月刊人事マネジメントにショートコラムが掲載されました
月刊人事マネジメントという、人事専門誌があります。
そちらに、ショートコラムを執筆しました。
3月号に掲載されていますが、同時にWEBでも公開されたようです。
定昇は「聖域」なのか
http://www.hrm-magazine.busi-pub.com/trends1303.html
20年前に人事を担当しておられた方ならご存知ですが、日本のいわゆる定期昇給方式は、ベルトコンベア方式でもあります。
正直、この仕組みを考え出した人はすごい。
なにせ、各年次の従業員数が同じであるなら、総額人件費を一切増やさずに、全員の給与を引き上げることを可能にするからです。
さらにすごいのは、もし若い人の数が増え続けるのなら、全員の給与を増やすのに、ひとりあたりの給与コストは下がり続けるという、夢のような仕組みだからです。
一方で、いくつかの欠点があります。
第一には、若い従業員を採用しなくなった途端に、ひとりあたりの給与コストは上がり続ける。そしてそれをコントロールできなくなる、ということです。
成果主義人事はこの恐怖をもとに採用されたわけです。
第二に、生産性についての意識が低下することです。
上記のコラムにもグラフを掲載したが、日本では1991年のバブル崩壊まで生産性が上がり続け、その後横ばいです。
1991年以降、平均給与額が下がり続けているにもかかわらず、です。
なぜ生産性についての意識が低下するかといえば、ベルトコンベアとしての定期昇給方式が機能している限り、生産性は自動的に上がるからです。
一方で、生産性を改善する活動というのは、必ず過去の否定を伴います。
これは人々の反感を招きます。従業員にすれば、新たなことを学ぶことを強いられることにもなります。
じゃあ、せっかく数値もいい状態なのに、わざわざ改善する必要もないでしょう、と生産性は放置されることになりやすい。
過去において生産性を意識して高めてきたのは、早期にグローバルな競争環境にさらされた企業群です。
その中でも意識が高い企業が伸び、そうでない企業は破たんもしました。
カンバン方式のトヨタ、ルノーの傘下に入ることになった日産、が良い例です。
今はグローバル競争は当たり前で、意識の高い企業はすでに生産性を高める活動に注力しています。
一方、市場が国内に限定されていたり、過去の否定ができていない企業群は、生産性を高めにくい状況に陥っています。
2013年以降しばらく、生産性は、とても重要なキーワードになります。
それは人事領域として、だけでなく、事業全体に関わるものとして。
セレクションアンドバリエーション株式会社
平康慶浩(ひらやすよしひろ)