経営企画や財務経理じゃなくて、人事部門だけが持つ強みがある
■ 分析後対応こそが人事の強み
人事部門の圧倒的な強みはなにか?
それは適正配置を提言できるということだ。
前回の例では,分析後2 種類の対応を提案した。
「拠点別・部門別生産性分析」で判明したのは,建設課の非効率性だった。
全社で見ればキャッシュを生み出しているものの,拠点別に見た場合に,生み出すキャッシュの額に大きな差があったのだ。
その理由は,技術を持った建設課員がそれぞれの拠点に張り付いたまま仕事をしていたからだった。
例えば埼玉支店の建築士に時間の空きがあったとしても,忙しい神奈川支店の手伝いはさせていなかった。
このとき,人事部門から提言した対応案は,技術系人員について,都道府県をまたがるエリア単位での業務割り振りを行う体制の構築であり,営業拠点を横串で通す「技術系部門長」というポストの創設だった。
「顧客別・拠点別月次生産性分析」でも別の課題が判明した。
それは営業課員スキルタイプの固定化からきたものだった。
官公庁営業とデベロッパー営業の違いに対応できない者が多く,季節によって無駄な人件費が発生していた。
解決策は,顧客をまたがる営業社員のローテーションだった。
■ 収益性分析との違い
経理や経営企画が作成する資料は,基本的に収益性についてのものだ。
収益性の背後には様々な要因がある。
分析の時期によっても,収益性を変える要因は異なってくる。
そのため,収益性をもとにした経営課題の検討では,都度テーマが変わる。
製品品質のときもあれば,物流コストの場合もある。
しかし生産性軸はぶれない。
その仕事についている人数あるいは人件費の観点から,常に一本の軸で検討することができる。
「生産性について問題がない」という結論が出たのであれば,その時期には別の課題を検討すればよい。
一方で「生産性に問題がある」のなら,テーマはすぐに具体的になる。
対応策は,人事部門だからこそ強く打ち出すことができる。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)
セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役
※当ブログ記事は、平康慶浩が月刊人事マネジメントで2013年9月~2014年2月にかけて連載していた「経営ブレインへの転換を図る5つの人事機能」から転載しています。
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