あしたの人事の話をしよう

人事コンサルタント 平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

まじめな話と、雑感(よしなしごと)とがまじっているので、 カテゴリー別に読んでいただいた方が良いかもしれません。 検索エンジンから来られた方で、目当ての記事が見当たらない場合 左下の検索窓をご活用ください。

ビジネスブックマラソンホームページの上手な使い方

はじめて単著を出版した時からおつきあいさせていただいている、カリスマ出版プロデューサーの土井英司さんが、僕の本を紹介してくれた。

ちなみに土井英司さんは、こんな人だ。

eliesbook.co.jp

 

 

で、僕の本の紹介は、さっそくホームページにもアップされていた。

eliesbook.co.jp

 

 

僕は今までに7冊の単著を出版している。

そのうち、土井さんがビジネスブックマラソンというビジネス書のキュレーションメールで紹介してくれたものが4冊もある(紹介されなかった本も3冊ある)。

そのどれもが、土井さんの紹介をきっかけに大きくクローズアップされた。

今回もAmazonでの売り上げランクが一気に跳ね上がった。

土井さんには深くお礼申し上げたい。

 

 

土井さんが紹介する本を選んでいる基準は僕にはもちろんよくわからない。

土井さんのところには、おそらく、毎日数冊~数十冊の本が献本されている。

それに加えて、書店で興味を持った本を購入もされていると聞いている。

そんな中で、紹介されるに至る本はごく少数だ。だからこそ、晴れて紹介してもらえた本には、土井さんのお墨付きが与えられたような名誉がある、と僕は感じている。

 

 

土井さんの選書の基準はわからないけれど、ビジネスブックマラソンのバックナンバーページを使って、土井さんからのメッセージを受け取ることはできる。

それは、ホームページの左側にあるカテゴリー欄をうまく使うことだ。

f:id:hirayasuy:20170203120825j:plain

ためしに、どのカテゴリーでもいいからクリックしてみてほしい。

そうすれば、今そのジャンルで何がホットなのかが見えてくるだろう。

 

たとえば「自己啓発」でクリックしてみると、最近では以下の本が選書されている。

 『あなたの人生の意味』

 『「週4時間」だけ働く。』

 『最強の生き方』

 『人生を変える習慣のつくり方』

 『ありがとうの奇跡』

 『最高の子育てベスト55』

 

僕はこれらの本のタイトルから、多様な働き方を軸にしたメッセージ性を強く感じた。強くなるためには、変化しなければいけない。そして周囲に感謝しなければいけない。それは特に家族に対して。

これらは現在を生き抜くために必要な要素であり、読書を通じて得られる大いなる気付きだろう。

ぜひキャリアやマネジメント、リーダーシップなどに迷った時、彼の選書を確認してみてほしい。

 

 

あと、これはなんとなくのイメージなんだけれど、本の内容もさることながら、土井さんは著者についての注目もしている気がする。

一冊の本についての書評だけでなく、この著者を継続的にウォッチしておくと面白そうだよ、というメッセージだ。

皆さんももし興味がわいた著者がいれば、BBMの検索窓に著者名を打ち込んでみてはどうだろう。意外な変遷が見えてくるかもしれない。

 

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)

 

 

年功序列崩壊と同一労働同一賃金は、実は同じことを言っている

面白い本を読んだ。

知人の大室正志さんが紹介していた本。大室さんは産業医として活躍されながら、ニュースピックスでもプロピッカーとして活躍されている。


僕がこの本に惹かれた理由は、実は大室さんの紹介文だ。

Facebookの友人・知人向けに書かれた紹介文なのだけれど、ご本人の許可を得たので、その一部を掲載してみたい。

 

サードインパクト、サードプレイス、サードウェーブ。
 「様々な3」が出回る昨今、さすがにこれは思いつかなかった。いやさすがに言えなかった。近年まれにみる”思い切りの良い本“が発売されました。
その名も『日本3.0』。」

 

「本書はいわゆるジャーナリストが事実を積み上げてまとめたノンフィクション作品ではありません。事実はあくまで参考文献。意見を補強するためのツールに過ぎません。
ですので、この歴史認識などにとやかく言うのは野暮ってもんです。
むしろこのような本はヒトをどれだけ「その気にさせたか」、「ワクワクさせたか」で評価されるべきかと思います。」

