風変わりな従業員のための人事制度がイノベーションを起こす
イノベーションがこれからの必須課題となります、というお話をそこかしこでしています。
人生100年時代とかVUCAとかコロナショックとか、いろいろな理由はありますが、とにかく変化が激しくなっているからです。
弊社名であるところの、セレクション&バリエーションは進化生物学の用語ですが、環境変化にあわせた淘汰と多様性の仕組みによって、過去とは違う姿に進化していかなければ、組織も人も幸せにはなりづらい時代になっています。
じゃあそのための人事インフラとはどういう仕組みであるべきなのか。
等級、評価、報酬、教育の各制度はどう設計すべきか。
どう浸透させるべきか。どう運用するべきか。
そんなことを考えて整理していくと、かなりややこしいパズルゲームのようになってしまうので、人事戦略とか人事グランドデザインとして定義してご支援する場合もあります。
今回はそんな変革を、自社だけで検討できる方法を一つお伝えします。
コンサルタントと一緒になってプロジェクトとして人事改革をするほどの影響はでていないんだけれど、それでも何か変えないとまずそうだな、というときに有効です。
第1ステップは、会社の中の変わり者を探すところから始めましょう。
業績を上げている、という条件がそろっていればなおよいのですが、とりあえずは標準くらいの成績でも大丈夫です。ただし、かなり変わっている、ということを必ず守ってください。
第2ステップでは、その変わり者の行動を観察してみましょう。
彼あるいは彼女が成果を出しているときにどんな行動をとっていたかを整理します。
可能なら、その時の周囲の状況を整理します。
彼あるいは彼女の名前をホワイトボードの中心に記して、上に成果、右に行動、下に特徴(変なところ)、左にどんな状況だったか、という描き方がわかりやすいでしょう。
第3ステップでは、左に描いた「状況」を再現しやすいように社内のルールを弱めてみましょう。人事制度を変えるというよりは、短期的な特別措置をしてみるイメージです。
最後の第4ステップでは、第3ステップのあと6か月くらいを経て、成果が上がっているかどうかを確認します。
そこでもし成果があがっていれば、緩めたルールを正規のルールにしてしまいましょう。
成果が上がっていなければ、元に戻してみましょう。そして次に別のことを試してみるようにします。
この作業はとても単純ではあるのですが、社内の「あたりまえ」を変えるのに効果的です。
あたりまえが変われば、新しい行動が起きます。
たとえば昼食の一斉休憩を、個別自由休憩に変えてみるとか(もちろん一斉休憩の原則に反するので労使協定が必要です)。
あるいは出社時間を緩めてみるとか。
出社禁止日を定めてみるとか。
服装規定をなくしてみるとか。
ぜひ一度試してみてください。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)