40才過ぎたら、自信は持っても自分の実力を信じないのが大事だと思う
成功するためには、根拠のない自信を持つのが大事だ、ということがいろんなところでいわれます。
錯覚資産についての話なんかも、そんな内容を含んでいますしね。
でも、「根拠のない自信」を嫌う人も相当数います。
その理由を聞いてみるとたいていは、「根拠のない自信」を持っている人に騙されたり、勘違いさせられた経験を持っている人だったりします。
だから、実の無い自信なんて意味がない、ということを言われます。
それはそれで一つの事実ですが、要は実力を手に入れてから自信を持つということは普通はできないわけで、たとえ借り物であったとしても「自信」を示さなければ実力を手に入れる機会すら与えられない、ということがもっと本質なわけです。
だから「根拠のない自信」というのは、これから成長しなければいけない人が持つべき考え方なんですね。
で、自信を周りに示すのはもちろん大事なんですが、できればそれができている人は、もう一つのことを心がけるといいんじゃないかと思っています。
特に40才過ぎたあたりからがそのタイミングなんじゃないかと思います。
自分に(根拠のない)自信があって、周りにそのことを示すことができている人を、自信先行型、と定義してみましょう。
そういう人が40才くらいにもなれば、実力もそれなりについてきています。
すると自然に「実力に自信を持つ」ようになっていきます。
これが実は大きなワナだという風に、私は感じるようになりました。
というのも、自信先行型の人はたいてい、無茶な仕事を引き受けがちだからです。
たとえば下記のような仕事の依頼を受けて喜ぶのが自信先行型です。
・やったことがない仕事
・圧倒的に時間が足りない仕事
・複雑な人間関係の調整をしなければいけない仕事
・高いレベルの品質を担保しなければいけない仕事
・確実に数字で結果を出さなければいけない仕事
「俺ならできるってー」
と思うのが、自分に対して根拠のない自信を持っているタイプなんですが、このあたりの状況が少し変わってきます。
自信先行型の時代には、自分に自信があっても、それをやりきれるかどうかまではわからない、と思っています。
だから仕事を請けた後で死ぬほど努力をします。
使えるネットワークを使いつくすし、お金で買える知識(書籍とかセミナーとか)にはどんどん出費します。
つまり、自分の自信に根拠がないことを知っているから、必ず努力をするわけです。
けれどもそれなりに成功すると、自分に実力があると思ってしまいます。
するとこれらの努力を怠るようになるんですね。
私はこのあたりを、杵柄の罠、と言ってます。
やったことがあるから大丈夫。
そのものに経験はないけれど、同じような状況の経験はあるから大丈夫。
たくさんのネットワークを持っているから、いざとなればなんとかなる。
そう考えてしまい、危機感が薄れていってしまうのです。
そうして思ったほど結果がだせないことになるんですが、それでも先行している自信はゆらぎません。
面白いことに、何度失敗しても、先行している自信はなかなかゆらがないのです。
やがて気づけば周りの人がどんどん減ってゆきます。
けれども自信はまだあるから、そのノリで仕事を受けてしまう。
さらに実力もあると思っているから、努力もしなくなっている。
結果を出せなくて、それは他が悪いというようになってしまう。
そんな罠が待っているなぁ、と気づくようになりました。
だから、若いころに根拠のない自信をもって成功してきた人ほど、成功したのちに、なお自分の自信には根拠がない、ということを思い出したほうが良いと思っています。
私自身もいつも心掛けているのは、たまたまここまでこれた、という考え方です。
自分への自信は、自分の幸運を信じているということだと思います。
そして幸運であるということと、実力があるということはちょっと違うということを忘れないということです。
幸運ではあるけれど、失敗することだってある。
だから常に努力が必要で、具体的な努力とは勉強に他ならない、ということを忘れてはいけないなぁと思うのです。
そんな、ちょっと教訓めいたことを考えたので、自戒のために書き記しておきます。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)