夏冬賞与ってやめてもよいと思っています
日経スタイルにこんな記事を書きました。
ご存じの方も多いと思うのですが、日本であたりまえの夏冬賞与の仕組みは、世界的にはレアです。
夏冬賞与がうまれた歴史的な経緯はおいといて、夏冬賞与は、従業員から見れば業績に応じた生活水準の底上げであり、会社から見ればいざというときの人件費の調整弁です。
今回、その調整弁が使われることになって、いざ従業員から見ると、底上げされてしまっている生活水準を下げられなくて大変、というお話です。
多くの会社で賞与が減額されたりゼロ支給になるのを見るにつけ、会社が賞与で人件費を調整弁にするのって、そろそろやめた方がよいと思いました。
賞与を全部月給に割り振ってしまって、「うちは賞与ありません。その代わり基本給が高いです」、としてしまったほうが、お互いにフェアだと思うからです。
もちろんそうすることで、残業代算定基礎が増える、とか、社会保険料負担が増える、とか、いろいろな事務的な問題はあります。
また、会社としては、雇用を調整弁にせざるを得なくなります。
業績が悪化したから従業員を解雇する、ということのハードルが低くなります。
けれども、もう世の中の流れはそちらに向かっています。
賞与制度を廃止して、月給に基づく年俸制に切り替えてゆくタイミングが来ているのです。
メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に切り替えるにも、その方がわかりやすく運用がしやすいのです。
ちなみにもちろん弊社では、そのような仕組みです。
仮に年収600万円だとしたら、単純に毎月の月給は50万円。
シンプルで分かりやすいと思いませんか?
平康慶浩(ひらやすよしひろ)
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維持と創造を繰り返すマーケットキャリア
コロナの後の企業経営では、企業業績の上げ方と、それに伴う人のマネジメントが変わるだろうと予測されます。
まず企業業績の上げ方という意味では、維持のための活動と、創造のための活動との違いが意識されるようになると思っています。
そして、それぞれに求められる人のマネジメントの違いがさらにクローズアップされることになるでしょう。
なぜなら、維持と創出とでは、求められる能力(インプット)や行動(スループット)、成果(アウトプット)が全く異なるからです。
さらにアウトプットが最も重要である、ということがはっきり示されるようになりました。
リモートワークが進展する中で、どんな能力を持っているか、どんな行動をとっているか、ではなく、どんな結果を出したのか、でマネジメントすることが最も効果的だということが見えてきたからです。
維持と創造、それぞれに求められる成果とはなんでしょう。
きわめてシンプルに言えば、前者は今あるものを大きくしていくことです。いわゆる1を2,3,4,10,100、と大きくしていくことです。
一方で後者は、0を1にすることです。
ただし維持と創造とは、それぞれ明確に分かれるものではありません。
維持の中に創出があり、創出の後に維持がくるからです。
例をあげてみましょう。
事務職を専門とした人材紹介会社の営業職として活躍することは「維持」に属する仕事です。
求められる成果は、自社データベースに登録している人材をいずれかの企業に採用してもらうこと。そこで得られる紹介料を確実に入金してもらい、かつ返金条件を満たさないことです。
そのために必要な行動は、企業側のニーズを把握することと、今登録している人材の状況を把握することです。たまたま登録者が自分から企業を検索して応募してくれる可能性はありますが、それよりも積極的に働きかけるほうが効果的です。
そのためのノウハウは、上司や先輩から教わることができます。
となると、そこに求められる人材マネジメントは、上司からのノウハウ伝授=人材育成、であったり、コミュニケーションスキルの向上のための教育だったり、数うちゃあたる式の営業繰り返しだったりするわけです。
しかしこれまで事務職限定だった紹介業を、理系技術者にも広げたとしましょう。
このとき、仕組みは同じですが、求職者の属性や、求人企業側のニーズが異なっているかもしれません。
そのため、かなり「維持」寄りではあるものの「創出」側の成果が求められるようになります。
必要なノウハウが自社内になければ、他社から持ってくるか、自分で考えださないといけません。
これらのスキルがまさに「創出」のためのものです。
となると、情報収集力や論理的思考力が重要視されます。
また、習熟は不要で、アジャイルなトライアンドエラーが求められます。
ただ、そうしていくつかの成功例ができると、次にまた「維持」側に戻ります。
ようやく0⇒1になった理系技術者派遣事業をさらに大きくする作業がまさにそれだからです。
これまでのキャリアというと、現場に習熟して経験を積み、マネジメントを覚える、ということが基本でした。
けれどもこれからのキャリアとは、「維持」と「創造」とを繰り返すものになりそうです。
それは言い換えるなら、一つの組織に頼らない、渦のようなマーケットキャリアを築くものです。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)
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