕自身は興味ないけれども(まあ、そんな考え方もあるよな)くらいに思っていた。

 

で、ふと気づいたのが、僕の周りに年収1億円以上の人が5人以上いるなぁ、ということである。具体的な職業でいうと

 

・人材派遣会社の社長

・居酒屋チェーンの社長

・保険代理店の社長

・水道工事業の社長

・とある会社の社長

 

などがいらっしゃる。

過去のお付き合いを思い返すともっと多彩になるのだけれど、面倒は嫌なのでこのくらいにしておこう。

 

で、これらの方々に共通点があるのかな?と言うことを考えてみた。

 

こうして書いてみた文章から、誰にでもわかる共通点は、みんな「社長」だということだ。

僕が書いている以上、そりゃそうなんだ。

僕は地主とか政治家とか宗教家とか作家とかにも友人や知人はいるけれど、彼らの年収は知らない。

僕が年収を知っているのは、僕の仕事で知らざるを得ない場合に限られる。どこかの歌舞伎役者のように、「あんたの年収いくら?」なんて聞くこともないし。

もちろん、地主とか政治家とか宗教家とか作家とか、自分である程度年収をコントロールできる人たちは1億円の年収をとっていることは、まずありえない。そんなことをしたらとんでもないことになるからだ。

 

ちなみに僕はけっこうな一流企業の人事コンサルティングもしてきたけれど、年収1億円を超える人を、人事データで見たことはほとんどない。かろうじて見た場合であっても、それは年収+賞与で1億円を超えるような場合だ。年収そのものは5000万円ほどで、ロングタームインセンティブという仕組みでプラス8000万円が支払われた例などだ。

 

でも考えてみれば、「社長」こそそのコントロールができる立場にいるはずだ。

なのに彼らの中に、年収1億円以上をとっている人たちがいる。

年収1億円をとるなんて、実際のところ損しかありえない。

そのような状況におかれたとしたなら、まず、自分の所得以外の方法でお金を「使う」方法を考えるからだ。所得を増やすことには興味がなくなって、「使える」お金を増やすことに全力を注ぐ。

高額な商品を買うためのお金は、たいていが会社の経費で落ちるようになるから、自分のふところを痛める必要もない。まあ痛む、という感覚もなくなるのだけれど。

となれば自分の所得を増やす意味はなくなる。

日本でいえば、だいたい年収3000万円くらいを境にして、あとはただの数字遊びに変わる。

 

それなのになぜ年収1億円をとる社長がいるのか?

 

僕の実感でいえば、実はそれは当然のことだった。

別に不思議な話でもないし、ずっとあたりまえのように感じてきたことだったからだ。

人事コンサルタントとしての仕事上のその「あたりまえ」が、世間のあたりまえではない、ということにようやく最近気づいたのでおいおい書いていくけれど、断定できることが一つだけある。

 

年収1億円を稼ぐ人は特別な人じゃない、ということだ。

 

そのあたりの秘密を、少しずつだけれど書いて行ってみよう。

 

 

 

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)