前提をそろえてモヤモヤをなくそう
ちょっとした楽しい雑談のはずが、お互いに嫌な気持ちで終わってしまうことがあります。
たとえば
「このあいだ、定年退職したAさんをスターバックスで見かけたんだけど」
と話しかけたとたん
「まだこの辺うろうろしてるの?嫌な人だったよね」
と個人的な見解を一方的に返されてしまうことなど。
けれどもこちらが言いたかったのは
「スーツ姿で元気そうだったから、最近は65才過ぎても活躍できる場所が増えているのかなぁ」
という社会事象について話したかっただけだったりして。
でも今さらそういう話だったとも返せず
「いや、まあ僕にはそれほど嫌な感じはしなかったかな、はは」
とお茶を濁して、話を終わらせることになります。
そんな風にならないためには、たとえば最初に一言
「65才からの働き方についてちょっと考えるきっかけがあったんだけどさ」
と添えておけば、聞く側も
「ああ、そういう話なんだ」
と準備することができます。
だとすれば、私たちは人とコミュニケーションするときに、具体的な話に入る前に、前提を確認する必要がありそうです。
自分から話すときには、何について話すのか、ということを簡単でいいから示
す。
また、相手からの話の場合には、さりげなく、話の方向性を確認することが望ましいわけです。
わかりやすい話をする人というのは、この前提をしっかり示してくれています。
さらに、主語と目的語をわかりやすく示してくれるので、聞く側としても素直に理解できるのです。
ただ、親しい人同士の間だと、これは逆効果の場合もあるようです。
というのも、前提が共有されている、と言う理解で話しているのに、あらためてその確認をするということは
「あなたとそれほど親しくありませんよ」
と告げられている気持ちになってしまうからです。
そんなときには、さりげなく察する、ということも重要なのかもしれません。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)