あしたの人事の話をしよう

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役 兼 グロービス経営大学院HRM担当准教授の平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

まじめな話と、雑感(よしなしごと)とがまじっているので、 カテゴリー別に読んでいただいた方が良いかもしれません。 検索エンジンから来られた方で、目当ての記事が見当たらない場合 左下の検索窓をご活用ください。

没頭できることで人生を過ごそう

今回の日経スタイル記事へのアクセスがなかなか好調らしい。

style.nikkei.com

 

働くこととストレスとの関わりについて論じた内容だ。

 

で、結論としては、ワークアズライフの礼賛という、まあ私なりのポジショントーク

私はどうもワークとライフとをバランスさせる、というワークライフバランスという言葉がしっくりきていない。

だって、まるでワークが悪いことみたいだからだ。

 

そりゃ、食べるために嫌々やっている仕事としてのワークなら、逃げ出したい気持ちもわかる。

けれども、逃げ出した先にあるのは、ライフなんだろうか?

ワークから逃げ出した先にあるものは、やはりワークなんではないだろうか。

 

そもそも僕は、ライフの中の様々なイベントもワークだと考えている。

単純な話、炊事、洗濯、掃除ってライフだけれどワークでもあるんじゃないだろうか。

そして、炊事がイヤで、洗濯が嫌で、掃除が厭という人だっているだろう。いや、かなりいるだろう。ちなみに僕は炊事も洗濯も嫌いじゃないというレベルで、掃除は嫌いだ。

で、まあもしそれらがライフでなくワークであると定義するなら、炊事も掃除も洗濯もしないのがライフということになる。

この場合のライフとは、「自分がやりたくないこと全てを除外した活動」ということになるだろう。

それはもしかして、快楽だけにすべての時間と気力と体力を使う生活だろうか。楽しそうな気もするけれど、3日で飽きそうだ。いや、一週間はいけるかも?

 

さて、一方、その「自分がやりたくないこと全てを除外した活動」の中に、いわゆる仕事が含まれている人がいたら、それはどうすればいいんだろう?

たとえば文章を書くのが好きで、その文章が多くの人に受け入れられていて、作家と名乗っている人だっている。彼にとって文章を書くことはワークかもしれないけれど、ライフでもある。

 

なにが言いたいかというと、要は僕はコンサルティングが趣味なので、それ自体がワークでもありライフでもある。評価基準のサーベイ結果に基づく多変量解析をしていたり、年令や等級別の賃金分析とかしていたりすると、時間がすぎるのを忘れるほど楽しい。スマホゲームなんて目じゃない。

 

だから僕にワークライフバランスをとりなさい、って言われたら、それはつまり掃除をせずにずっと評価報酬制度を作っている状況、ということだ。そしてそのための方法論を論文で探したり、書店で他の人の考えを調べたり、他社のやり方を学んだりして、気力が尽きたあたりで酒場に繰り出す状況だ。

まあそんな感じが僕にとってのワークライフバランスでワークアズライフなんだろうと思う。

 

そして、そういう生き方をしている限り、ストレスとは無縁だ。

だからストレスと付き合うのが苦手な人ほど、ワークライフバランスよりもワークアズライフをお勧めしたい。

 

ただ、多分そのとき、ワークもライフも、使われる意味が違うと思う。

ワークライフバランスは、「仕事」と「私生活」とのバランスをとろうということ。

ワークアズライフは「没頭できること」で「人生」を過ごそうということ。

 

私生活よりも人生の方がきっと楽しい。

 

 

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)

 

 

 

 

新卒で入った会社で社長を目指せなくなる時代が来る

大企業側に就職することはゆでがえるを生むかもしれない、という記事を書いた。

 

style.nikkei.com

 

「同じ会社で一生活躍しよう」という考え方が今後少数派になるだろう。

それは特に、出世を目指す人の中で顕著になると考えている。

 

かつては日本企業の経営者は、プロパー社員から選ばれることが多かった。

上場企業の場合にそれは顕著で、1970年~2000年にかけていえばおよそ89%前後の会社がそうだった。

しかし2014年の調査では、その割合が70%にまで激減している。これは比較的早い段階での中途採用を含んでいるので、新卒採用だけで見ればさらに低い。60%だ。

つまり、わずか15年ほどの間に、新卒で入った会社の経営層に出世できる可能性が30%近く下落しているのだ。

その分だけ、他社からの役員としての招へいや、企業グループからの転籍、買収された企業からの送り込みなどが増えている。

 

アメリカの場合にこれがどうかと言えば、日本とは逆で、新卒からの内部昇進割合は22%ほどにしかならない。残る78%は、外部から招へいされる経営者だ。

中途採用を含めても、外部招へい割合は61%ほどもある。

 

かっては、今いる会社で出世を目指すことが王道だった。

けれども、今後は自社だけしか知らない人は、経営者になれなくなるのかもしれない。

 

そのあたりについて、社歴などを踏まえた調査をしてみたいと思っている。

 

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)

 

※記事内の数値については、こちらの論文から引用させていただきました。

 

「経営者内部昇進制についての一考察
 -日本とアメリカの比較実証研究を中心として-」
 谷川 寿郎(立教大学大学院)

http://www.business-creator.org/wp-content/uploads/2011/01/%E8%B0%B7%E5%B7%9D-%E7%AC%AC7%E5%8F%B7-5.pdf