あしたの人事の話をしよう

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役 兼 グロービス経営大学院HRM担当准教授の平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

まじめな話と、雑感(よしなしごと)とがまじっているので、 カテゴリー別に読んでいただいた方が良いかもしれません。 検索エンジンから来られた方で、目当ての記事が見当たらない場合 左下の検索窓をご活用ください。

一人酒に向いている店(たまには軽い話を書いてみます)

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緊急事態宣言が明けて、ワクチン接種も進んでいます。

このままいけばお盆明けくらいにはコロナ前の状況に戻れるかもしれない、と淡い希望を持ったりします。

完全には戻らないとしても、少なくとも出張先で一人酒を楽しめるくらいの状況には戻ってほしいなぁ、という願望です。

 

ご存じの方もいらっしゃいますが、私は基本的に一人で飲みます。

気の置けない友人たちや、セレクションアンドバリエーションのスタッフたちとの気軽な会食、飲み会などはもちろん楽しみます。

けれども、自分が酒を飲みたいときに誰かを誘う、ということはありません。

 

なぜなら飲兵衛だから。

 

飲兵衛として人を誘わない理由のひとつ目に、割り勘勝ちしてしまうということがあります。

だからつい申し訳なくて、おごってしまいたくなるのです。

でも、友人ならともかく、知人にまでおごるとなると、それは逆に関係を悪化させかねません。

 

飲兵衛として人を誘わない二つ目の理由は、あまり酔わない(少なくとも酔っているようには見えないらしい)ということがあります。

そんな私が、酒に酔う人と飲みに行くと、介抱せざるをえなくなります。

それはあまり楽しくないのです。

 

ということで、私と同じくらいのペースで酒を飲み、かつ酔わない人がいれば誘うのですが、そういう人はあまりいません。

あまりいないので、いつも同じ人になってしまい、結果として誘いづらくなります。

だったら一人でいいか、という結論に落ち着いたのがかれこれ15年くらい前です。

 

あ、あと住んでいる大阪でも飲みに行きません。

家に帰って家族と食事しながら飲むことが基本です。

 

さて、出張先で一人酒、となるといくつかの条件があります。

 

列記してみましょう。

 

1.開始時間は遅い方がいい。21時くらいからがベスト。

2.夕食を兼ねるので食事がおいしい方がいい。が、一品がメインの店がいい。

3.一人でいても違和感がない方がいい。カウンターがベター。

4.店員との距離があったほうがいい。

 

1の開始時間ですが、理由は簡単です。

酔っていないように見えても、酔っているからです。

 

20代の頃なら、飲み会の後で仕事にもどることもできましたが、50代にもなるとそれはとても疲れます。

だから一人酒から帰ってきたらすぐに寝れる方がいいのです。

21時くらいからだと23時には切り上げて、日が変わる前には寝るような感じになります。

 

2の食事のおいしさですが、これはもちろん重要です。

ただ、酒を邪魔してしまうような食事はちょっとしんどい。

その典型が定食です。

ごはんがセットになっているものはちょっとつらいです。

そのため、一品のない回転すし系や、どんぶりもの、ウナギの店などが除外されることになります。

 

3の一人で違和感がない、ということも結構大事です。

一人酒というと立ち飲みを想起される方も多いと思うのですが、立ち飲み系の店の中には、集団でしか入れない雰囲気の店もあります。

少し高級な店もやはり一人だと浮きますね。

あと、繁盛しすぎている店は別の意味で入りづらいです。

仮にカウンターがあったとしても、店側からすると一人客は儲からない、という印象を持たれる場合があります。

二人分以上のお金は使うことが多いのですが、そんなことを伝えてもわかってもらえないので、ついつい食べログ評価の高い店などは敬遠してしまいます。

 

4の店員との距離は、やはり重要です。

一人酒の目的が、店員や居合わせた客とのコミュニケーションにある人もいるでしょう。

けれども私の場合には、一人で酒を飲みながら、本を読んだり、いろいろと考えていることを整理することが目的です。

それでなくとも仕事中はずっと誰かとコミュニケーションしているので、プライベートではあまり会話をしたくないことも多いのです。

一言二言話しかけられても、後はほっといてくれる店員さんが良いのです。

その意味では、実はチェーン店なんか割と良かったりします。

 

これらの条件を備える店、というと結果としてこんな店になります。

 

「その地域で数店舗展開している小さめのチェーンで、売りはあるもののとくにこだわらず、深夜まで開いている30人くらいが入れる居酒屋」

 

皆さんの好みの店はどんな感じでしょう。

人それぞれのこだわりがあると思うので、またお会いした際にぜひお教えください。

 


