地域別の有効求人倍率を調べてみた
セレクションアンドバリエーションの平康慶浩です。
「うっかり一生年収300万円の会社に入ってしまった君へ(東洋経済新報社)」で、「ブラック型」でも「業績悪化型」でもない「普通の企業」では、定期昇給で給与を増やす方法を書きました。
でも、昨日報道された経団連の方向性を見ると、もしかすると多くの日本企業がすでに業績悪化型に陥りつつあるのかもしれないと感じます。
このあたりは、年明けに出る、アナリストの方々による業績予測を注視したいところです。
でも、来年3月の決算、怖いですね。
関西は特に。
わずか10年の間に、大手電機メーカー三社が次々と沈没してゆきます。
最後の砦とも言えたパナソニックの最終決算によっては、本当に、まずい状況になります。
さて、消費を高めるためにも、平均年収を増やすべきだという持論の私ですが、世の中は雇用が大事だと大号令です。
じゃあその雇用はどういう状況なのか、地域別に見てみました。
まず2012年1月~10月の有効求人倍率平均値です。
赤いバーは全国平均を下回っている地域です。
北海道、南関東、近畿、九州が平均を下回っています。
一方、東海は平均を大きく上回っています。
その東海地域の雇用と全国平均には興味深い相関があります。
以下のグラフを見てみましょう。
これは2000年1月~2012年10月の有効求人倍率について、全国平均とのかい離を示したものです。
真ん中のゼロのところあたりにうねうねと近畿のグラフが載っています。
赤い線で中央あたりが山形のグラフは、全国平均の有効求人倍率の実数です。
右の縦軸がその数値です。
この赤いグラフとほぼ重なる、薄い青紫のグラフがあります。
これが東海エリアのグラフです。
つまり、東海エリアは常に全国平均を上回りながら、日本全国の有効求人倍率トレンドをけん引してきていることがわかります。
東海エリアといえば自動車産業です。
これが2000年以降の求人を引っ張ってきている。
その傾向は2012年も残っていると言う風に読み取れます。
一方で、北海道、東北、四国、九州はほぼすべての期間で全国平均を下回っている。
もう少し長い時系列データで見たとき、地域間の雇用格差はずいぶん縮んでいます。
しかし経済が成長しているタイミングには、地域ごとの雇用格差は拡大する傾向にあります。
それは成長している地域に雇用が集中するためであり、その結果による地域格差は望ましい格差だと考えられます。
ふりかえって上記のグラフを見れば、最近は地域格差が小さい期間に属します。
それはそのまま、日本経済の低迷をあらわします。
産業を集中的に発展させるためには、地域的な集積=クラスター化が有効だと言われます。
今までの日本は、自動車産業クラスター、電機産業クラスターなどによって牽引されてきました。
これらの産業にはもちろん今後も頑張ってほしいのですが、さて次のクラスターは?といえばまだ見えません。
このあたり、新しい政権にぜひ考えていただきと思いますが、個人的にも色々と研究を進めていきたいと思います。
で、結論ですが。
産業を興さない限り、雇用は改善しません。
雇用改善のために、平均給与を引き下げる、というのは思考停止だと思うのです。
あたりまえだと思うのですが、いかがでしょうか。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)