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あしたの人事の話をしよう

人事コンサルタント 平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

まじめな話と、雑感(よしなしごと)とがまじっているので、 カテゴリー別に読んでいただいた方が良いかもしれません。 検索エンジンから来られた方で、目当ての記事が見当たらない場合 左下の検索窓をご活用ください。

起業は学生のうちに経験しておいたほうがいい

起業 働き方 大学教育 自己啓発

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起業はいつでもできるけれど、最適なタイミングはいつか、と聞かれたら僕は学生時代だと答える。

 

先月、立命館大学大学院の企業ファイナンスの講義にゲストスピーカーとして招かれ、ファイナンスで得た資金の用途としての人事マネジメントのあり方について話をした。

そのあと、大学院生からのキャリアについて多少の質疑応答を行ったのだけれど、そこで僕が話したことのひとつがそういう話だ。

 

メリットはいくつもあるけれど、大まかなところでは三つ。

学習、つながり、ビジネスの視点からのメリットがそれぞれある。

 

まず学習の視点からは、バランスシートが肌でわかるようになることが最大のメリットだ。

P/L、つまり損益計算書というのは比較的わかりやすいけれど、BS、つまり貸借対照表はわかりにくい。

資産や負債についてはなんとかわかったとしても、資本がとにかくわからないことが多い。

また、損益計算書と貸借対照表がどうリンクするのかもわかりづらい。

けれども起業して登記のためにお金を払ったり、モノを買ったりすると、資本金という形で銀行に振り込んだお金がどう変化していくのかがわかる。なんといったって自分のお金だ。それが確実に消えて、目に見えないもの(印紙税とか)やモノ(パソコンとか)に変わっていくのだ。

そして2回くらい決算を経験すれば、損益計算書と貸借対照表の関係もわかってくる。

利益が出れば資本の部が増えるので、なるほどこれが企業価値の増大か、と実感できる。

 

つながりの視点からのメリットのためには、3人で起業することを勧めている。

複数人で起業することには、意思決定が遅くなるというデメリットはあるけれど、それよりも大きなメリットがうまれる。

第一に、起業した会社を私物化しづらくなる。だから「会社」という存在に対して客観的になれるので、さまざまな経営判断が公正にしやすくなる。

第二に、一緒に起業したメンバーとの間で深い関係を築くことができる。その関係の中で、お互いの強みや弱みも理解できるし、違うことができる人間が集まってできることの大きさもわかるようになる。

第三に、それぞれのネットワークを活用できるようになる。一人では知り合えない人にも、複数の人がいればつながりやすくなる。

 

ビジネスの視点からは、ローリスクでリターンを得られるという点が大きなメリットだ。

もちろん起業にはそれなりにお金がかかる。僕が勧める時には、とりあえず30万円は用意しよう、ということを話す。

このうち20万円くらいはあっという間に消える。印紙税とかなんやらかんやらがあるし、名刺をつくったり営業資料を印刷をしたりプロバイダーと契約するのにもお金がかかる。

しかし、少しでも収益をあげることができれば、それは時間を切り売りするアルバイトよりも大きな金額になりやすい。

また、頭の中が、時給1,000円×働いた時間、という発想じゃなく、顧客数×単価、という頭に切り替わる。そうなると人は自然に、収益を意識するようになって、それを大きくしようとするようになる。なかなか実感できないかもしれないが、これはすさまじく大きなメリットだ。

 

学生時代に起業したからといって、就職活動をしてはいけないわけじゃない。

多くの「ロイヤリティ型企業」(by出世する人は一次会だけ参加します)では副業は禁止しているだろうけれど、「環境適応型企業」や「自立型企業」では認めている場合もある。

仮にロイヤリティ型の会社であったとしても、副業は禁じても、株主になることは禁じてはいない。だから起業したビジネスがうまく回っていれば、誰かに任せて就職してもいい。

 

実際に僕に相談してきた大学院生にはもう少し細かいところを助言した。

たとえば友達と3人で起業する場合の持ち株比率はどうするか。

資金を援助してあげるというどこかの社長(僕じゃない)からの申し出にはどう対応すればいいのか。

〇〇をやりたいということを踏まえて実際にどう収益につなげるのか。

などなど。

 

いずれにしても、学生起業はどんどん増えるべきだし、そのことを後押ししてあげるビジネスパーソンがもっと増えてもいいんじゃないかと思う。

だって、学生である彼らが失うのは資本金と起業にかけた時間くらいなものだろうし、後押ししてあげる僕たちが失うものはせいぜい手助けする時間ぐらいだ。

しかし彼らも僕たちも、それよりももっと多くの物を手に入れるのだから。

 

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)