あしたの人事の話をしよう

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役 兼 グロービス経営大学院HRM担当准教授の平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

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ビンゴゲームが意外に従業員満足度に貢献する件

ある会社で、ビンゴゲームを報酬にリンクさせてみたら、なぜか離職率が下がった

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その会社では、もちろん評価制度はちゃんと運用していた。

ルーチン業務をしている人に対してはチェックリスト形式。

企画系業務をしている人に対しては、目標管理制度。

そして全員に対して、行動を確認するためのコンピテンシー評価。

これらを勘案して、昇給や賞与にも反映してきた。

 

でも、一定水準より離職率が下がらなかった。

もちろんある程度の離職率は健全だ。

離職率ゼロ%の会社はいい会社なんかじゃない。

動脈硬化一歩手前の不健全状態だからだ。

せめて2~3%の離職率があった方がよほど健全だ。

 

しかしその会社ではそれよりも離職率が高かった。

 

辞めるという人に、人事が話を聞いても本当のことは聞けない。

だから辞めてほしくない人に限定して、僕が何人かの話を聞いてみた。

 

そうしてわかったことは、評価と報酬の関係に納得がいかない、というものだった。

評価に公平性がない。

上司の好き嫌いが反映されすぎている。

結果として、「自分はできているのに給与が低い」「あんな奴の給与と同じなんて耐えられない」という意見があった。

「出来ない連中がぐちぐち言い過ぎる」「ねたまれるのに疲れた」と言う意見もあった。

だからせめて、自分と同じレベルの会社にランクアップ転職します、という意見などがあった。

 

彼らが正しいのか、勘違いしているのかは定かではないが、辞めてほしくなかった人財であることは確かだ。

 

そこで、評価者間の公正性を保つためのさまざまな改革をした。

それらはもちろん効果を発揮したのだけれど、やってみた改革の中に変な取り組みがある。それがビンゴゲームだ

 

ビンゴゲームというと、忘年会などで行われるものと考えるかもしれない。

最初に数字がそろった人から景品をもらえる。

でもこの会社では、業績賞与の一部をビンゴゲームで支払うようにしたのだ。

評価も何も関係なく。

 

最高額は20万円。

次が10万円、5万円、2万円、1万円、と続く。

20万円は3人で、10万円は10人、5万円は20人、といった具合にした。

(金額と人数については本当のことは書けないので、イメージだ)

 

そうして、業績報告のための全社集会で、ビンゴゲームをした。

盛り上がり方はすごかった。

もらえた人は喜んだし、もらえなかった人も、残念がったが、それほど悔しそうではなかった。

 

ビンゴゲームを2回、つまり1年が経ったころから離職率が下がったことがわかった。

ビンゴゲームを4回やったあたりからそれは確実なものになった。

 

もちろんビンゴゲームだけが理由ではないだろう。

 

でも、評価に対する不満が、偶然と言う名の公平さで和らぐのかもしれない、という実感はできた。

今でもその会社ではビンゴゲームをしている。

 

註:どの会社?と問い合わせをいただいても、答えられませんのであしからず。

 

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)

 

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