新しいメンバーシップ型企業は20代と60代を活かして伸びる
今どきの高齢者は若い、と言われていましたが、自分が50歳を超えて実感したのは、やっぱりいろいろと衰えるよね、という事実でした。
それでもなお、手塚治虫が描いた1974年の50代よりはずいぶんと若く見えるわけです。
https://togetter.com/li/1232900
そして、人生100年時代と言われて70代までの就労機会努力義務化が2021年4月に迫る中、まだまだ20年は働く必要があるわけです。
公的年金については賦課方式であるから決して破綻しないと言われていたものの、金額が生活に十分かどうかまでは議論されていないというか、あえて言及しないことが暗黙の裡に共有されていました。
コロナショックでメンバーシップ型からジョブ型に、と言われており、弊社でもジョブ型人事制度への変革をするならお手伝いしますよ、と提言しております。セミナーも開催を予定しております。
しかしですね。
イケてる大企業の多くはがちがちメンバーシップ型だったりします。
これは日本企業だろうが欧米企業だろうが変わりません。
ダイバーシティ云々って言ったって、自社のファンでいてもらうことが前提なわけです。
GAFAのエンジニアが夢見るジョブホッピングみたいな生き方の先にはフリーランス化&資本獲得があり、それは給与をもらって生きていく予定の大半の人たちにはあまり関係しません。
だとすると企業が目指すべきは、ジョブ型で優秀な人材を採用しながら、その後自社のファンにしていく仕組みづくりです。
その意味では経営者のみなさんはこんな本とか読む方が役に立つかも。
さて、そうして考えてみれば、2021年からの10年期でターゲットを絞るべき労働市場はどこかということになります。
今実際に活性化している労働市場は、30歳前後のあたりだそうです。
実感としては29歳~34歳といったところでしょうか。
日本では、ちょうど1社目でそれなりに経験を積んで、次に移りたい、と思うあたりですね。
すでに2社経験している人までは許容できますが、29歳までで3社以上経験していると、ちょっとやばいかな、という印象を持ってしまいます。
さて、ではこれからの人事の仕組みもそこをターゲットに設計すべきか、というとそうではない、と私は考えています。
なぜなら今メジャーな30才前後の労働市場にいるのは「一度どこかの企業に不満を持った人」たちの集団だからです。
企業を退職することについて、私は常々祝うべきである、と公言しています。しかし実際には多くの企業も退職者もそうではありません。
たとえば退職者が「今の企業もとてもいいんだけれど、次の企業で自分は活躍したい。
そのために今の企業には喜んで送り出してほしい」なんて思うことがまずありません。
たいていは「俺の実力に比べて給与安すぎ」とか思って退職するわけです。
円満退社とは単純に「揉めなかった」というだけであって「お互いにハッピーに退社した」ということではないのです。
だとすると企業はどこの労働市場を目指すべきか。
それはまさに、日本の労働市場の特徴である、22歳の新卒若手市場です。
そして、もう一つ。60歳からの定年後高齢市場です。
これらを言い換えれば、新卒に選ばれる会社になるか、定年者にプライドを与える会社になるか、という二択ということです。
これが新しいメンバーシップ型の形になるでしょう。
面白いことに、メンバーシップ型を維持しながらこれからの新卒に選ばれるようになるためには、賃金カーブを大幅に変えなければいけません。
新しいメンバーシップ型は、これまでの年功型の賃金では維持できないのです。
また、他社を定年した人を再雇用して活躍してもらうためには、人事制度を評価・報酬の仕組みとして理解するのではなく、総合的なマネジメントフレームとして活用しなくてはいけません。
もうちょっと詳しい概要については年明け2021年最初のメルマガで。
平康慶浩(ひらやすよしひろ)
ちなみに弊社ではこんなセミナーもやります。