副業は、市場ではなく相対(あいたい)で得ることを目指す
今週の日経スタイル記事は、副業の選び方。
タイトルにスキルアップ、とあるけれど、どちらかといえば経験の積み方というか、他流試合で経験を手に入れる、みたいなお話だ。
ただ、最後の方に別の視点でも書いている。
副業をどのように見つければよいのか、という話だ。
ちなみに、弊社のインターンの二人に副業についてのレポートをまとめてもらったので、HPのオフィシャルレポート欄にアップした。
内容は1枚で示すとこういうことだ。
で、この続き的な内容が、今回の日経スタイルの記事だ。
それは市場取引と相対取引の関係。
詳細は読んでもらえればよいけれど、その派生から少し書いてみたい。
職をるための労働市場は今、市場取引と相対取引、二つの選択肢がより明確になりはじめている。
ちなみに相対(そうたい)ではなく相対(あいたい)取引だ。
新卒が就職する時点で言えば、人材紹介会社とか会社主催の説明会に登録して、エントリーシートとか書いて面接を受けたりするのが市場取引。
一方で、知り合いのおじさんを通じて「こいつよろしく」なんて感じで入社するのが相対取引。
報酬面で言えば、「弊社の初任年俸は〇〇万円です」という値段が先に示されたうえで、比較されながら選ばれるのが市場取引。
一方、「君には年俸〇〇万円だすからうちに来てほしい」、と個別に値決めされるのが相対取引だ。
市場取引は効率的なのだけれど、売り手にとっては決定的な欠点がある。
比較されて買いたたかれる可能性がある、ということだ。
市場に並べる商品が「モノ」であるのなら、買いたたかれたとしても、それは市場価格なのだから仕方がない、とあきらめがつくだろう。
けれども、労働市場で並べる商品は、あなた自身だ。
あなた自身の意志、能力、経験などを他者と比較されて、場合によっては「これだけでよければうちで働いてみる?」というような値決めをされる。
労働市場で転職しようとする時が典型的だ。
たとえば年を取って転職する時とか、労働市場はとても冷たい。
過去の経験に意味がない、と否定されてしまうことがある。能力はレベルが足りない。そもそも働く意思が低いとまで断定されたりもする。
本業でいきなりそんな風に断言されてしまうと、もう選択肢がなくなってしまう。
自分を買いたたかれたとしても、食べていかなければいけないから。
だからこそ、僕は先に副業で他流試合をしておいた方が良いと思う。
それが前にも書いた、スキルや経験の翻訳、につながるわけだ。
そしてその副業こそ、まず、相対取引で手に入れることを目指してほしい。
方法は一様には言えない。
けれども、あなたを知ってくれていて、あなたの価値を認めてくれる人を増やすことが、少なくともその一歩にはなる。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)
汎用スキルを持つと汎用品ではなくなるということ
人生100年時代だからこそ、若いころから自分が手に入れるスキルを客観視できるようになった方が良い。
今週火曜日に日経スタイル にアップした記事はそういった内容だ。
ごく簡単に言えば、10年後にも求められる人材になるために、自分のスキルを汎用化しておこうというものだ。
もちろん、スキルの汎用化という概念は別に新しいものではない。
ポータブルスキルという言い方で、ずいぶんと昔から言われているものだ。
たとえば厚生労働省では、自分のスキルをポータブル化したい個人向けに動画を配信していたりもする。
研修として実施したい会社向けに、テキストまで作成してくれている力の入れようだ。
また、ポータブルスキルチェックのサイトもある。
一般社団法人人材サービス産業協議会の以下のサイトにリンクがあるので見てみてほしい。まあ傾向が見えるレベルではあるのだけれど、設問がなかなか面白い(結果に至る分析が雑なのがもったいない)。
大事なことは、スキルを汎用化した人は、自分自身が汎用品ではなくなる、ということだ。
ただし、実はその先がある。
会社に特化したスキルを汎用化すると、どんなことができる人なのかがわかりやすく見えるようになる。
だから転職などに役立つし、出世競争にも勝ちやすくなる。
その先にあるものは、汎用化したスキルを、再度特化させることだ。
たとえば転職した後、汎用スキルをその会社に向けて順応させていかなくてはならない。いつまでも汎用スキルを汎用のままにしてはいけない。
汎用化と順応。
それらを繰り返して、私たちはさらに成長するのだ。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)