あしたの人事の話をしよう

人事コンサルタント 平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

まじめな話と、雑感(よしなしごと)とがまじっているので、 カテゴリー別に読んでいただいた方が良いかもしれません。 検索エンジンから来られた方で、目当ての記事が見当たらない場合 左下の検索窓をご活用ください。

ニューノーマルでマネジメント改革はどこまで進むか

日経スタイルの連載で、ニューノーマルによって今までの主流だったプレイングマネジャーが厳しい状況になっていることを書きました。

そういえばまったく余談なんですが、日経新聞の標準では「プレーイング」と書かないといけないんですよね。

ちょっと前に本を出した時からずっと指摘されていて、でも違和感があっていつも「プレイング」と書いてしまい、校正されてしまっています。

 

style.nikkei.com

 

で、プレイングマネジャーが受難だといいつつ、ここではあえて、プロフェッショナリティは必ず必要だ、ということも補足しておきたいと思います。

プレイヤーとしてレベルを高めたプロフェッショナリティは必ず必要で、それはマネジャーになってからも持ち続けた方が良い場合は多いです。

たとえば私のような人事コンサルタントが完全にコンサルファームのマネジメントに特化してしまうと、それは余禄で食っている状態になってしまいます。

マネジメントも行いつつ、コンサルタントとしての専門性も高め、クライアントから求められ続けなければいけません。

 

要はプロフェッショナリティを発揮することと、マネジメントを行うこととを併存させなければいけないし、それらの発揮タイミングが全く異なる状態をつくらないといけません。

 

とてもしんどいわけですが、だからこそ、プロフェッショナルでありマネジメントを行う役割に対しては、大きな報酬を支払う必要が生じるわけです。

そのあたりの話しについては2017年の日経スタイルに書きました。

style.nikkei.com

 

その場合の報酬設計ですが、インセンティブ性の強い会社向けに作った、オーバーライド型が基本になってゆくと思います。

あまり一般には知られていない仕組みですが、営業系の会社では使われることの多い強力なマネジメントインセンティブの仕組みです。

 

折を見てご紹介するようにします。

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)

 

※ 最近、実績ページを少しずつ更新しています。

よろしければご覧ください。

www.sele-vari.co.jp

 

 

 

ジョブ型になるには心理的安全性が必要

親指を立てている人のイラスト(男性)

生活スタイル変化のきっかけのひとつは、依存先が多様になったことだと思っています。

つまり家族や親族に頼らなければ生きていけなかった状態から、社会インフラの整備とともに個人で生きてゆけるようになったことです。

 

かつては炊事、洗濯、掃除などは一大作業でした。

また小さい子供や老親の世話も必要でした。

そのために同居する家族の中でも特に女性が担当することが多かったわけです。

 

就職先についても家業を継ぐか、親と同じような職業に就くか、あるいは親族の紹介などで就職先を得るか。

自分の力で生業を得るのは、大学を卒業するなどした一部の人たちだけの話でした。

 

しかし今は違います。

仮に東京で一人ぐらいを始めた青年を想定してみましょう。

炊事はせずとも、ワンコイン以下で食事をとれるお店がたくさんあります。

コンビニエンスストアでの買い物もできます。

洗濯や掃除はしなければいけませんが、自分一人の分だけなら手間になることもありません。

 

就職先については、紹介に頼る方が珍しい時代になってきました。

人材紹介業は2万社以上もあり、なお増え続けているのですから(実は弊社も人材紹介業を始めています)。

 

少々乱暴な物言いですが、食事と職業がコモディティ的に提供されることで、東京に出てきた若者は、親族や家族に頼らずとも、一人で生きてゆくことができるようになりました。

そして自由を獲得してきたわけです。

 

さて企業にジョブ型の働き方があたりまえになるということは、メンバーシップ型であたり前だったいくつかの機能が別の形で提供される必要があります。

 

その一つが、上司や同僚からの業務指導です。

メンバーシップ型の多くの日本企業では、OJTという名目で、現場で上下関係を徹底的に叩き込む、体育会的な指導が許容されてきました。

期待される職務レベルは同じだけれど、数年早く入社しているだけの年長者に仕事を教えられることは、暗黙の上下関係を促します。

それは社内秩序としても機能していくことになります。

 

しかしジョブ型では、そのような指導がジョブに含まれていなければ実施されません。

少なくとも先輩からの指導は減少し、上司によるコーチングなどの指導が増えることになるでしょう。

 

もう一つは、キャリアアップのチャンスの提示です。

 

メンバーシップ型では、「彼もそろそろ」といった具合に年次管理がされて、昇進のチャンスを与えられることになります。

基本的に年長者から昇進してゆくことになりますが、OJTで染みついた上下関係は、そのことをおかしいことだとは気づかせません。

 

けれどもジョブ型では、キャリアアップのチャンスにおいては、わずか数年の経験の違いよりも適性やこれまでの成果を重視して判断します。

また自分から手を挙げない限り、検討の俎上にも乗らなくなります。

 

メンバーシップ型では年功的ではあるもののある程度あたりまえに与えられていた成長と出世のきっかけが、ジョブ型では、自ら手を挙げない限り手に入らないものになる可能性が高いわけです。

それに対して、依存する人が埋もれて、自立的な人がチャンスを与えられるので良い変化だ、と言えればよいのですが。

現実には足の引っ張り合いや、過度の競争が起きてしまうかもしれません。

 

そこでジョブ型組織においては「心理的安全性」が確保されることが極めて重要、となるのですが、そのあたりはまた次回。

 


平康慶浩(ひらやすよしひろ)