サラリーマンの専門性の定義
「平康さんの本には、サラリーマンが持つべき専門性についての定義がいくつかありますよね。でも自分自身にどんな専門性があるのか、うまく説明できない人って多いと思うんです」
「うーん、そんなもんでしょうか?」
「たとえば20代後半から30代前半の人たちで、そういう人が多い気がしています」
「なるほど」
「で、本にも書いてあった『人的資本の棚卸し』をせずに、もっと簡単に自分の専門性がわかる方法ってないでしょうか?」
ある雑誌の取材でそんな質問をされた。
面倒がらずに棚卸ししてよ、と思いつつ、でもまあこんな風に答えた。
「私の20代といえば、アクセンチュアを経てアーサーアンダーセンにうつったころです。その頃の名刺交換ではもちろん
『アクセンチュアの平康慶浩です』
『アーサーアンダーセンの平康慶浩です』
といいながら名刺を差し出していました。
そのあとで『どんなお仕事を?』と聞かれると、部署名を答えていました」
「普通はそうですね」
「でも40代で独立している今は
『平康慶浩です。人事コンサルタントをしています』
と言いながら名刺をお渡ししています。
そのあとで相手が名刺を見て、社長で、セレクションアンドバリエーションと言う会社なんだ、と言う順序で理解してくれるようにしています」
「なるほど」
「今の僕にしてみれば会社名よりも私の専門性を理解してほしいからそうしています。つまり、会社名と部署名なしでどうやって自分の仕事を説明するか、ということを考えてみれば、自分の専門性がわかるんじゃないでしょうか?」
「うーん、それはたしかにできそうですが、でもやっぱり普通の20代から30代の人には難しいんじゃないでしょうか」
「説明できないんだったら、自分には専門性が確立されていない、と言う風に理解すべきですよ」
「きつい(笑)では、自分の専門性を理解しているとどんなメリットがあるんでしょう?」
「専門性というのは自分の強みです。強みを理解しているとキャリアを積みやすくなりますね。逆に理解しないままだと、上司任せ人事部任せの流されるキャリアになってしまうかも」
「流される生き方は楽だからでも、たとえば大企業に属していればそれはそれでありですか?」
「昔ならありましたね。でも今は厳しい。特に30代から40代で流されていたら、役職定年のあと、60歳定年から嘱託再雇用のつらい道をとぼとぼ歩くしかなくなるでしょう。そういった問題意識から、今回の本を書きましたから」
「なるほど。だとすればやっぱり」
「そう。だからこそ、自分の人的資本の棚卸しをしてほしい。そうすれば、今は自分の専門性を語れなくても、つくりだせるようになります」
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そのときの取材のテーマが「サラリーマンの専門性」というわけではなかったので、上記のやりとりはきっと記事にはならないと思う。
だから備忘として書いてみた。
そんではまた。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)
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