「課長1年目の教科書」一部紹介
2月16日(2016年の今年)に、新刊を上梓することになった。
「課長1年目の教科書
~組織を動かす4つの力と出世のルール」
という本だ。
ちなみにアマゾンにももう掲載されている。
で、せっかくなので、一部を抜書きしてみる。ぜひ購入の参考にしてもらえたらと思う。実は本文は「ですます」調なので、このブログと文体が違いすぎて、ちょっと書きづらいのだけれど(..)
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改めて、課長の仕事とは?
あなたは課長の仕事とは何か? きちんと理解できているでしょうか?
例えば、あなたがいま、課長1年目だとしましょう。経験の浅い課長であったとしても、その役職にある以上、あなたは社内で一定の知名度のある社員になっているはずです。
それは課長という仕事が持つ2つの顔と関係しています。
1つは会社の組織全体の中でちょうど中堅に位置し、平社員、係長、チームリーダーなどを監督する立場としての顔。もう1つは、経営者と直接仕事の話ができる管理職の一員としての顔です。
例えば、経営者とのやりとりの場となる予算会議などで、実務の現場で起こっていることを報告するのは課長の重要な仕事です。その際、経営者が読むに耐える資料を作成するなど、課長代理、係長時代とは異なる責任を担うことになります。
加えて、課長になると2つの権限が正式に与えられます。
1つは予算の管理。もう1つは人事査定です。
「課長がハンコを押さないと仕事が進まない」と聞くと、部下の愚痴のような軽さがあります。しかし、予算の管理に実質的な責任を持つという立場は、会社の経営に関与することです。この経験することは、その後、部長、次長とさらに上のポストへ進んでいくうえで非常に重要な意味を持ってきます。
また、部下の業績や能力を評価する側になるというのは、ビジネスマンとしての立場の大転換です。もちろん、課長は部長から評価される立場で本格的な人事権はありませんが、それでも課長が部下たちの人事査定を行うという事実は変わりません。
20代、30代前半の社員にとって自分の評価を決める課長の存在は大きく、人事査定は仕事を進めていくうえでの武器になります。
それは課長の仕事が、人を動かすことだからです。
課長には、部下を動かし、上司を動かし、組織を動かすことで課としての成果を生み出すことが求められています。自分で現場の仕事をすることが好きで、有能な人ほど、ここで課長の壁にぶつかります。
優秀だけれどプレーイングマネージャーになってしまい、実務に追われ、予算の管理や人事査定がおざなりになってしまっては、さらに上の上司からの評価は下がるばかり。下からは「あの人は仕事ができる」「あの人は信頼ができる」と評されたとしても、部長や役員のイスは遠ざかっていきます。
上が評価する課長とは、「できるやつ」ではありません。「あいつは人を動かすのがうまい」「組織として結果を出している」人なのです。
課長を取り巻く人も多彩になっています。会社の規模にもよりますが、部下の年齢層は幅広くなりつつあります。また複数の雇用形態が入り混じっていることだってあります。ベテラン社員、新人社員、契約社員、嘱託社員などのさまざまな属性にあわせて彼らをマネジメントし、課の成果を出しているのか。課長は、部下、上司の二方向に目配せをしつつ、顧客に向けた業務を向上させなければならない非常に難しい立場なのです。
この複雑な舵取りをこなすためにも課長一年目の時点で自分は現場の実務の第一線から離れた、まったく新しい仕事に就いたと気持ちを切り替えるべきなのです。
Point 課長の仕事は人を動かすことと知る
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今までの本はすべて「だである」調で記していたけれど、今回は読みやすさを考えてこうしてみた。
課長1年目というタイトルだけれど、主任や係長段階で読んでもらっても役にたつだろう。また、部長クラスで、自分のキャリアを振り返る意味で読んでもらっても、頭の整理になるはずだ。
2月16日まではまだ間があるけれど、書店に並んだ時点で、良かったら手にとってみてほしい。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)