とんでもない上司がスタンダードだ
日経スタイルの連載記事。今回はとんでも上司への対応方法だ。
とんでもない上司というのは実はとても多い。
でも認識を変えてみれば、その理由が見えてくる。
たとえばできる人が出世して上司になる。
すると、できる自分を基準に物事を考えるようになる。
部下から見れば、とてもついていけない要求ばかりしてくるモンスター上司になる可能性が高い。
あるいはとんでもない上司の下で苦労して出世し、上司になった人がいる。
すると、とんでもない上司があたりまえだ、と考えてその真似をしてしまう。
とんでも上司の再生産だ。
要は、上司としてのふるまいを知らない人たちが上司になるのだから、そりゃとんでも上司になるだろう、ということだ。
逆に、したっぱの間に「できる上司」みたいな行動を取っている人は?
たとえば、伸び悩んでいる後輩に助言をして自主的な改善を促しているとか、結果を出した同僚を惜しみなく称賛してさらにやる気を高めているとか。
多分そういう人は、直属上司からは評価されない。2階層上の上司の目に留まったりすると抜擢されるのだけれど。
「あの人いい人なんだけれどね」と言われ続けてしまう。
だから上司とはみんなとんでもないものだ、と考えておいた方がよい。
そして、自分自身もきっとそうなる、という自戒も込めて。
自分もそうなるかも、と思える人は、一度はとんでも上司になったとしても、そこから必ず成長できる。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)
「賃金カーブ」公開サイトに気をつけよう
そういえば先日公開した日経スタイルの記事の最後に、こういう文章を書いた。
気をつけなければいけないのは、インターネットで検索することです。「賃金カーブ ●●●●(会社名)」で検索して出てくるサイトがありますが、実はこのサイト情報は正確ではありません。厚生労働省が公開している業界平均の賃金カーブを前提として、そこに各社が公開している平均給与額をかけあわせたものをその会社の賃金カーブとしているからです。実際の賃金カーブは会社によって大きく異なります。インターネットで検索するときは、時間はかかりますが口コミサイトの情報を踏まえて、自分で賃金カーブを作成してみるなどの手間をかけた方が実態に即したものができるでしょう。
もっとよい転職先探し 成功するタイミングは昇格時?|出世ナビ|NIKKEI STYLE
より抜粋
これらのサイトは本当に困るのだ。
だってそれを鵜呑みにして「うちの会社の賃金カーブもこうしてくれ」という社長がいたりするから。
大手がそうしているから。
ライバル企業がそうしているから。
そんな勘違いがそこに生まれてしまっている。
いや、大手もライバル企業も、そんな賃金カーブは使っていません。WEBに「公開?」されているこれらのデータは、どちらかといえば、人事制度を20年前とか30年前から変更していない、成長していない企業の平均値に近いですよ。
そう伝えても「だってWEBに公開しているじゃないですか」とわかってもらえない場合もある。
これからさらに成長しようとしている会社にとっては、業界平均というのは悪しきモノサシでしかない。
そんなものを気にするより、自社を取り巻く環境はどういうもので、どういう戦略をとるべきか、そこで求められる給与の決定方法はどういうものなのか、という風に考えていってほしい。
それだけ説明してもなお「WEBで公開されてるじゃないですか……」という返事が返ってきて、頭を抱えてしまうこともあるのだ。
だからその公開情報はほとんど「統計のウソ」なんだってば。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)