 

 

それがまさにこの本だ。

日本3.0 2020年の人生戦略

日本3.0 2020年の人生戦略

 

 

なるほど、それだけ思い切りがよいのであれば、これは読む価値があるだろうと思った。

で、読み終えてみて、たしかに僕は「ワクワク」したのだ。最近会う人に、「2020年から変わりますよ、この本読んでみるといいですよ」とか言ってしまってるし。

 

中でも僕の中で、ワクワクしながらあらためて整理できた考えがある。

この本でも重要な位置づけを持っている「年功序列の崩壊」「同一労働同一賃金」の二つの言葉に基づくものだ。

 

僕は人事コンサルタントなので、これらの言葉に日常的に接している。

しかしこの本を読んで、はたと気づかされた。

そうだ、この二つの言葉は、同じ概念に根差しているのだ、と。

それは、佐々木さんの本で言うところに、日本2.0=戦争の終結によるものだのだ、と。

 

人事的に言えばそれは「標準世帯」という概念だ。

 

標準世帯というのは、普通の日本人ならこういう世帯を持つはずだ、という定義だ。

具体的にはだいたい以下のように設定されている。

・男性は26才、女性は24才で結婚する

・女性はすぐに専業主婦になる

・結婚したその年の内に1人目の子どもを出産する

・数年後に、2人目の子どもを出産する。

 

このような世帯が「標準」なので、もちろん人事の仕組みもそのように設計する。

その際の給与の仕組みは、標準生計費という基準に翻訳される。

それは現在の東京でこんなグラフになる。

f:id:hirayasuy:20170201113905j:plain

厚生労働省が公表している各種統計データをもとにセレクションアンドバリエーション作成

 

このグラフで給与が増える根拠は簡単だ。

子どもにかかる費用がそのまま生活費として計上されている。

そして、二人目の子どもが独立するであろう、父親が53才前後をピークにして、標準生計費は下がっていく。

今週更新した日経スタイルの記事の最初の方でもこのあたりについては軽く言及しているが、これは限りなく結果平等といえる考え方だ。

style.nikkei.com

 

ではこのような考え方がいつ生まれたのか。

このことについてわかりやすく記している論文を紹介しよう。

法政大学学術機関リポジトリ: 戦時賃金統制における賃金制度

 

内容をかいつまんで話すと、標準世帯の発想は、戦前から戦中にかけての国家総動員法における賃金統制令の中で生まれたものだ。

そして、実は、新卒初任給を低く抑える、という発想すらこの時に生まれている。

賃金統制令以前の日本は、どちらかといえば世界標準的な職務給が運用されていた。つまり〇〇円支払わなければ雇えない、ということならその分を払った。その上で、年令などに関わらず、出来高に応じて給与を支給したのだ。

それが賃金統制令で、年令と業種と性別で、賃金の最高額を定めてしまった。

また昇給についても制限した。ただし家族手当は例外として認めた。

だから、給与を増やすためには、年を取るしかなかったし、家族を増やすしかなかった。

 

しかし今、あなたのまわりに「標準世帯」の人はどれくらいの割合でいるだろうか?

実際問題、今の「標準世帯」は一人暮らし世帯だ。

だから、標準世帯概念に基づく標準生計費は、現状にそぐわない古い概念だと言えるだろう。

だからこそ、年功的に給与を増やす仕組みは不要になるだろうし、年令で給与を下げたり、雇用形態で給与に差をつけるような(それはつまり終身雇用が前提だからそうなるのだけれど)正社員と契約社員の給与格差はなくなっていくだろう。

年功序列の崩壊と、同一労働同一賃金の適用は、つまり戦後の標準世帯概念からの脱却なのだ。そしてそれは、結果平等から機会平等へ移行することに他ならない。

 

 

ただ、ここまで考えて、発展的に疑問を感じた。

これはつまり、人事の仕組みが先に変わったから、標準世帯が崩れたのか。

標準世帯が減っていって、同時に人事の仕組みが変わっているのか。

 

そこのところについては、もう少しだけ調べてみようと思う。

 

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)