順調に給与を増やしたい人はどんな会社を選べばよいのか
今年も某大学の就職セミナーで話すので、そのための考え方を整理してみる。
今回のお題は『順調に給与が増える会社の選び方』
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それはどんな会社なのか?
その前にまず、給与が増えにくい会社を整理してみよう。
ちなみに僕が説明するのは、ブラック企業、という視点とは全然違う。
あくまでも、人事制度と言う会社の仕組みを踏まえた分類だ。
給与が増えにくい会社その一
『入社に資格が必要な会社』
意外に思うかもしれないが、資格職は給与が増えにくい。
もちろん、資格の種類によって給与額が多いとか少ないとかいうことはある。
新人で入ってもずっとそのままの給与、ということでもない。
けれども、給与が増えなくなる、『給与の天井』がわりとすぐにやってくる。
それは、入れ替えが簡単だからだ。
資格職ということは、言い換えれば毎年資格取得者が現れる業界だ。
だから入れ替えるための新しい人が毎年あらわれる。
新人よりも経験者を優遇する業界も多いけれど、最近のビジネス変化は激しいから、入社して5年くらいたった人と新人とだと、新人の方が最新の状況を知っていたりする。だからむしろ新人の方が優遇されることだってある。
社内で経験を積んだ人が優遇される場合には、資格を持っているからじゃなくて、その人が『優秀だから』給与が上がっていく。
その場合の優秀さとは、管理職になれるとか、お金をかせげるとか、そんな定義だったりする。
ただ、資格職でも元の給与水準が高い場合には、それは安定的な給与にはなる。
最近はその給与水準も変動したりするのだけれど。
給与が増えにくい会社その二
『職種で募集している会社』
職種で新人を募集している会社は選ぶことに慎重になったほうがいい。
そういう会社では従業員に『職務の習得』を求める。
SEでもアナリストでもテレアポでも営業でもキッチンスタッフでも経理事務でもなんでもそうだ。
まず、仕事を覚えてもらう。
そしてその仕事を効率的に遂行してもらう。
だから、仕事を効率的にするまでの期間は、給与は増える。
例えばSEが当初月給22万円で採用されたとして、8年ほどで仕様書を書けるようになりプロマネ見習いができるようになる頃には30万円以上には昇給していることだろう。
しかし、そこから、増えなくなる。
その増えなくなる金額は、転職用の求人記事に乗っている年収なり月給だ。
それがだいたいの給与の天井になる。
つまり、職種で採用する会社もやはり、人の入れ替えができるから、給与を増やす必要がなくなるのだ。
給与が増えない会社その三
『業績が悪い会社』
これは当たり前だ。
どうしようもないので、せめて業績くらいはチェックしましょうとしか言えない。
また、構造不況の業界にある会社も気を付けた方がいい。
今は業界内での勝ち組でも、3年後はどうなるかわからない。
ただ、景気の波があると信じている人や、「私が業界を変えてみせる!」という意気込みのある人は、不況にある業界にあえて飛び込み、これからの好況を作り出していくことも良いだろう。
さて本題だ。
じゃあどんな会社であれば給与が増えるのか。
『順調に給与が増える会社』
それは上記の反対の会社だ。
入社に資格が不要で、職種を限定していない会社。
業績が悪い会社はとりあえず除外するとして、業界動向を細かくチェックすることは難しいからこれも除外する。
入社に資格が不要で、職種を限定していない、という二つの条件を満たしていると、順調に給与が増えやすい。
皮肉な話だけれど、こういう会社では『キャリアパスがあいまい』だったりする。
だから、採用した正社員にはいろいろな経験をさせながら育てる。
そして、それらの経験の中で適性を見極めたり、培ったスキルを見て、最適配置を実現する。
その判断がつくまでは、給与を増やしていく。
でも、そのスピードはかなりのんびりであることも多い。
それに、やはり業界の平均給与と言う天井はある。
金融系は高いし、サービス系は低い。製造業はルーチンと非ルーチンとでずいぶんと差がついている。
一つの会社で務めきるつもりでも、40歳くらいで給与の天井にたどりついて、そこからなかなか増えなくなる。
じゃあ、業界と年齢による給与の天井が来ることを見越して、もっと良い会社を選べないだろうか?
比較的簡単に良い会社を選べる基準が二つある。
これらはホームページを見るだけでもわかる。
一つ目は、従業員教育にお金をかけている会社だ。
それも、OJT(オンザジョブトレーングの略で、要は現場研修)じゃなくて、Off-JTをちゃんとしている会社がいい。
会社のHPを見て、階層型研修、とか、集合研修、とかのキーワードがある会社だ。
何年目研修、とか、マネジャー研修とかでもいい。
Off-JTにはお金がかかる。
講師代だけじゃなくて、働かない時間でも給与は支払われるからだ。
それをわざわざ定期的に行っている会社であれば、ちゃんと従業員を育てようと考えている。
二つ目は、役員の多い会社だ。
それも、取締役よりも執行役員が多い方が良い。
役員が多いということは、それだけ高い給与を受け取っている従業員が多い、ということだ。
取締役は従業員ではないので、執行役員であればなおよい、というのは、それだけ働いている人に昇進のチャンスがあるということだ。
(オーナー企業だと取締役は親族で固められている場合もあるから、取締役じゃなくて執行役員が重要なのだ)
採用した人を教育し、出世するチャンスを与えてくれる会社を探すだけで、ずいぶんと会社選びは楽になる。
たくさんの会社についての財務分析ができなくても、この二つだけなら、すぐにでも確認できるんじゃないだろうか。
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※社会人向けには不十分な内容だけれども、学生向けということでご容赦を。
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