今の日本の人事制度の状況はパソコンOSに似ている
ビジネスパブリッシングと言う出版社の人事マネジメントという人事専門月刊誌に連載している関係で、編集長とお会いしてきました。
ちなみにビジネスパブリッシングのホームページはこちら
http://www.busi-pub.com/
雑談まじりでいろいろと最近の人事トレンドなんかについて議論していたのですが、その中で、「今の日本の人事制度の状況はパソコンOSに似ている」んじゃないだろうか、と言う話になりました。
パソコンOSに似ている、っていうのは、いろいろな制度が今混在している、ということです。
パソコンOSについては、こんな記事があります。
Mac OS X Mavericks急増 - 10月PC OSシェア
http://news.mynavi.jp/news/2013/11/05/044/index.html
Windows7が46%くらい。
XPが31%、マック派が7%くらい、って感じ。
30年以上昔をふりかえると、日本のパソコンOSといえばDISKを入れて起動するものがほとんどでした。
なんか記憶があやふやなんですが、そこからDOS-VとかWINDOWSとかが出てきて、WINDOWS3のあたりで、猫も杓子も同じOSなんて時代がありました。
その後WINDOWS自体のシェア低下だけでなく、WINDOWSのバージョン内での棲み分けも生じたりしました。
日本の人事制度でも、戦前の職務給型から前後の職能型に移行したあたり、大企業から中小企業まで職能等級、と言う時代がありました。
しかし今、企業は大きく3タイプにわけられると見ています。
タイプA:職能等級存続型
タイプB:職務等級型
タイプC:ハイブリッド型
これらの違いは何かと言えば、人を基準にして人事制度をつくっているか、仕事を基準にして人事制度をつくっているか、ということです。
タイプAの職能等級存続型では、人を基準にしています。
人基準なので、会社都合での転勤、異動が良く起きるタイプの会社です。
タイプBは仕事基準です。営業、経理などそれぞれの職務に応じて人を採用します。
仕事基準の職務等級型はグローバルスタンダードでもあるので、海外売上高比率が高い企業で採用が拡大しています。
タイプCはそれらをハイブリッドするものです。
たとえば、基本給は人を基準にしたコンピテンシーという行動評価で決めて、それに加えて仕事の大きさで給与を加算する仕組みだったりします。
今先進的な方々の中では、やがて日本でもタイプBの職務等級型に移行する、という意見が強いようです。
私も少し前まではそう思っていたのですが、最近違うような気がしています。
じゃあ何が主流になるかといえば、タイプCのハイブリッド型ではないかと思っています。
ハイブリッド型のデメリットは、運用が面倒くさい、ということです。
二つの等級を管理する必要があるので、ややこしい部分もあります。
一方で、メリットは大きく2つあります。
第一に、タイプA、タイプB両方のメリットを活用できるということ。管理職になるまでは行動や成長を重視して、管理職以上になると仕事を重視する、という運用ができます。
第二に、長期間の雇用に対応しやすいということ。これはどちらかといえばタイプBのデメリットを補完することになります。タイプBの場合、昇進できない人の場合には給与が天井にはりついて動かなくなります。ここにある程度能力や行動面で決まる給与割合を入れておくことで、ちょっとしたインセンティブを与えることができます。
とはいえ、いずれかが日本のデファクトスタンダードになるというよりは、しばらくシェア争いが続くことでしょう。
その先に、なんとなく、ジャパンスタンダードみたいなものができるようなそんな予感がしています。
例えば日本が移民を許容したときとか、ね。
なぜ移民を受け入れるのに、グローバルスタンダードではなく、ジャパンスタンダードになる予感がするのか、というのはまた別の機会に。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)