あしたの人事の話をしよう

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役 兼 グロービス経営大学院HRM担当准教授の平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

まじめな話と、雑感(よしなしごと)とがまじっているので、 カテゴリー別に読んでいただいた方が良いかもしれません。 検索エンジンから来られた方で、目当ての記事が見当たらない場合 左下の検索窓をご活用ください。

世の中のしくみ

ジョブ型人事導入講座3:ジョブ型人事は年功序列からリアルタイム制への転換です

ジョブ型人事の本質は労働市場とのタイムリーな関係性構築 職能等級型が年功運用の代名詞になってしまった2つの理由 ジョブ型人事が生きる4つの環境変化 人口減少社会では生産性の引き下げ圧力が強まる 新しい技術や知見を使いこなす人・組織が勝つように …

令和になぜ「ゆるブラック企業」がクローズアップされるのか

「ゆるブラック企業」ってどんな会社 最初に改善されたのはブラック企業 バランスとアズライフの二極だった平成日本 ブラック企業とワークアズライフの違い 高齢化やインフレなどの将来不安が積もってゆく 経営者は成長の椅子を増やさなくてはならない 人事…

「優秀に見えないのに出世した人」に学ぶ出世術

卒業基準と入学基準 「出世の判断基準」と「働き方の変化」 職場の「半径数メートル以内の視点」 「優秀な人」という誤解 入学基準を満たすために必要な行動 「仕事に人をあてがう」傾向 次に求められる仕事を考える 「出世の判断基準」と「働き方の変化」 …

世帯はどうなるんだろう

最近歴史を勉強しています。 といっても、自分探しをするとかではなく、現在を形成している世の中の構造を理解するための戦前から戦後にかけての歴史です。 これが面白いし、また意外な影響も見えてきます。 一例として1980年代に「核家族化」が進んだという…

DXやAIやコロナショックは知的クラスターを創成する

コロナショックの折、交わされる議論の量が格段に増えているように思います。 さらに政治家の変動もあり、過去の振り返りも増えていくでしょう。 現状、流通する情報の大半は感情論です。 そのため、本当に私たちの生活を変えてしまうものに、私たちはなかな…

出世の本質は年収を増やすことではなく階級移動

コロナショックや、その前段で進んでいた同一労働同一賃金とか、70歳までの雇用延長の努力義務化とか、そのあたりの状況を踏まえると、階級区分として社会の整理も一つの手段だと感じるようになりました。 たとえば貧困の再生産という言葉などもその一端です…

マイナス金利の時代は生きているだけで丸儲け(人的資本の算出結果グラフに基づく)

2018年10月に本を出してから、本業に専念していて、それで本業は順調にのびて拡張移転なんかもできているのですが、そろそろ次を出さんかい、という編集長のお言葉をいただき、コツコツと書いている日々です。 ちなみに2018年に出した本はこちら。 人生100年…

「働く」ということが大きく変化している気がしています

Josh Bersinをフォローしています。 知っている人はそりゃ当然でしょ、でしょうし、知らない人は誰それ?って感じだと思います。 興味を持たれた方はこちらのサイトとかご覧ください。 joshbersin.com 英文ですが、Google先生が一瞬で翻訳してくれるので気に…

コロナショックがもたらす企業人事をどう乗り越えるか

コロナショックの中、リストラについて書いている記事が増えています。 中でもこの記事とか面白いです。 president.jp リストラに対抗する手段を3つ記していて、その視点が面白い。 特に3つ目はなるほど、と思わせるのでぜひご一読を。 (ちなみに著者の方…

売れるコンサルタントになる方法

しばらくしたら消す予定で、ちょっと書きます。 いろんな人に、コンサルタントとして独立してよくやってこれたね、と言われます。 2020年2月10日の今日、以前よりもかなり広いオフィスに引っ越すことができました。なかなか大変でしたが、逆に引っ越さないと…

習熟と関係性のあり方が変化しつつある

仕事というものは慣れることで見に着くものだ、と考えられていた時代が長かったのではないでしょうか。 どんな仕事も繰り返していけば勘所がわかってきます。失敗と成功を繰り返し、人は技術を身に着けてゆくのです。 やがて習熟の速度がどんどん早まってい…

若い人にそんなに払う必要ない……のかな?

常識が変わっていく時代になっていますよね。 働き方や働かせ方もそうですが、給与についてもそう感じます。 たとえば「その仕事にそんなに払う必要ない」という声は、人事制度設計の場面でよく聞きます。比較的単純な事務作業を担当する人たちについて、給…

再雇用者の不満も二種類あるなぁとあらためて気づきました

以前から感じていたのですが、60才で再雇用された方々の不満には2種類あります。 第一の不満は、仕事が同じなのに給与を下げられて納得がいかない、というものです。 このことに対して、同一労働同一賃金を強制する仕組みが適用されます。 パートタイム・有…

同一労働同一賃金時代には「年上が偉い」わけではなくなる

今週の日経スタイルにも書きましたが、2020年からはさらに企業の人事の変化が加速しそうです。 style.nikkei.com 職務と給与額がマッチしていない人には、退職金を積むから外で活躍してほしい、という流れが加速するということです。 そして新しく入ってくる…

