Uber Eatsの報酬の仕組みはどうなっているのか
みなさん、Uber Eatsを利用したことあります?
街を歩いているとそこかしこを配達員の方が走っていて、かなり浸透している気がします。マクドナルドに行くと、配達員の方が必ず待機していますしね。
Uber Eatsの基本は出前の外部委託バージョンです。
出前だと商品代以外にはお金がかかりませんが、Uber Eatsは配送手数料がかかります。
ただ、アプリを見てみると、その金額が260円とか390円なんですね。高くても570円。
時間帯などでこの金額は変わる仕組みになっているようです。
ふと思ったのは、この配送料だと、配達員の方が全然もうからないんじゃないか、ということでした。だって1回の配達に少なくとも30分はかかるだろうと思うからです。
でもこれだけ広がっているんだから、必ずうまく言っている仕組みがあるはずと思いました。
そこでさくっと調べてみたのですが、なるほどなぁ、と思える構造がしっかりと設計されていました。
※なお、以下の分析はUber Eatsのホームページなどに公開されているデータから平康が個人的に推測したものなので、実際とは違っている可能性があります。
基本は「両手ビジネス」ということ。
つまり売り手と買い手、双方からUber Eatsはお金を得ているようです。
そしてその中の一部を配達員に支払っている構造です。
まず買い手側ですが、店から自宅までの距離に応じて、配送手数料を支払います。
たとえば駒澤大学駅で4人で話し込んでいて、ふとケンタッキーが食べたくなったので探してみると、桜新町店がヒットします。
配送手数料は390円。メニューはUber Eatsセットのフィレサンド600円×4人分を注文です。
やがて15分ほどで配達員が来てくれるので、サンドを受け取ります。
すると登録しているクレジットカードに2,790円が請求されて完了です。
注文した人は、配達員のもうけは390円だと思うかもしれませんが、そうではありません。
Uber Eatsのホームページを見ると、詳細に記載されていますが、要約してみましょう。
https://www.uber.com/ja-JP/drive/tokyo/resources/how-does-payment-work/
配達員は3種類の報酬を受け取ります。
そのうち、買い手が支払っているのは2つの報酬になるお金です。
それは「受け渡し料金 170円」+「距離料金 150円/km」です。
ケンタッキー桜新町店と駒澤大学駅の距離は1.8kmなので、仮に0.1km単位で支払わられるとするなら、配達員は170円+(150円×1.8km)=440円を受け取ることになります。
しかし配達員は実はもう1つ報酬を得ています。
それが「受取料金 300円」です。店舗から商品を受け取った時点で報酬が加算されるのです。ですから上記の配達員は440円+300円=740円を受け取る計算になります。
整理してみましょう。
配達員が受け取るのは「(店舗からの)受取料金」+「距離料金」+「受け渡し料金」です。
ではUber Eatsはその構造でどうやって利益を生み出しているのか。
Uber Eatsは総額で2,790円を得ていますから、その中から740円を支払うと、残りは2,150円です。
一方で、お店としては600円×4人分=2,400円のフィレサンドセット代金を請求したいところです。けれどもそのお金はない。
だとするとUber Eatsとしては売り手側からもお金を受け取らなければ成立しません。
それがどれくらいの手数料率になるのかはわかりませんが、買い手と売り手、双方からお金を受け取ることで成立しているのがUber Eatsのようです。
(個人的な推測では、さらに大数の法則でのマネジメントがされていると思うのですが。でなければ、最低注文料金がない状況が説明できないので。)
配達員が実質従業員であるなどの批判を受けているUber Eatsですが、収益と連動する形で構造的に設計されている報酬の仕組みはなかなか興味深いです。
ちなみに、詳細には、時間帯によって報酬額が増える「ブースト」という仕組み(その分買い手が払う配送手数料は増える)や、短時間で何件以上配達したら報酬が増える「クエスト」という仕組みなどもあるようです。
最近たびたびニュースにとりあげられるUber Eatsですが、まずは仕組みを理解してみると、また違ったものが見えてくるのでは、と思い紹介してみました。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)