都道府県別年収分析(中編):偏差値でわかる地域の特徴
正解は以下の通り。
5位が滋賀県
9位が三重県
10位が茨城県
大阪民としては悔しかったりする。大阪の平均年収が549万2千円で、滋賀県が541万8千円なわけだから。
まあでも、京都の平均がそれよりも下だからいいか……すいません、冗談です。
さて、これにはもちろんカラクリがある。
滋賀県は就業率がとても高い。
この理由は日本総合研究所(僕も以前在籍していた)のレポートでも記されているが、女性・高齢者が働いている割合が高い、とか、地域外からの労働需要が大きい、ということなどが理由にあげられる。
超簡単に言ってしまえば、大企業が工場をつくるから就業率が高いのだ。
そして、地域外から来る工場以外の働き先が少ないのだ。
工場では、大企業としての給与を払うから、平均年収もあがる。
そもそも働いている人たちが転勤者たちということもある。
一方で地元のの人にしてみれば、地域の中小企業とかが少ないから、安い年収の働き先がない。
だから平均額は上がってしまう。
つまり、地域の産業は少ないけれども、統計上の年収はあがってしまう。
でも独自の産業が少ないから、一部のサービス業以外の景気が良くなるわけでもない。
三重県にも同様の理由がある。
茨城県には少し独特の理由があるかもしれないので、ここでは理由を割愛しよう。
重要なことは、以前にもまして地域ごとの差が広がっているということだ。
地域の違いが、年収などの統計に一定の特徴を示すということが、分析からわかる。
■ (東京&神奈川)vs(愛知&滋賀)vs(大阪)
先ほどの年収ランキングの上位5県を、とあるグラフで示してみよう。
ここでは年齢、勤続年数、所定内給与(月給)、賞与、年収(所定内給与×12+賞与)を示している。
けれども、縦軸は4.0~-4.0だ。
なんのことかわからない?
当然だ。
グラフの下に説明を示そう。
+4.0~ー4.0の意味は、実は偏差という統計的な考え方だ。
受験を経験した人ならわかると思うけれど、ここで言う1.0は、偏差値でいえば10にあたる。
つまり+1.0は偏差値60、+2.0は偏差値70だ。
逆にー1.0は偏差値40、-2.0は偏差値30だ。
また、各項目の意味はこうだ。
年齢はその給与をもらえている平均的な年齢だ。
この偏差が高いということはつまり、全国平均よりも高い年齢で地域平均の給与をもらっているということだ。逆にこの値がマイナスなら、全国平均よりも低い年齢で地域平均の給与をもらっているということだ。
年齢の偏差値は低い方がもちろん良い。
勤続年数は、正社員かどうかということに読み替えられる。
勤続年数の偏差値が高ければ、正社員が多いということだ。
しかし勤続年数の偏差値が低いというのは、アルバイトや派遣社員などの有期雇用社員が多いということでもある。
所定内給与と賞与はいずれも年収にかかる。
しかし所定内給与が多い方が安定性が高い。
一方で賞与は増減するので、例えば所定内給与が低くて賞与が高い場合、景気が悪くなればすぐに年収が下がるという可能性もある。
さて、こうしてみると、このグラフに特徴があることがわかる。
第一に、東京と神奈川のグラフの傾きはそっくりだ。
第二に、愛知と滋賀もそうだ。
第三に、大阪だけ違う。
そして、第一と第二と第三のグラフの傾きは全然違う。
東京と愛知と大阪とで、年収を決める要素が違っている可能性があるということだ。
このあたりから、日本の都道府県、ひいては地域のこれからの違いが見えてきそうだ。
次回はその秘密を解きほぐしてみよう。
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