あしたの人事の話をしよう

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役 兼 グロービス経営大学院HRM担当准教授の平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

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あなたが入ったその飲食店は良い店なのかぼったくりなのか(2)

昨日のクイズの答です。

以下のドリンクの中で、一番FD(原価率)の低いものはなんでしょう?

① 日本酒一合 400円
② グラスワイン 400円
③ ハイボール 400円
④ ラムコーク 400円
⑤ カシスオレンジ 400円


それぞれの原価は、だいたい以下のようになっています。

① 日本酒一合 400円 105円  
② グラスワイン 400円 80円
③ ハイボール 400円  45円
④ ラムコーク 400円 75円  
⑤ カシスオレンジ 400円 55円


ということで、答えは③ハイボールでした。
もちろん店舗によって違いはあります。
例えば、高い銘柄のお酒を使えば原価はあがります。
日本酒やワインだけでなく、ハイボールも、サントリーの角じゃなくて他のものを使えば高くなる。
ラムコークやカシスオレンジも、ラムとコーラをステアしたり、カシスにフレッシュオレンジジュースを入れたりするとやはり高くなります。
上記は一般的なファミリーレストランなどをイメージしたものです。

さて、このクイズのポイントは、「だから日本酒やワインがお得ですよ」ということではありません。
最も原価の高い日本酒ですら、原価率は25%程度であるということです。
ハイボールに至っては10%少しです。
飲食店ではドリンク売上で利益を生み出している、ということが、このクイズのポイントでした

さて本題です。
FDとLからわかる第二の飲食店タイプです。


タイプ2:食材にお金をかけている飲食店 【 FD:35%~40% L:30%前後 】

タイプ1が一般的な飲食店と書きましたが、多くの方が行きたいと思うのはこのタイプ2です。
食材にお金をかけていて、人件費は普通、という店です。
具体的にはどんな店でしょう?
食材にお金をかけているんだから高級店?
はずれです。

高級店は別のタイプに属するのです。それはまた後日書きます。

このタイプで一番わかりやすい例は、牛丼屋です。
吉野家で見てみると、FDが34%~36%であるのに対し、Lが28%~29%です。
実際、牛丼を自分で作ってみると、あの値段ではできませんよね?

また、こだわり型の個人経営店の一部もこのタイプに属します。

このタイプの店は、利用者からすればお得感があります。
支払う価格に対して、良い品質のものを食べることができるからです。
また、人件費を削っているわけではないので、サービスレベルにも不満が生じにくくなります。

食べログで高い点数を得ているタイプのお店には、このタイプが多いようです。

しかし経営者から見た場合、このタイプの飲食店には、大きな欠点があります。
それは、利益率が低いこと。
当然ですね。
FDとLを足して、FL費という言い方があります。
この合計が60%以内に収まらないと、店舗では利益が出せないという「しきい」値です。
上記の例で見れば、FLで65%~70%になります。
家賃や水道光熱費を除くと、結果として利益率は10%を割り込みます。
5%を切ってしまうこともあたりまえ。
だからこのタイプのお店は、別のところで経費を削ります。
そもそもの出店費用をおさえたり、広告費をかけなかったり。
個人店の場合だと、少し場末になってしまう。家賃を低くするためです。

みなさんがこのタイプの店に入りたいと思ったら、食べログで点数をチェックした後、その立地を確認してみましょう。
同じ食べログの点数だとすれば、繁華街から外れている店の方が、おいしいものを安く食べられる、かもしれません。


次回は高級店タイプか、チェーン居酒屋タイプについて定義してみたいと思います。

 

 

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平康慶浩(ひらやすよしひろ)