あしたの人事の話をしよう

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役 兼 グロービス経営大学院HRM担当准教授の平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

まじめな話と、雑感(よしなしごと)とがまじっているので、 カテゴリー別に読んでいただいた方が良いかもしれません。 検索エンジンから来られた方で、目当ての記事が見当たらない場合 左下の検索窓をご活用ください。

40才までに理解すべき会社の本質

日経スタイルの隔週記事が今週も無事更新された。

 

style.nikkei.com

 

記事を書くとき、僕ももちろんタイトルをつけている。

けれども、日経編集部の方でこれを修正されることがわりとある。

たとえば今回の記事は、リンクに示したように

 

「『稼ぐ』から『稼がせる』へ 出世の天井越える仕事観」

 

となっている。

しかし原題は

 

「40才までに理解すべき会社の本質」

 

というものだった。

 

なるほどなぁ、という改題のときもあれば、なんでやねん、というときもある。

それはそれとして、編集さんなりの読み方が見えてきて興味深い。

 

さて次回はどんな話にしようか。

 

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)

働かせる会社と稼がせる会社は何が違うのか

意外に知られてないが、多くの会社で、給与と働き方の関係は2つに分けられる。

一般的なのは、「給与分は働いてください」という会社。

もう一方は「稼いだ分から給与を払いますよ」という会社。

 

どちらが良いのか、というと、何を求めて働くのか、ということで変わる。

 

ざっくり言えば、生活のためのお金が欲しい人は、「給与分は働いてください」という会社を好む。

なぜなら、給与が先に保障されているからだ。

 

一方で、若干ギャンブル的な生き方が好きな人は「稼いだ分から給与を払いますよ」という会社を好む。

稼ぐこと、というか、より正しく言えば安定よりもチャレンジとか勝負とかが好きなことが多いからだ。

 

人事制度も実はこれらのどちらかによって大きく異なっている。

 

「給与分は働いてください」

という会社では、業績指標はあいまいな方がよいし、評価結果は相対化しないといけない。

となると行動やプロセスを評価しないと、納得感が得られない。

社内のコミュニケーション頻度は高めた方が良い。

そして、雇用は安定していた方がよい。

 

「稼いだ分から給与を払いますよ」

という会社では業績指標はしっかりしている方がよいし、評価結果は絶対化しないと機能しない。

となると、絶対評価しづらい行動やプロセスは評価しないほうがよい。

コミュニケーションは社内での頻度を高めるより、外部ステークホルダーと実施させる方が良い。

そして、自由に出入りできる方がよい。

 

結局、どういう人たちを集めて、どういうビジネスをしたいのか。どんな成功を実現したいのか、ということについての会社のメッセージが、人事制度になる。

それが、戦略が人事を決める、ということだ。

 

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)