課題を解決するだけでは二流
前回記事【3-2】経営企画や財務経理じゃなくて、人事部門だけが持つ強みがある
人事部門のあなたに対して,社長が与える課題を思い出してみよう。
まず,きれいな課題ならこうだろう。
「優秀な人材を採用したい」
「いち早く従業員を育てたい」
「社員を自発的に活動させたい」
ブラックな課題だとこうだ。
「残業代を減らせ」
「できないヤツのクビを切れ」
「とにかく人件費を減らせ」
では,それらの社長のに応えていけばあなたは社長に経営ブレインとして認められるのだろうか。
実は認められない。
きれいな課題に応えても,ブラックな課題に応えても,同じだ。
言われた課題に対応するだけの人材を,右腕として信頼するほど,経営者は暇ではない。
経営者に対して気づきを与える存在こそが経営ブレインだ。
そのために,人事という専門性,人事部門の業務から見えてくる課題を提示して,その対応策まで示すことが必要なのだ。
■ 目標管理で定量目標を示そう
生産性を分析し,儲けの仕組みに貢献する。その姿勢をより具体的に示す方法がある。
それは,あなたの目標管理シートに,「カネ」についての定量目標を記述することだ。
21世紀の現在,ヒト・モノ・カネの経営資源は対等ではない。
なのに,多くの人事パーソンの目標管理シートに記載されている目標は
「従業員満足度を高める」
「人事制度改定を期日に間に合わせる」
「労働法改正に伴う各種実務を確実に行う」
といった(状態条件は満たしてはいるが)定性的なものだ。
最近だと「65歳への定年延長に向けた制度の改定を完了させる」というような目標も多い。
それよりも,「総額人件費」や「人件費率」,あるいは「従業員数」といった指標と数字を並べよう。
もちろん,生産性についての指標を並べることが最も良い。例えばこんな目標だ。
「全営業拠点の1 人当たり年間売上高を○○○○万円とする」
「拠点別人件費率を,全拠点について○○%以下とする」
「総額人件費率を維持した状態で,従業員平均年齢を1 歳下げる」
人事部門だからこそできる,儲けの仕組みへの貢献があるのだ。
次回記事【4-1】『成長する人材」を可視化する
平康慶浩(ひらやすよしひろ)
セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役
※当ブログ記事は、平康慶浩が月刊人事マネジメントで2013年9月~2014年2月にかけて連載していた「経営ブレインへの転換を図る5つの人事機能」から転載しています。
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