他人と違う、ということを理解できるマンガ
ぜひ読んでほしいWEBマンガが始まった。
原作は萩本創八さんという方で、僕はそもそも伊藤黒介さんのツイッターで彼の作品を知った。
伊藤黒介さんは難聴の漫画家だ。
連載作品も人気があった。僕も楽しみにしていた。
けれど、2015年10月に、突然連載を打ち切った。それも自分の意志で。
当時の事は今でもWEBで探すと出てくる。たしかYahooニュースのトップにもしばらく出ていた。
今は削除されてしまった彼の文章で、こんな意味のものがあった(うろおぼえなので詳細は違うかもしれない)。
「楽しそうに会話をする人たちを横目に見ながら、たとえば面白いマンガを描けば、自分のその仲間になれるかも、と考えた。そうして頑張ってマンガを面白く描いた。けれどもその結果は『このマンガ面白いよ』と、向こう側でもりあがっているだけだった。僕は仲間に入れなかった。」
「僕のマンガを読んで、親しくしたいと連絡してくれる人たちは大勢いた。けれども実際に会ってみて、会話が難しいということを実感したあとで、それでも連絡を保ってくれる人はとても少なかった。」
伊藤黒介さんのマンガはほのぼのしているようで、洞察が深い。
僕はめぞん一刻のあたりからマンガは文学になっていると思っているのだけれど、伊藤黒介さんの作品も、確実に文学だ。
そんな人がお勧めしていた作品だから僕はすぐに見に行った。
ツイッターにアップされたラフなマンガ。
その内容に僕はぐいぐいと引き込まれた。ワンパンマンを初めて読んだ時と同じような興奮があった。
ある話数から先は、ツイッターのフォロワーしか見られないようになっていた。
そしてその時点でフォロワーは受け付けていなかった。
僕は毎日彼のツイッターをチェックしていて、あるとき、限定的にフォロワーを増やすという書き込みを読んだ。
そこであわてて、こちらの誠意がなるべく伝わるように丁寧にメッセージを送った。
そうして僕は彼のフォロワーになれた。
作品の内容の説明は難しい。
ヒロインはアスペルガー症候群として障がい者認定を受けている。
主人公は突然やってきたそんな彼女を受け入れて一緒に生活をする。彼自身もまた、生き苦しさを感じている一人だから。
800名のフォロワー限定の公開作品だったので、1フォロワーとしては広くオープンになることがさびしくもあり、嬉しくもある。
作品は61話まであるけれど、いまなお続いている現在進行形の物語。
この作品で、僕は「他人と違うように見えて聞こえる」ということの意味が少しわかったような気がしている。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)