年収の天井を抜け出すために
前回記事はこちら。
この章の最後に、結論として言いたい。
あなたの未来に希望はある。
あなたの給与は、増やすことができる。
この本を通じてそのことを伝えたいからこそ、私は今キーボードを前にしている。
しかしこれまでにしつこく書いているように、誰でも何もしなくても会社が終身雇用の檻であなたを守り、年功で給与を増やしてくれる会社はどんどん減っている。そしてその傾向は、日本で高齢化が進む限り戻ることはない。
だからあなたは何か人と違うことをしなければいけない。
人と同じことをしていたのでは、たとえ正社員であったとしても、あなたの毎年の昇給額は三五〇〇円だ。三十歳になっても賞与をストップされれば年収三百万円以下。
ちなみに年収三百万円というとどういう金額がわかるだろうか。
もし賞与がゼロとすれば月額給与は額面で二十五万円ということになる。税金や社会保険を引けば二十万円を少し切るくらいの手取りになる。
今や多くの人々がこの金額で生活している。
家族三人が生活している標準的な金額と、この金額は合致している。
標準生計費という指標がそれだ。
要約すれば、今、人ひとりが暮らしている標準的な金額はおよそ年間で百八十万円。
それに同居人一人(多くの場合は妻か夫)が増えればプラス八十万円。
さらに子供が一人増えるごとに四十万円を使っているという統計だ。
これが今の日本のあたり前なのだ。そしてこの金額は近年、どんどん目減りしている。統計的な標準なのだから、みんなが貧しくなれば標準も下がる。
こうして下がった標準者の一人にあなたはなりたいだろうか。
標準生計費はさらに細分化されている。例えば家族三人の標準生計費の内訳はこうだ。
食糧費 :四三五四〇円
住居費 :五一三六〇円
被服・履物費 :七二七〇円
医療・交通・通信・教育・教養娯楽費 :六二六九〇円
小遣い・交際費・仕送り・その他雑費 :三二〇七〇円
標準生計費の内わけを知っている人は昔から言っているが、あり得ない金額が並んでいる。
例えば住居費一つとっても、この金額で借りられる部屋に家族三人が暮らすことができるだろうか。
この数値は、例えばすでに家を持っている人とそうでない人とを一緒にして平均値として算出している。また、賃貸家賃は含めるが、ローン返済費用は計算に入れない。だからこのような数値になる。
消費支出を分析した統計もある。
こちらを見れば五〇才代をピークに、年齢帯別に消費している金額が増減していることがわかる。重要なことは、月収二十五万円以下で済んでいるのは二十九歳以下と七〇才以上だけだということだ。
もし年収三百万円の給与の天井を超えることができなければ、あなたを待っているのは貧困生活だ。
もちろん子供の教育費用など捻出できるはずなどない。だから多くの夫婦は共働きしている。その割合はすでに五十%を超えている。もしあなたに配偶者がいれば、共働きすれば家計として年収三百万円の天井に脅かされることはないかもしれない。
しかしそれで満足できないか、あるいはそういう状況にないとすれば、是非次の章以降を読んでみてほしい。
ちなみに次の章以降で示す方法は、決して企業から給与をかすめとろうという方法ではない。
私があなたに教えたいのはそんな方法ではない。
たとえあなたが今いる会社がブラック企業であったとしても、給与を増やし、そしてなおかつ『できる人』に育っていけるための方法だ。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)
「うっかり一生年収300万円の会社に入ってしまった君へ」第1章より抜粋