平康慶浩(ひらやすよしひろ)

 

※この記事はメルマガに記載したものを1週間遅れで掲載したものです。

ジョブ型人事が格差を拡大してしまう可能性について

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ジョブ型とか職務等級型とか、細かい定義でいえばいろいろと違う点はありますが、基本的には「仕事の必要性に応じて人をあてがう人事の仕組み」である制度について、人事コンサルタントとしての実務面から、不都合な真実が明確になりそうだな、と感じています。

 

仕事の必要性に応じて人をあてがうためには、その仕事に見合った能力の人を探してきて、マッチングさせます。

その相手が社内にいれば異動とか昇進させればいいのですが、いない場合には社外から採用します。

 

そこで起きる問題は、じゃあマッチングする際の給与や年収はいくらなのか、ということです。

 

マッチングということは給与や年収は取引価格になります。

働く一人一人に、そのポストに就くならこれくらいの金額をください、という要望があります。

 

それに対して、会社としてもこの範囲なら払うよ、という要望があります。

 

この要望をすり合わせてその人の給与を決めます。

 

そのポストに就くための能力について、需要と供給の関係で値段が変わります。

引く手あまたなのに能力を持つ人が少ないと値段があがり、あまり求められていなくてたくさんの人が対応できるのなら値段はさがります。

 

これが労働市場の原理です。

 

で、「仕事の必要性に応じて人をあてがう人事の仕組み」が広がると何がおきるのか。

 

取引価格は、その人がどんな生活を送っているのか、ということを厳密には反映しません。

 

毎日牛肉を500グラム食べないと気が済まない人と、ものすごく小食な人とでは、食費自体が異なります。

広い部屋に住まなければ気が詰まる人と、狭い部屋の方が落ち着く人とでは、住宅費が異なります。

けれどもそんな事情はおかまいなしに、会社は取引価格を提示し、個人はその取引価格をベースに交渉を進めるでしょう。

 

もちろん、その能力を手に入れるためにある程度の生活費用が求められる場合はあり、それが取引価格設定に勘案される場合は有ります。

 

典型的には医師でしょうか。

医師国家資格を取得するために、6年間にわたる高額な学費を支払う必要があります。

また、大学に進むためには受験を勝ち抜く必要があります。医師になりたい人は多いので、競争が生まれ、そのための学習費用もかさみます。

結果として、医師はその希少性だけでなく、医師になるための費用などを鑑みた報酬設定になっている可能性もあります。

ただ、それでも平均年収1300万円前後と言われる勤務医の報酬水準が、そこまでにかけた費用に見合っているか、と言われると判断が難しいところです。

それはやはり医師の年収自体が取引価格として設定されてしまっているからでしょう。

 

さて、そのような前提で取引価格としての報酬を考えてみた時、4種類の方向性があることがわかります。

 

「需要 大 & 供給 小」がもっとも報酬が高い仕事です。

「需要 小 & 供給 大」がもっとも報酬が低い仕事です。

「需要 大 & 供給 大」はメジャーな仕事です。報酬は標準的生活を守れる水準を維持することでしょう。

「需要 小 & 供給 小」はレアな職業です。報酬はどれくらい儲かるのか、ということによって決まるでしょう。

 

そしてこれらの方向性を前提として、一人あたりいくら儲かるのか、という判断が加味され、最終報酬水準が決まるようになります。

 

式にするとこうなります。

 

(需要量 ÷ 供給量) × 一人あたり収益 = 年収

 

ジョブ型が広がるまでは、実は供給量がある程度一定に保たれていました。

なぜなら新卒採用がメインであり、中途採用はその補助だったからです。

そのため新しいポストが生まれたとしても、厳密な取引価格は適用されない構造になっていました。

 

けれども、ジョブ型が広がり中途採用が進むと、供給量が大きく変動できるようになり、取引価格が浸透するようになります。

 

そしてさらに大きな問題は、一人あたり収益を伸ばす事業とそうでない事業との差が拡大していることです(この点については後日分析結果を示します)。

変動が大きくなると、分散は拡大します。それはすなわち格差の拡大を意味します。

 

変動が大きくなったことを喜べるのは、チャレンジし、成長し続ける人です。

 

けれども、昨日と同じ今日を望む人たちにとっては、キャリアダウンの恐怖が増すことにしかならないでしょう。

 

これからの社会をチャンスと見るか、恐怖と見るか。

 

一人一人の生き方そのものが問われてゆく時代になるのかもしれません。

 

 


平康慶浩(ひらやすよしひろ)