あしたの人事の話をしよう

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役 兼 グロービス経営大学院HRM担当准教授の平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

まじめな話と、雑感(よしなしごと)とがまじっているので、 カテゴリー別に読んでいただいた方が良いかもしれません。 検索エンジンから来られた方で、目当ての記事が見当たらない場合 左下の検索窓をご活用ください。

「俺にもくれ」理論でキャリアを良くする

高度人材養成機構のセミナーで、三好秀和理事長が「給与や年金以外に月10万円かせげるようになれば人生は変わる」ということを話した。

それが50代とか60代の方々にはわりと刺さったみたいで、具体的な方法の検討を進めたりもする。

自分を変えるための取り組みは、結局のところ「うまくやっている人」を手本にして「俺にもくれ」と思わせる方が手っ取り早い。

 

「こうすればいいよ」「こう考えた方がいいよ」みたいな話は、「出来ている人」には刺さる。けれども、出来ていない人には「はいはい、偉そうにいいやがって、うるさいんだよ」というように否定的に受け止められてしまう。

そりゃそうだ。

だって、わかっているけれどできていない、のだから。

タバコは体に悪い。知ってる。けれどもイライラすると手が伸びる。

もう少し本を読んだ方がいい。でも読んだからと言ってすぐに効果が出るわけでもなし。それよりスマホでゲームしてる方が気晴らしになる。

 

僕も「2ランク上の上司の視点を持とう」とか「仕事を指示されたらすぐに聞き返そう」とか、いろいろなノウハウや考え方を本や日経の連載とかに書いた。

けれどもそれらのほとんどは流されるように消費されるだけだ。

たまに、ごく一部の人たちを成長させ変革させるのが精いっぱいだ。

 

大多数の人たちを変革し、成長させるためには、「教える」ことは非効率だ。

それよりも「なんかうまくやってる奴がいる」「なんだそれくらいでできるのか」「じゃあ俺にもくれよ」という3段論法で、変革と成長に誘った方がいい。

 

これが僕が定義した「俺にもくれ」理論だ。

 

その「うまいこと」のひとつとして、月10万円くらいが楽して手に入る、というのがちょうどいいのだろう。

 

そして10万円くらいなら、今はいろいろと選択肢が増えている。せどり的な方法もあれば、webでスポット的な仕事をマッチングさせるようなものもある。

会社から給与をもらいながらも、副業や複業をする人も増えるだろう。

だからこそ「うまくやってる奴」を見せながら、「それくらいでできる」ことを実践してもらい、そして結果として成長できるような仕組みが必要になる。

 

高度人材養成機構としても、その仕組みがどういうものなのかを考えていってみたい。

 

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)