ベストセラーのタイトルを分析してみたらこんなことがわかった
572冊のベストセラー(過去1年半から抽出)のタイトルを、テキストマイニングで分析してみました。
ぶっちゃけてしまえば、kh-coderというテキストマイニングツールを使って、簡単な単語の抽出をしただけですが。
それでも案外面白い結果が見えたような気がします。
以下、品詞別に結果を示してみましょう。
■ 名詞
ベストセラーにはまあたいてい名詞が含まれています。たまに動詞や形容詞だけのタイトルもあったりしますけどね。
ベストセラーに使われている名詞のトップ5を紹介します。
1位:世界
2位:技術
3位:方法
4位:人生
5位:ビジネス
それっぽいですね。
ちなみに名詞は他の品詞に比べてロングテールな結果が出ています。
上記の5つの名詞が占める割合はおよそ10%。
逆に、ベストセラーの50%以上では、ほとんど異なる名詞が使われています。
オンリーワンな名詞に限っても、21.3%です。つまり、ベストセラーのうち、5冊に一冊は、売れそうな名詞を使っていないということになります。
となれば、どんな名詞を使うべきか、ということにはあまりこだわらなくてもいいのかもしれません。
■ サ変名詞
意外に重用なのがサ変名詞でした。
サ変名詞というのは、簡単に言ってしまえば「〇〇する」という使い方のできる名詞です。
トップ5は次のとおり。
1位:仕事
2位:経営
3位:成功
4位:起業
5位:投資
トップ5は全体のおよそ20%を占めます。
実はロングテールも同じ割合あって、これも20%です。種類は608もあります。「批評」「冒険」「出世」といったキーワードが並びます。
ここまでのキーワードで適当にタイトルをつくるとしたらこんな感じでしょうか。
「世界で仕事する」
「技術経営で成功する方法」
「人生で成功するための投資」
これらは陳腐にすぎますけれど、まあこんな感じのタイトルって多いなぁ、って感じますよね。
■固有名詞
意外と少なかったのが固有名詞。
統計ソフトの関係で、その他品詞に分類できなかったものがここに属しています。
第一位は「ハーバード」
第二位は「ソ」……いみわかんないですね。
まあ、ハーバードってついてれば売れるようです。
■形容動詞
これは5位にたくさん並ぶので、3位までにしておきます。
3位は同率で二つあります。
1位:大事
2位:シンプル
3位:意外
3位:必要
ここまで含めるとタイトルはこう変わるでしょうか。
「世界で仕事するシンプルな方法」
あ、売れそう。
「起業のためには技術に投資することが必要だ」
とかもキーワードをくっつけただけのものですが、それっぽいですね。
■動詞
これはわりと強い。
トップ5は以下のとおり。
1位:学ぶ
2位:変える
3位:語る
4位:動かす
5位:教える/売れる(同率5位)
ここまででおよそ21%です。
ただまあ、ロングテールもやはり多くて、オンリーワンのキーワードだけで107種類、20%になります。
「流行る」「目覚める」「踏み出す」などがロングテールに属します。
■極端に強い品詞群「ひらがな動詞」「副詞」
これはトップ1に極端に偏っているものです。
ひらがなの動詞だと
「する」
これが圧倒的に強い。
副詞だと
「なぜ」
というものです。
トップキーワードだけくっつけるとこうなります。
「なぜ世界で仕事するのにハーバードで学ぶことが大事なのか」
こんな本があったらベストセラーになる可能性が高い、ということが統計的に出ているわけですが、いかがなもんでしょう。
なんか、タイトル自体が出オチになっている気もしますが。
以下、意外に使えない品詞類です。
■人名
意外にこれがヒットしない。
カーネギーとか、稲森和夫とか出ていますが、統計的には有意ではありませんでした。
■組織名
これも人名同様に弱い。
ソニー、NHK、JAL、VW(フォルクスワーゲン)などは出てきますが、どれも統計的には弱いです。
■地名
全米がトップ。次に東京とアメリカが続きます。
でも、これらも統計的には有意ではありません。
まあ、ご参考までに。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)