あしたの人事の話をしよう

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役 兼 グロービス経営大学院HRM担当准教授の平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

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都道府県別年収分析(後編):東京・愛知・大阪とで違う給与の仕組み

都道府県別年収分析の前編、中編は以下のリンクへどうぞ。

(前編)意外な県の平均年収が高い!

(中編)偏差値でわかる地域の特徴

 

中編で

東京と愛知と大阪とで、年収を決める要素が違っている可能性がある」

と書いた。

じゃあ何が違うのか、ということを分析してみよう。

 

 

■ 東京型は勤続年数短くても月給が高い

 

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中編で示した偏差値グラフを見ると、勤続年数に谷があって、所定内給与に山がある。

これを言い換えてみよう。

第一のポイントは、全国平均よりも短い期間だけ働いている人が多いということだ。

元データになっている賃金構造基本統計調査はそもそも正社員を対象にしたものなので、派遣社員やアルバイトは含まれていない。

そして年齢は全国平均よりも高い。神奈川は全国平均よりも低いが、それでも勤続年数に谷ができている。

ということは、東京型は転職による中途採用者が多い、と言うことだ。

転職する人が多い、ということはそれだけ労働需要がある、ということでもある。

なぜなら多くの日本人は転職を嫌うからだ。できれば転職したくない。でも転職するとすれば、給与が増えるか、少なくともとんとんである会社を選ぶ。

そのような転職先がある、ということが東京型の特徴だ。

 

第二に、月給が高いということはそれだけ需要がある、ということだ。

少なくとも全国平均より高い金額を示さないと採用ができない。

生活に必要な費用が高い、と言うことが原因かもしれないが、少なくとも東京が全国トップの給与水準である、と言うことは納得しやすい。

これは第一の特徴を裏付けるものでもある。

 

このグラフから読み取れることはもうひとつある。

第三のポイントは、実は所定内給与と賞与が連動している、ということだ。

あたりまえのように思うかもしれないが、これは他の地域、特に愛知型と大きく異なるポイントでもある。

東京型では、年収管理の傾向が強いのだ。

 

 

■愛知型は賞与で年収を調整する

 

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次に愛知型を見てみよう。

 

まず一目でわかることが、年齢と所定内給与の谷だ。

特に愛知の年齢の偏差値はー2.0、ととても低い。それだけ若い人が多い、ということでもある。

一方で勤続年数は高い。

ということは、高卒者の採用割合が高く、かつ一社で長く勤務する、ということだ。

 

また所定内給与に谷がある、ということは賞与が高い、ということでもある。

これは読み替えると、愛知型は景気にあわせて賞与で調整する報酬モデルであることがわかる。

 

つまり、東京型が転職が活発に行われている状態を示すのに対し、愛知型は一社で長く勤務する、安定的な就業形態であることがわかる。

 

 

■大阪は全国平均型?それとも……

 

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次に、僕が住んでいる大阪型を見てみよう。兵庫県もほぼ同じ形のグラフになるので併せて掲載してみる。

 

グラフを見れば、勤続年数に谷があるが、それ以外はすべて偏差値±1.0におさまっている。

勤続年数の谷はかろうじて、東京型のような転職市場の存在を想像させるが、その規模はとても小さい。

給与水準はそこそこあり、賞与もほぼ平行だが、山や谷といえるほどでもなさそうだ。

 

大阪型はどう読み取ればいいのだろう?

全国平均的な地域なのだろうか。

 

僕の考えでは、大阪型は東京型が失敗している状態だ。

大阪と東京とを比較してみよう。

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 このグラフでみれば一目でわかる。

年齢や勤続年数の傾きはほぼ同じだが、所定内給与、賞与、そして年収が全く違う。

つまり、大阪は東京のようになれなかった状態なのだ。

そこそこ転職はしているが、給与水準は高くはない。

人々のライフスタイルは東京に近いが、働く場所の選択肢が東京ほどないし、給与水準も高くない、と言う状態が大阪だ。

 

 

■その他の地域はどうなっているのか

 

分析の結果、東京型、愛知型、大阪型があることがわかるが、これらを相関分析と言う手法を用いて、似ている都道府県を抽出してみよう。

5つの偏差値の相関分析を行い、相関係数が0.9以上(きわめて似ている)となっている都道府県だ。

 

東京型に属する地域

:東京、神奈川、京都、埼玉、千葉

 

愛知型に属する地域

:愛知、滋賀、静岡、三重、茨城、栃木、岡山

 

大阪型に属する地域

:大阪、兵庫、(なぜか)沖縄

 

じゃあそれ以外の地域は?

参考までに示してみよう。

 

福岡型に属する地域(年齢が高くそれ以外が平均より低い)

:福岡、長崎、大分、鹿児島、青森、宮崎

 

島型に属する地域(すべて平均より少し下)

:広島(のみ)

 

島型に属する地域(年齢と所定内給与が平均以下だが勤続年数は高い)

:徳島(のみ)

 

あとは、それ以外だ。

 

ちなみに、47都道府県のうち、年収項目での偏差値がプラスの地域がいくつあるか考えてみてほしい

 

偏差値だから、半分くらい?

 

それとも三分の一?

 

 

答は7都道府県

東京、神奈川、愛知、大阪、滋賀、京都、静岡。

特に東京だけで、日本全国の人件費(正社員分)の20%が支払われている

 

地域格差はこれほどまでに広がっている。

 

 

 

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)

 

 

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