早期選抜の上手な進め方
僕が早期選抜の重要性を強く感じはじめたのは、一昨年からだ。
その頃、とある大手メーカーの人事制度改革を担当していた僕は、海外から招へいされたマーケティング担当役員と話す中で、あることに気付かされた。
第一に、海外のエグゼクティブは若い、ということだった。
そのマーケティング担当役員は僕よりも5歳は年下だった。そんな彼は、大学院を出た後、複数のメーカーを転職しながらキャリアを積み、そうしてグローバル企業の役員にまで若くして上り詰めていた。
さらにいえば、彼はきっと10年後にはその会社にはいないだろう、ということもわかった。きっとその会社をステップに、さらに次のキャリアを積むはずだ。
なぜ彼が次のキャリアを積む、と断言できるのか。
それは第二の気づきが理由になる。
第二に気付いたのは、グローバルに活躍するエグゼクティブの給与水準は、日本とは比べ物にならない、ということだった。
上記の彼は、転職のたびに年収を倍々に増やしていった。そして上記のタイミングですでに彼の年収は1億に達していた。ちなみに社長の年収は、このマーケティング担当役員より安かった。
そんな彼と何回も何時間も話し合った。
彼は、人事改革の外部責任者である私にこう依頼した。
「残念なことに、私の部下で、プロフェッショナルは一人もいない。だからプロフェッショナルが育つような人事制度にしてほしい」
「あなたの部下には経験のあるマーケッターが多いはずだけれど、彼ら・彼女らもプロフェッショナルではない?」
「そうだね。たしかに20年以上の職業歴を持つ人は多い。でも、マーケティング部門だけで育った人はいない。一番長いマーケティングキャリアの人材でもせいぜい10年だ。それはマーケッターとしては新人から10年目程度の経験しかない、ということにもなる」
「10年の経験があれば、プロフェッショナルと言える人もいるんじゃないのか?」
「そこがまさに今回の人事制度改革に期待したいところだ。断言するが、彼らはプロフェッショナルとして育てられていない。彼らの10年はスタッフの10年であり、プロフェッショナルの10年じゃない。僕はプロフェッショナル達のチームを作り上げなければいけない。そうしなければ僕のターゲットが達成できないからだ」
僕たちはそれから、プロフェッショナルとしてのキャリア、プロフェッショナルとしての育て方、そのために人事制度に整備すべき具体的な内容を議論し、整理した。
そうして内容を整理してみると、すべてのエグゼクティブはプロフェッショナルでなくてはならないということもわかってきた。
そのような気付きをもとに、評価制度を改定し、報酬制度を整備し、教育の仕組みを体系化した。
結果としてその会社の人事制度改革は成功した。
今、その会社はそれまで以上に成長を続けている。幸い、僕と議論したマーケティング担当役員もまだその会社に在籍しているようだ。
そんな経験を踏まえて、月刊人事マネジメントという人事の専門誌に、特集記事を執筆した。
6月5日発売(定期購読のみ)なので、読者の手もとにはもう届いているだろう。
概要は雑誌のホームページに記載されているので、興味のある方は是非見てみてほしい。
HRガイド:早期選抜の上手な進め方(サンプルページ)
実は今回の特集記事内容をもとに、セミナーも開催する。
プロフェッショナルやリーダーをいち早く育てたい経営者にぜひ参加してほしい。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)
人事評価制度改革 個別無料相談会 |人事評価制度,目標管理,セレクションアンドバリエーション