年収1億円になった人から1年以上先の目標を聞いたことがない
またまた続きを書く。いつまで続くかな。
年収1億円を超えた人が、そうなってきた過程を思い出してみた。
そうして気づいたのが、「彼らから1年以上先の目標を聞いたことがない」ということだ。
そのうちのひとり、人材派遣業の社長と出会ったのは、彼がまだ会社を立ち上げたての頃だった。
奥さんが経理全般を担当していて、社長の旧友たち複数名と立ち上げた、小さな会社だった。彼の年収も生活に必要な分だけにしていた。
派遣、といっても、人手が足りなければ社長自らが現場に入った。
やがて登録者が増え、社長自らが現場に入ることは次第に少なくなった。
ISOを取得し、教育体制を整備し、人事評価制度を運用しながら、会社は次第に大きくなっていった。
そうして彼は、年収1億円をとるようになった。
僕は会社を成長させる彼の支援をしながら、事業計画の作成について何度も進言した。
しかし結局のところ、彼は一度も事業計画を作らなかった
(さすがに最近はちゃんと作っているけれど)。
とはいえ、銀行取引の関係もあり、年間の売り上げ予測はたてていた。
でもそれはとても計画と呼べるものではなく、ただ会社が成長しているということをあらわすために、少し低めに設定され、そうしてかなりの割合で達成されていった。
じゃあ彼は何を目標にしていたのか?
彼が常に意識して、達成できていないときには部下を厳しく叱責し、できた時にはとても喜んだ目標=基準は、とても単純なものだった。
それは、日々の売り上げだった。
計画を立てることに力をそそがず、ただ目の前の売り上げを上げ続けることに全力を注いでいた。
比較する数値は、対前年や対前月、などではない。
一拠点あたり、ひとりあたり、などの経営資源ごとの数値をもとに、緩やかな基準として、最低限これだけかせがなければいけない、という思いをもとに行動していた。
そのような基準は、目標ではあるが、本当に目の前のものだ。
僕たちコンサルタントは何かを達成しようとするとき、中長期的な視点でゴールをさだめようとする。
勉強をしっかりした人ほど、少し先にマイルストーンを設定し、その達成のためのアクションプランを作成し、日々の活動をマネジメントしようとする。
そうした方が、突拍子もない出来事が起きた時に対応しやすいし、予測もしやすい、という理由で。リスク対応、と言ったりもする。
それは、「できる人」にとってはとても意味のあることだ。
夏休みの宿題を計画的に実行できた秀才、のような「できる人」であれば。
(ちなみに僕は夏休みの宿題を計画的にできた人間ではない)
年収1億円になった人たちは、きれいな中長期の目標は設定してこなかった。
そのかわり、泥臭い目の前の目標を、常に追いかけていた。
誰にでもわかる、達成できれば喜び合え、達成できなければ涙を流して悔しがる、そんな目標だ。
その結果、彼らは、気が付けば望んだ以上のところにまでたどりついていた。
これもまた、僕が気づいた事実のひとつだ。
ただ、彼らが未来を見ていなかったのか、といえばそうではない。
目標ではない形で、見ていた。
それはまた次回に。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)