1000万円の新人はどう「優秀」なのか

新人採用の市場に、求人倍率以外の要素が含まれるようになってきました。 でもまあそれはあたりまえで、そもそも値段が変わらないほうがおかしかったわけです。 1000万円というキャッチーさもふまえ、こんな記事を書きました。 style.nikkei.com 記事の内容…

人の不幸を喜んでしまうことは自然な感情なのだけれど

以前こんな記事を書きました。 hirayasu.hatenablog.com この記事では、幸せを感じる要因を3つ紹介しています。 幸せを感じる要因、というのは、逆に言えば、不幸を感じる要因でもあります。 欲しいものがあるけれど今それが手に入らない。 昔は成功していた…

幸せは「欲」「過去」「他人」で測れる

ブログに少し書きましたが、感情について調査を進めています。 調査の主役はインターン生たちなのですが、中でも立命館大学大学院の中川耀介くんはとても優秀で、いつも助かっています。 彼の調査資料の中で、極めてシンプルかつわかりやすいものがあったの…

Uber Eatsの報酬の仕組みはどうなっているのか

みなさん、Uber Eatsを利用したことあります? 街を歩いているとそこかしこを配達員の方が走っていて、かなり浸透している気がします。マクドナルドに行くと、配達員の方が必ず待機していますしね。 Uber Eatsの基本は出前の外部委託バージョンです。 出前だ…

会社はコンテンツやタレントを束ねるプラットフォームになる

2016年に出した「マンガでわかる いまどきの『出世学』」には、会社はプロジェクト化する、と書きました。 それから3年近くがたって、プロジェクトよりはプラットフォームの方がしっくりくるような気になっています。 なぜなら、プロジェクトは終わりがある…

経営層のあたりまえが会社の将来を決める

今の会社が今後伸びるかどうか、ということと、それが働いている人にとって幸せかどうか、はあまり関係しない、という風に感じています。 どんどん大きくなる会社で、従業員の生活は特に変わらない会社だってあります。 一方で、従業員を大事にしているけれ…

理念とか人材基準とかを意識しない経営者ほどあとでそれらにやられてしまう

「立ち上げたばかりの会社だからこそ、理念と人材基準(期待する能力や職務において譲れない軸)が必要だ」とつくづく思うのです。 多くの組織・人事についてのコンサルティングをする中で、そこのところを間違えておかしくなってしまっている会社をたくさん…

リア充キャリアな人がしんどさを感じるとき

素晴らしいキャリアの方々と話をしていて、あれ?と思うことがあります。 なんというか、すごく内向きになってしまっていて、こちらが励ましてもあまり励ましになっていないな、と感じられるときです。 なんかつらいことでもあったのかなぁ、と想像するので…

ダメ出しから始めるよりも良い育て方はある

旧いタイプの教え方に、まず自分なりの方法でやらせてみる、というものがあります。 そして結果がダメだったら修正しながら教えるというやり方です。 比較的年配の方にこの方法をとられる人が多いのではないでしょうか。 この方法は、教える側にメリットがあ…

新卒で選ぶべき会社の軸は「安定」か「変化」か

採用媒体としてWantedlyを使ってみています。 わりと弊社にはマッチする媒体のようで、5月と6月にそれぞれ1名ずつ新規に採用する可能性が出てきました。 HR領域で専門性の高い人はほぼ見つからないのですが、ポテンシャルのある人材が散見されます。 そ…

キャリアのあがりについての話

隠居にあこがれる人が多いですよね。 けれどもそういうことができる時代ではなくなってきたなぁ、とも思ったので、そのことをいつもの日経スタイルの連載で書いてみました。 style.nikkei.com ちなみに私は隠居する気はないです。 中学生くらいのときに漠然…

3月決算の会社って実は少ない

3月も半ばをすぎれば、人事部門は大忙しの時期かと思います。 退職、評価、給与改定、昇進昇格、異動、そして採用と教育など。 弊社も例年であれば3月末締め切りの人事制度設計が複数走っていておおわらわなのですが、今年に限っては12月末導入、1月末導入、…

部長以上の役割は課長とどう違う?

以前、「担当者」「係長」「課長」それぞれの役職に違いがあるという話をしました。 hirayasu.hatenablog.com 今回はその上の部長とか役員についてもそんな「一言でいうと」どうなるのか、ということを整理してみたいと思います。 ちなみに前回、 「担当者」…

役職が違うことの意味(ヒラ・係長・課長編)

役職の違いによって役割が違う、ということはあたりまえなんですが、じゃあ何が違うのか、ということについてはなかなか難しいわけです。 たとえば新卒一年目の社員が入ってくると、2年目の先輩とかって超できる人に見えたりしますよね。3年目の先輩とかっ…

ボスザルの会社に入ったら優秀なほど追い出されたりする

長い社歴の会社とのおつきあいで感じたことを、ビジネスモデルと人事、という切り口で書いてみました。 それが今週の日経スタイルの記事です。 style.nikkei.com なぜ社歴の長さが、ビジネスモデルと人事、と関係するのかといえばそれは社歴の長い会社に「一…

群れなくなった私たち

日本は農耕社会を軸にムラ社会として発展したという説があります。 必ずしもそうではない、という意見はあるようですが、高度成長期の企業での働き方にはそういった側面がありました。 それらはマイナスの側面を持つようでいて、強いプラスの面も持っていま…